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剣と厨房。二人の成り上がり。  作者: 岩戸 勇太
フルータの場合 5
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フルータの場合 25

 そこに、声がかけられた。

「フルータ。私の得意のお菓子を作ってきたんだ食べてよ。そんな奴の料理なんて、食べなくてもいいから」

 サリルの声である。

「そんな奴? 何様のつもり? パティシエ崩れ……」

 レイティは、サリルに向けて、冷たい声で言う。

 それに、一歩下がって身を引いたサリルだが、レイティの気迫に負けないようにして一歩前に出た。

「そんなに作ってどうする気なの? あなたの料理はブタのエサにもならないんじゃない? そのへんに捨てたりしたら、土が汚染されるから、自分で食べてね」

 フルータは、サリルのいきなりの変わりように驚いていた。

「君……そんな言葉を使う奴だったのか?」

 いきなり、汚い言葉をつかうようになったサリル。サリルは俯いて、恥ずかしそうにしながら言った。

「お父さん譲りなの……敵にはこんな言葉を使うべきだって……」

 サリルは言う。その様子を見ると、言葉の意味をまったく分からずに使っているような感じがする。

「どうかな? 変じゃないよね?」

 サリルが、そうフルータに向けて聞いてくる。

「変すぎる……そんな言葉を使う子は、ボクは嫌いだよ」

 そう言うと、サリルは泣きそうな顔をして驚いた。

「そんな……戦場でのマナーとか、周囲への示しをつけるためとか聞いていたのに……」

 『天然か?』と、思うフルータ。だが、女はそういう態度を一番嫌うのものである。レイティは、サリルの言葉に随分イライラしていたようだ。

「何よあなた。意味も分からずそんな言葉を使っていたの? 本当は分かっていたんじゃない? 分からずに使っていたなんて、かわい子ぶっちゃっているだけでしょう?」

「本当に分からなかったんです。信じてくださいフルータ!」

「今、フルータの名前を呼び捨てにしたわね!」

 サリルの、天然なのか? それとも分かってやっているのか? が、分からない言い様で、どんどんレイティの琴線に触れる言葉を言い続ける。

 レイティは、サリルに向けて突撃をしていった。

「ブリッ子ぶるのはやめなさああぁぁぁあい!」

「やめないもん! フルータは私のものなんだから!」

 サリルもレイティに合わせて構えを取った。サリルも武道の心得があるのだろう。ついでに、レイティも護身術を習っていたと言っていた。

「これは取り返しのつかない事になるんじゃ……?」

 セルダがそう言った。

「やっぱ、そう思うよな!」

 フルータは、二人に向けて駆け出した。

「危険だよ! ああなったレイティは止められない!」

 セルダが止めようとしてそう言うが、フルータは止まらず二人の間に割って入っていった。

 フルータは、サリルの肩を掴んでサリルを引き倒した。続いて、フルータはレイティの足を引っ掛け、レイティを転ばせた。

「二人共、頭を冷やせ!」

 その言葉が、鶴の一声になった。一気に引き倒された二人は、それからいがみ合うのをやめて大人しくなっていく。

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