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剣と厨房。二人の成り上がり。  作者: 岩戸 勇太
ラディンの場合 5
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ラディンの場合 24

 理由は一つである。

『私より弱い奴の風下に立つ気はない……』

 そう考えるが、すぐに頭に考えが浮かんでくる

『そもそも、この考え方が頭の悪い考えなのかも……』

 自分よりも強い奴にしかなびかない。こんな考えをラディンに教えたら、また『脳筋』とか言われそうである。

 そこまで分かっていても、レクステは隊長親子に尻尾を振る気にはなれなかった。

「ああ……バカバカ私のバカ……こんな事で頭を悩ませるなんてクソだ!」

 頭を抱えながらそう考えるレクステ。

「あいつは私に勝っているし……資格が無いワケじゃないんだが……」

 そう、洗濯物をゴシゴシと擦りながら言うレクステ。この黄ばみを取るため、力いっぱい洗濯板に、洗濯物を押し付けた。

「あのーレクステ様ですよね……?」

 そう言われ、レクステは振り返った。

 レクステが振り返ると自分の顔を見て、驚く使用人がいた。

『この子は、あいつの専属メイド……アディセとか言ったか……』

 怯えた様子のその子に向けて刺のこもった言い方で言う。

「何の用だ?」

 そう言い、レクステは自分の洗濯物に戻った。

「あの……そんなに力いっぱいゴシゴシしたら、洗濯物が……」

「洗濯物がどうしたって?」

 レクステはまだぶっきらぼうに返す。

「洗濯物を取り上げてみてください」

 そう言われ、レクステは無言で洗濯物を上げた。

 その洗濯物には、穴が空いてしまっていたのだ。


 洗濯物に穴を開けてしまった事を報告すると、隊長は烈火のごとく怒った。

『洗濯物もロクにできないのか!』『剣だけ上手ければいいものじゃない!』『そんなんで、よく騎士なんて名乗れるな!』

 それらの事を言われたレクステは、心の底から怒りが湧き上がってきた。

『そんな事まで関係ないだろう……』

 明らかに、感情的な言いがかりばかり。それでもレクステはその言葉に耐えたのだ。

 隊長の説教が終わると、レクステは自分の部屋に戻っていった。

「あの使用人の話……あいつらがあんな事をしていたなんて……」

 あの使用人。アディセはとんでもない事をレクステに教えた。

 シャムロックはラディンに薬を盛って勝負をするつもりのようであるという。

「どこまで腐っているんだ……」

 あの隊長が隊長なら、息子も息子だ。

 散々に卑猥なことをして、決闘でも卑怯なことをして、そのくせレクステには騎士の心得などを説教している。

「あんな奴らに……あんな奴らに……」

 話をしって、ムカムカしていくるレクステ。アディセから、その話を聞いたときの事を思い出す。

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