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プロローグ

  プロローグ


 ラディンとフルータは、お互いに幼馴染であった。

 二人の育った場所は、そう大きくないものの、そこそこの街である。

 ラディンは、剣術の能力に秀でており、そこらの大人にも負けないくらいの素養があった。

 普段から、『この街を出て、俺は親衛隊に入って、隊長になってやる!』などと、人目をはばからずに言っており、ラディンは、この村の希望と呼ばれ、親衛隊に入って、隊長になって故郷に錦をあげて帰ってくるのを、皆楽しみにしていた。

 その親友のフルータは、料理が上手で、料理教室を開き周囲の主婦に新しい創作料理を教えたりして、生活をしていた。

 彼らは、十六歳になり、この街では、成人として認められるようになった。その時に二人は一緒に街から飛び出したのだ。

 彼らの向かう先は、ふたり揃ってこの国の聖都である。


 ラディンは、王宮戦士になる試験を受けるため、そして、フルータは宮廷料理人になる試験を受けるため。二人は、夢をつかむために旅立ったのだ。

 今は、荷馬車に乗せてもらい、王都にまで向っているところだ。

 傾いてきた夕方の太陽。昼より弱くなり、茜色に染まった夕日を見て、感傷的になったフルータはラディンに向けて言う。

「ボクたちは、別の所に行くんだよな……キミと、会えなくなると思ったら、調子が狂うな」

「まったく、調子が狂うとか言うな……素直に寂しいと言えよ」

 ラディンはそう言った。

 二人共、幼馴染として一緒になって育った仲だ。その友人と、これから長く会えなくなると考えると、寂しいような気もするラディン。

「いや、清々するよ。キミは、普段から剣術の話しかしないからね。とっくの昔にうんざりしていたんだ」

 ラディンは「けっ……」と言って、フルータの言葉に返した。

「うんざりしていたのかよ……」

 ラディンは、そう言った。

「そうだね。これから筋肉バカの相手をしなくて済むと思うと、気持ちいいね。バカのメシを作るのは、本当に飽き飽きだった」

「まあ、言いたいだけ言わせてやる。お前のメシは俺の事を思って、栄養バランスを考えて作ったメシだったんだろう? 俺がここまで強くなれたのは、お前のおかげだよ……」

 そうラディンが言うと、フルータは頭を抱えた。

「だから調子が狂うって言ってるんだ!」

 頭の中のモヤモヤを払拭しようとしているように、頭を振りながら言い出す。

「いつものように、憎まれ口を叩けよ! ボクだけが嫌味を言っている嫌な奴みたいじゃないか!」

 そう、フルータが言うと、ラディンは言った。

「今頃わかったのか? お前は嫌味と憎まれ口を叩かせたら天才だからな。今更、お前の嫌味を聞いたくらいじゃ、なんとも思わんよ」

「嫌味が上手なのはキミも同じだ。誰が、嫌味と憎まれ口の天才だって?」

 そう言い、フルータはラディンの服の胸ぐらを掴んだ。ラディンは、フルータの視線を受けながらも、ニヤリとして顔を歪めた。そして、少しだけにらみ合いをすると、お互いに、「フッ……」と言って目を外した。

「キミとこんな事もできなくなるなんて、やっぱり寂しいな」

 フルータが言う。

「清々とするんじゃなかったのか?」

 最後にフルータに向けていったラディンはフルータと一緒になって夕日を見つめた。

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