↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣と厨房。二人の成り上がり。  作者: 岩戸 勇太
フルータの場合 5
PR
48/115

フルータの場合 21

  10部 ただの素直な部下


「フルータ君。君は大勢の料理を同時に作ったことはあるかい?」

 フルータが料理長に向けて、朝の挨拶をした後、料理長から唐突に言われた言葉である。

「何度かあります。お祭りの時など、参加者達にスープなどを作ったりして……」

「そうか……ありがとう……」

 そう言い、料理長はフルータの前から去っていってしまった。

 何が聞きたかったんだろう? と、思ったフルータだが、その事を考えるヒマはフルータには与えられなかった。

「フルータ……昨日は、最後まで選ばなかったけど……」

 レイティがジトリとした目でフルータを見つめながら言う。フルータはその視線をまっすぐ受け止める事ができず、自分が作っているブイヨンの事を、じー……っと、見つめた。

 あの後、フルータは二人の前から逃げ出した。

 自分の部屋に戻り、今の状況を頭の中で整理したフルータ。まさか、あんな事になるなんて予想もしていなかったフルータは、少し考えてから結論に至った。

「やっぱサリルの事を諦めよう……」

 そう、フルータが小さな声で言うと、レイティは最後にきっ……と睨んでフルータの前から去っていった。

 その時、フルータは自分に背を向けていくレイティの事を見て、ほっ……とした。

 フルータにとって、レイティは自分では手に余る子である。

 セルダから聞いた、嫉妬深く、執念深く、恋には一途……というか、恋には病的なほどの執着心がある。

 だが、自分なら、上手くあの子をいなす事ができると思っていた。

 だが、サリルが間に入ってきた事により、それが、とてつもなく困難なことになった。

 フルータ自身から見て、レイティは可愛いし、子爵の家の出である事も、権力欲の権化である部分のフルータにとっては魅力的だ。

 だが、サリルの出現により、執着心に歯止めのかからなくなったレイティは、暴走をしかけている。

 今、レイティの事を見ると、料理に集中しているように見えて、ところどころで機嫌の悪さが出ている。

 包丁を食材に入れる時に、やたらにブツ切りにしたり、一度串を通して硬さを確かめるだけで十分な芋に、やたらと針を刺している。

「名前で呼んじゃっていいかな……フルータ……」

 後ろで芋の皮むきをしているサリルが、声をかけてくる。

「やめてくれないか? さっきのを見ていただろう?」

 こんな事がバレたら、またレイティの機嫌が悪くなる。そんな事はサリルだって分かっているだろう。

「だけど、君にしか頼れないの。私はそんなに世渡りが上手くないし……」

「いくら食いついても、ボクは君の所にはいかないぞ」

「そんなの困る。私には君だけだから……」

 なんか、途中から聞いたら、何か勘違いが起きそうな事を言ってくるサリル。芋の皮むきを丁寧にやっている姿を見るが、その様子を、ほかの料理人たちが、気にしているように見ている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。