ラディンの場合 20
「では……これからだ。まずはこれをやってみよう」
レクステは、自分の注文したアイスをスプーンですくい、ラディンの目の前に突き出してきた。
ラディンは、何も考えずにレクステのスプーンのアイスを食べた。
『これ……アーンってやつ?』
食べたあとになって、そう考えたラディン。レクステの事を見ると、ラディンから目をそらし、自分の目の前にあるアイスを、さっきのスプーンでつついていた。
「なんだ……恋人同士なら、普通の事なんだろう?」
どうも、恥ずかしくてラディンと目を合わせる事ができないようである。、うつむいたままのレクステは、どんどんとアイスにスプーンを突き刺していく。
アイスの形が見るからに崩れていき、すでにシャーベットのような状態になってしまっていた。
「ククク……」
ラディンはこのおかしな光景を見て、思わず笑ってしまった。
「なんだ、笑うな! 一度やってみたかったんだ。……その……こういう事……」
「それに、恋人同士なら、やって当然の事だしな……」
そう、レクステの言葉に答えるラディン。
「そうだな! これから、恋人同士のフリをするんだ。これくらいの事はやって当たり前だ!」
そう強がって言い出すレクステにに、ラディンは笑いながら言った。
「これからよろしく。偽の恋人さん」
その後、ふたりで一緒になって喫茶店から出ていった。
二人共向かう先は同じ。王宮に戻って、明日のために寝る事である。今、空は星空になっていて、道行く酒場くらいしか、灯のともっている家屋はない。
この道には、街灯なども設置されておらず、道を歩くのには、星の光のみを頼りにしている状況だ。
隣を歩くレクステは、ラディンのすぐ隣について歩く。
レクステはおもむろにラディンの手を握った。
「これも恋人のフリか?」
ラディンがニヤリと笑いながら言う。その表情を見たレクステは、ラディンから目を外して言う。
「こんな事で、ニヤニヤするな」
ラディンは、レクステの可愛い行動を見て、こみ上げる笑いを我慢することができなかった。
「そりゃないぜ。ハニー」
ラディンが言う。
レクステは、いきなり顔を赤らめて言った。
「ハニーと呼ぶな! こっ恥ずかしいだろうが!」
そう言い、レクステはラディンに向けて抗議をするような様子で言った。




