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剣と厨房。二人の成り上がり。  作者: 岩戸 勇太
ラディンの場合 4
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ラディンの場合 19

「この場所で、そんな事を言うんじゃない……」

 そう言い、周りを見回すラディン。周囲を見てみても、周りの客たちは自分達の事は、気にとめていないようだ。

「一応親衛隊は、『皆の規範になる高潔な騎士達』で、通ってる。内情を他所に漏らすような事をするな」

「う……そうだな……」

 レクステがそれで、小さく縮こまってしまった。そこに、ラディンは一応、メニューを使ってレクステの頭を叩いておく。

 パンッ! という音を聞き、周囲からの視線が一瞬だけラディン達に集まった。だが、そんなものならば気にしなくていい。

「なあ、私はどうすればいいんだ?」

 また同じ質問をしてくるレクステ。それを聞くと、ラディンは「うーん……」と、考えながら首をかしげた。

「普通に、戦場に行きたいと、隊長に言えばいいんじゃないか?」

「隊長なんかに物を頼むのしゃくだ」

 それを聞くと、イラッときたラディン。

「なら、隊長ではなく、時々この王宮にやってくる軍司令に頼むとか……」

「軍司令は、親と繋がっている。そんな事をしたら、親に引き止められるぞ」

 ラディンは、それで、奥歯を噛んだ。

「なら、俺と恋人にでもなっちまうか?」

「なんだと……?」

「俺は、隊長達に嫌われてる。すぐにでも前線送りにされても不思議はないからな」

「前線か……」

 そう言い、レクステは顎に手を当てて考えた。それを見たラディンはニヤリと笑う。

『こういう奴は、単純すぎる……』

 ラディンは別にレクステと一緒に前線送りになる事なんて、考えてはいない。適当に言いくるめて、レクステを隊長に献上するのもいいかもしれない。それくらいに考えているだけだ。

『なあに……こいつだったら、上手く言いくるめちまえば結構素直にハイハイ言うかもしれん』

 心の中でそう考えるラディン。だが、それは顔に出さない。顔をニヤつかせるのは隠さなくてもいい。今は冗談半分でものを言っている状態だ。

「まあ……いいかもしれん……」

 レクステは言った。あまりにあっけなくレクステがそう言ったので、ラディンは拍子抜けしてポカンとした顔をした。

「なんだ! その反応は!」

 ラディンの表情を見て、レクステが言う。

「まさか、こんなにあっさりといくとは思わなくて……」

 ラディンが言うのに、レクステは「ふん……」と、鼻を鳴らす。

「だが勘違いするなよ! 前線に行きたいからそうするんだ! お前の事なんて、これっぽっちも好きでも何でもないんだからな!」

「それは重々承知だ……」

 レクステの気迫に押されるラディンは言う。

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