ラディンの場合 1
ラディンは、親衛隊に入るための試験を受けた。
その試験は簡単で、親衛隊の一人と戦って勝つというシンプルなものだった。他に、礼儀作法や、最低限の一般知識などの教科もあったが、それら全ては、ラディンも勉強をしてある。
筆記のテストも、簡単に合格をする事ができた。
そして今、親衛隊の見習いとして、王宮の警護をしている。彫刻や絵画の飾られた廊下を、親衛隊の仲間と一緒になって歩いている。
今は、王宮内のパトロール中だ。ラディンの案内のために、一人の若い親衛隊の隊員に引率をしてもらいながら、王宮内を歩いている。
王宮の中は贅を尽くした内装になっている。大理石で作られた像が廊下の両脇に並び、絵画も壁にかけられている。
それが、ずっと先にまで続いているのだ。先に壁が見えないくらい遠くに廊下の終わりがあるのである。
「新入り、きみってすごい強いんだって? きみの相手をしたのは、親衛隊でも一番強いシャムロックだったって話じゃないか」
ラディンの隣を歩いている親衛隊が言う。
彼の名はレナード、この親衛隊のなかでも、友人が多く、ムードメーカー的な役割を持った男だ。
ラディンは、冷静に分析する。
『誰にだって気に入られる必要はあるが……彼とは特に仲良くしないと……』
そう、黙考をしたラディンは、猫をかぶって礼儀正しくしながら言う。
「私は、腕に自信がありました。腕試しをするつもりでやって来たのですが……」
「いや、待て待て……」
レナードが手を振ってラディンの言葉を止めた。
「そんなに気を使わなくていいよ。敬語なんて使わずに、俺の事だって『レナード』って呼んでくれ」
気さくにそう行ってくるレナード。
「それでは、『レナード』俺自身、自分がこんなに強いなんて思わなかったよ。出身の街では、ちょっとは、名の知れた奴だったんだが、自分が『井の中のかわず』だったらどうしようか? って、思ってたんだ」
「そうか『井の中のかわず』ねぇ……」
レナードは上を向きながら考え出した。
「ここも『井の中』なのかもしれない。結局一番腕が立つのは、前線で戦っている兵士部隊なんじゃないか? って言われているからね」
確かにそうだろう。毎日命懸けの戦いを続けている者の方が、温室でぬくっている者より強いのだろう。
ラディンはそう思った。




