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91『ヴィヴィアンヌ・ギィ辺境伯夫人』

 前日、夫の辺境伯からアンナリーナの事を聞いた夫人は歓喜した。

 彼らの子供は男子のみ3人。

 それも、とっくに成人している。

 かねてから女の子が欲しかった夫人は、アンナリーナの申し出が突然の事ながら出来うる限りの準備をして、紹介を待っていた。


 そして待ちかねて飛び込んだ居間には、決して美少女とは言えないが、内包されている魔力が溢れ出す【魔女】がいた。



「ようこそ、いらっしゃい。

 お待ちしていたのよ。よくいらして下さったわ」


 満面の笑みで辺境伯夫人が近づいてきた。


「わたくし、ヴィヴィアンヌと言うのよ。リーナさん。

 さあ、こちらにいらして」


 40半ばの辺境伯夫人は、今でもとても美しい。


「私のサロンでお話ししましょう。

 リーナさんをお借りしますわね、旦那様」


 アンナリーナは、あっという間に連れ去られてしまった。



 ヴィヴィアンヌ夫人は目の前の小さな薬師殿をすっかり気に入ってしまった。

 栗色と黄金色の混じった髪は魔力を纏い、こげ茶の瞳の虹彩には金色に輝く細かなラメが散っている。

 オフホワイトのローブの下に着ていたワンピースも素晴らしかった。

 通常よりずいぶん太めの糸で織った絹。それで作られたAラインのロングワンピースは待ち遠しい春に芽吹く明るい緑。

 派手でもなく、地味でもないデザインで訪問着としてピッタリだろう。


「それで、マナーとドレスコードとお聞きしたのだけど?」


「はい、よろしくお願いします」




 ユングクヴィストのパートナーとして出席するパーティが、王室主催の年越しパーティーだと知ったのは、本番の直前わずか3日前だった。


「確信犯ですね?ユングクヴィスト様」


 少々気分を害したアンナリーナが、恨みがましそうに睨み、そして笑った。


「大丈夫ですよ。

 支度はすべて調っています。

 それよりもユングクヴィスト様、ちゃんとダンス……踊って下さいね」


 やり返した。

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