ラディンとフルータの戦場 8
15部 戦闘の前に
フルータと、ラディン。そして、それに続いてアディセとレクステ。さらにレイティとサリルは、一つのテントに集まっていた。
このテントは広く、六人が輪になって座っても十分な広さがある。
「今の、この戦争の状況を整理しよう」
ラディンが言う。フルータはそれに合わせて頷いた。
「大体の事は、ボクだって知っている。サーファス司令官が、上手くやって、相手を動けなくしているのだろう?」
「まあ聞け……わかっていない奴とかもいるからな」
そう言い、ラディンは、アディセを見た。
「面目ありません……」
そう言い、恥ずかしげに俯くアディセ。そして、ラディンが説明を始める。
今、戦闘は膠着状態だ。敵が動いてくる様子はなく、自分達は守りに徹している。
敵であるラダヴィッツ帝国は、昔から国土を広げることを考えて侵略戦争を続けてきた国である。
ラダヴィッツ帝国は、国土を広げる事しか考えておらず、内政はおろそかにされていた。だからこそ、付け入る隙があったのだ。
サーファスは、すでに攻め落とされてしまった傀儡国家に、不穏分子がいる事に目をつけた。
その不穏分子とは、昔からその国に住んでいた貴族達の事だ。
『昔の生活を取り戻したい』または『国をラダヴィッツ帝国から取り戻し、自分たちの国を、もう一度取り戻したい』と、考えている貴族達をたきつけるのは、サーファスの戦いを見せる事で十分であった。
サーファスは、ラダヴィッツ帝国との戦いで小さな勝利を繰り返していたのだ。その姿を見た不穏分子達は、サーファスの事を信頼したのだ。
その方法は、駐屯地に敵が攻め込んでくる時間と敵の数の情報を手に入れ、駐屯地の物資をできる限り後方に流したのだ。
敵が駐屯地に攻め込んできた時、駐屯地はもぬけのからになっていた。そして、サーファスはラダヴィッツ帝国の駐屯地に攻め入ったのだ。
食料の類には全て泥をかけ、武具の類はすべて略奪をする。駐屯地に残っていた人員はすべて捕縛し、用意をしていた荷馬車に詰め込んで捕虜にした。
ラダヴィッツ帝国が、自分達の拠点が敵に攻められているのに気づいた頃には、すでに、全てのものの略奪は終わり、人も、物も、何も残っていない、もぬけのからとなった、駐屯地があったのだ。




