ラディンの場合 26
11部 ラディンの考え
シャムロックから言われた、決闘の日になった。
自分のベッドで目を覚ますラディン。ぼんやりと、今日の正午の決闘のことを思い出す。
「昨日は軽く考えてたが……かなり厄介な事なんじゃないか……?」
朝起きたラディンは、そう考えた。
シャムロックに負ける事自体はいい。別に、自分は強さを求めているワケじゃない。
だが、どう負けるか? が問題である。
「レクステみたいに、頭を打ったり、胸を突かれたりするのはいやだしなぁ……」
当然、痛いのは嫌だ。それに頭をおもいッきり殴られたら痛いじゃ済まない事態にもなるだろう。
なるべく、最小限のダメージで乗り切らなくてはならない。
「それに、露骨に手を抜いたら、あいつも怒るだろうし……」
シャムロックだって弱い奴ではない。手を抜いたのならば、それくらいは分かるくらいのうでは持っているだろう。手抜きがバレでもしたら、またシャムロックを怒らせる。
「うーん……」と、悩んでいるところ、声がかかった。
「朝食を用意しておきましたよ」
アディセがそう言いながら朝食を持ってきた。
なんか、様子がおかしいと、ラディンは思う。
「今日はやけに豪華だな……」
ラディンにとって、朝食は、パンとチーズをかじるくらいのものである。
それなのに、スープが付き、サラダまである。
「それは……、今日は決闘の日だというので多めにお作りをしました」
歯切れの悪い感じで言うアディセ。
「いつものお前だったら……『今日は決闘の日ですね! 頑張ってもらえるように、私も頑張って作りました!』って、感じになりそうなもんなんだがな……」
「普段、私ってそんな事を言っていますか?」
苦笑いをしてごまかすアディセ。その様子を見て、ラディンはアディセの事を疑って目を細めた。
「まあいい。朝食を食わせてもらうぞ」
「はい……どうぞ……」
ラディンがそう言うと、アディセは元気のない様子でそう言う。ラディンが自分の執務机にトレイを置いた。
ラディンが横目でアディセの事を伺っていると、アディセはラディンの事を、じっ……と、見ていた。
「それじゃあ、このスープから」
アディセの様子を、横目でしっかりと観察をしながら言うラディン。
そのスープに一口口をつけると、ラディンは異変に気づいた。味がおかしいのだ。
ラディンはアディセの方を向き、顔をしかめた。
「何を入れた……?」
そう言われるとアディセは体をビクリと震わせた。そうして、アディセは俯いてしまい、返事を返さなかった。




