ラディンとフルータの戦場 1
13部 前線送り
フルータは、気の抜けた顔をして芋の皮剥きをしていた。
「ここにいるのは、バイトのおばちゃんよりも使えない人ばっかだ……」
芋の皮剥きをしながら、フルータは考えた。
炊事兵は、元々は徴兵されてきた人間に炊事の仕事をあてがわれただけである。料理なんて作った事のないやつばかりが、集まっているのだ。
『料理なんて、食えればいい。まずくなければ十分だ』
そう思っているだけの奴らばかりである。味の追求や、一手間をかけた料理などは、全く考えられてはいない。
『だけど、こんな所で料理なんか作ってもなぁ……』
周囲を見回すと、調理器具は一通り揃っているものの、調理器具のほとんどは仮設のものばかり。強い火力を出すような器具はない、それだけの事でも、大分作る料理に制限をされる。
「はっはっはっは! この空気! 最高だ!」
テントの外から声が聞こえてくる。
今は日が昇ったばかりの時間。フルータは、まだ皆が寝ている時間であるものの、彼らの料理を用意せなばならないため、先に起きて作っているのだ。
この時間に起きているのは、炊事兵ばかりだと思っていたが、他に起きている者もいるのだ。
「誰なんだろう?」
フルータは、外の声の主を聞くために、テントから出た。
「やはり私のいるべき世界はここだ!」
そう言い、意味もなく太陽に向けて指を指す女の子がいた。
「君……こんな時間に一体何を……?」
フルータは投げやりな態度で聞く。それを聞くと、その子は振り返ってきた。
「なんだ貴様は? 名を名乗れ」
「なんだよ、いきなり随分な挨拶じゃないか……」
フルータはそう言う。別に彼女の素性について言及をしたいワケじゃない。
フルータは、心の底から『メンドくさそー……』と考え、その女の子との会話を切り上げる事にした。
「こんな時間に高笑いをするのは、周りのみんなに迷惑だ。黙ったほうがいい」
そう投げやりに言うと、フルータは自分のテントに戻ろうとした。
「なんだ? 会っていきなり、失礼なやつだな」
「君が言うかい……?」
この話を切り上げたフルータは、テントに戻っていく。
「ラディンに似た感じで、いけ好かないやつだ。お前もどうせ、辺境で育った田舎者だろう?」
「ラディン……? あいつの事を……」
「知っているのか?」と、続けるつもりだったフルータだったが、これ以上この子と話をしても疲れるだけだと、思いその言葉を止めた。
「んー……」
その子はそれを聞くと、フルータのところに走り寄ってきた。
「何か考えている顔だな……言え……何を考えた?」




