ラディンとフルータの戦場 15
17部 みんなの思惑
フルータとラディンは、ふたり揃って隊長のテントに呼び出された。
「何なんだろう? キミ……何かしていないよね?」
「お前こそ、どこかで隊長の嫌味でも言ったんじゃないか? それに気づかれたとか?」
「君ら、静かにしないか……」
ラディン達をテントの前まで引率をしてきた兵士が言う。ラディンとフルータは、二人とも、隊長に呼び出された。少しくらい緊張をしてもおかしくないところだろう。
二人が、いつものくだらない言い争いをしているのを見て、引率の兵士は言う。
「いいか? 隊長の前では失礼の無いようにするんだぞ」
隊長に会うというのに、緊張感のまるでない二人を見て、渋い顔をした引率の兵士。
「ついたぞ……」
引率の兵士がそう言うと、フルータもラディンも、折り目を正した。
「引率ありがとうございました」
そう言い、ラディンもフルータも頭を下げた。
「あ……ああ……」
いきなり態度の変わった二人を見て、引率の兵士はポカンとした顔をして答えた。
テントの前に立ち、ラディンとフルータは声を張り上げた。
「ラディンとフルータ。お招きにより参上をしました!」
「うむ。入れ」
テントの中からそう声が聞こえると、二人はテントの中に入っていった。
二人の、いきなりの変わり身を見て、引率の兵士は驚いていた。
テントの中には、いくつかの本や本棚やテーブルが並んでいた。
絨毯までひかれて、テントの隅には、簡単な調理場がある。あそこで、いつも紅茶で淹れているのだろう。
「まずはラディン君だ……」
穏やかな顔の隊長は、ラディンに向けて歩いてきた。
「ラディン君。君の活躍は聞いている。メイドの子のために自分から下剤を飲んだんだと……」
「そんな事までご存知ですか……」
「今の時代にまったく存在しない騎士の美談だよ。君がここに来る事を知って、私は楽しみにしていたんだ。どんな男なのだろうか? って、思ってね」
アディセがここにいるのも、その話が元であるのだという。その話を聞き、クビにされてしまったメイドの子を不憫に思って、こちらで雇う事にしたのだという。
「私の想像通りの男だよ。精悍な顔つきで鍛えられた体」
「うんうん……」と、いった感じで頷く隊長。
「君のような男であれば、私の娘を預けてもいいのだがな……」
そう言い、ラディンの耳元にまで顔を持っていった隊長。ラディンの耳元にまで顔を持っていく。
「出世をしたいんだろう?」
そう言われ、ラディンはビクリと体をこわばらせた。
ラディンが、サーファス隊長の事を見ると、サーファスは得意げな顔をして笑っていた。




