アディラの戦い 3
どうすれば、武勲を立てられるだろう? このままではこの戦いに勝てない。自分が上に立ってこの体制を崩さなければならない。
ラダヴィッツ帝国は、他国への侵略を続けている。国土を広くする事ばかりを考える文明なんて珍しくない。
侵略という形で、他国を併合したとしても、民衆は、指導者が変わる事なんて、大した問題とは思わない。
貴族の特権が剥奪され、王族が全員処刑されても、民衆は何も思わないのだ。
そして、新しく入ってきた技術。この国はほかの世界よりも魔法が発達しており、生活にも、魔法の力で動く、魔道具が使われている。
治水整備などもされており、水道も完備をされている。遠くの川から水を引き、噴水や生活用水に使っているのだ。
グラセランドは、いまだに井戸の水を使って生活をしていると聞く。
未知の技術が入ってくれば、民衆の支持も得られる。民衆は、ラダヴィッツ帝国の真の国民になる事を望むようになるだろう。
実際にそうやって、ラダヴィッツ帝国は支配地の拡大を続けてきた。
『戦争をするという事に慣れきっているので、グラセランド王国の侵攻も、簡単なことのように考えられているフシがある……』
グラセランドは小国なれど、文化レベルは高い。
料理やお菓子は独創的で美味しく、兵士も質実剛健な精鋭ぞろいだ。これまでの手作りの槍や、歪んだ弓などを使って戦うような奴らとは違うのだ。
『この惨状では私たちの方が蛮族のようじゃないか……』
これまで戦ってきた蛮族たちは、統率も取れておらず、手製の武器を使って戦っているような奴らである。
グラセランドを、今までの敵と同じに考えていては、痛い目を見る。
『というか、痛い目を見てる……』
侵攻がなかなか進まないので、予算を減らされ、機材も他の部隊に取られている。
本国の言い様では『もっといい生活をしたければ、侵攻を進めろ』との事だ。資金や機材がなくては、侵攻を進めるどころか、押し返されてしまう事態にもなり得る。
『というか、もう押し返され始めてる……』
今の状況は最悪である。それを、わかっているのに何もできないというのは、本当に歯がゆい思いをするものである。
「よう、アディラ坊。いいネタが入ったぜ」
アディラの隣で、地面に寝転んでいるダウカが言った。




