↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣と厨房。二人の成り上がり。  作者: 岩戸 勇太
フルータの場合 6
PR
60/115

フルータの場合 26

  12部 都合のいい部下


「レイティとサリルの二人を、一瞬で叩き伏せたんだよ……」

 フルータが厨房に行くと、セルダが上機嫌でほかの料理人達にそう言っているのに出くわした。

「よう、フルータ。お前ってすげえ強いらしいな……」

 料理人の一人が、肩を組みながら言ってきた。

「一体どんな話に?」

 フルータが意味がわからない感じで言うと、セルダが言ってきた。

「昨日の話だよ。レイティとサリルの事を、一発で倒していただろう?」

 セルダが言うフルータはそれで思い出した。

「女の子二人を倒したからって……」

「あの二人、ただの女の子じゃないよ……」

 レイティは、確かに護身術を学んでいたが、それくらいだったら、普通の域を超えるものではないだろう。

「護身術くらいで……」

「だから、普通はすごいの! レイティはなぁ! 護身術で、講師をするのを頼まれるくらいすごいんだから!」

 セルダが言うには、レイティは、人に教えることができるほど腕がよく、この街でも少しは有名らしい。

「そのレイティを一発で転ばせたんだぞ!」

 そう言われればすごい事なのだろう。なんとなく納得してきたフルータ。

「それにサリルの方はどうなんだ?」

 フルータが聞くと、セルダは「うん……うん……」と、いった感じで首を立てに振った。

「あの子も強いよ……なんなら、ちょっと見せてみよう」

 そう言い、芋の皮むきをしているサリルのところに、セルダが向かっていった。

 後ろからそっ……と近づき、サリルのお尻に手を伸ばした。

 そうすると、サリルはその手を取りセルダの事を引き倒した。

「もうっ! 何度も何度も!」

 その後、サリルは膝で、セルダの顔を叩き上げた。

「なんで、こんな事をするんですか!」

 セルダの髪を掴み、顔を上げさせたサリルが言う。

「ほら……フルータが見てる……」

 セルダはそう言い、フルータの事を指さした。

 自分の事を見ているフルータに気づくと、サリルは顔を赤くした。

「こんなところ! 見ないでください!」

 そう言い、サリルはセルダの事を蹴り飛ばし、フルータに背中を向けて芋の皮むきに戻った。

 セルダが、にこやかな顔でフルータのところまで戻ってくる。

「なあ、彼女もすごいだろう?」

「近づくな、女の敵……」

 いくらなんでも、セルダのやった事は褒められたものではない。フルータも呆れた顔でそう言った。

「まあまあ、君にサリルの強さを分からせるためにやったんだ。むしろ、名誉の負傷だろう? 君からそんな言葉を言われると、体を張った意味がなくなるじゃないか」

「思いっきり張らないでいい事で体を張っただろう」

 そう言い、セルダはフルータと肩を組んだ。

「まあまあ……そう言わないで……」

 人の噂も七十五日だ。腕っ節が強いことなんて、料理には全く関係がない。こんな話、この場限りの話題でしかないだろう。

 そう思い、フルータはブイヨンを作り始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。