第一話 復讐鬼 優星
はじめまして、大森林総史です。
主人公・優星が復讐の果てに何を見るのか。
そんな物語を書いてみました。
よろしければお読みいただけると嬉しいです。
時は幕末――。
黒雲に覆われた夜空の下、山道を吹き抜ける風が草木を揺らしていた。
遠くで雷鳴が鳴る。
その山道を、血の付いた袋を抱えた男達が歩いていた。
「ヘヘ……今日は大当たりだったなぁ」
「代官様々だ。役人も見て見ぬふりだぜ」
袋の中から、女物の簪が転がり落ちる。
「おっと」
男は笑いながら、それを踏み潰した。
その瞬間だった。
――ドスッ。
鈍い音。
盗賊Aの身体が硬直する。
「……え?」
口から大量の鮮血が噴き出した。
胸を、黒い刃が貫いていた。
「な、何だこれは……!?」
闇の中に、一人の男が立っていた。
黒装束。
顔の半分を布で隠し、冷たい眼だけが闇に浮かぶ。
男は静かに刀を引き抜いた。
血飛沫が舞う。
「死ね……」
次の瞬間。
ザンッ!!
盗賊の首が宙を舞った。
「ひっ……!!」
盗賊は腰を抜かし、地面を這うように後退する。
「ま、待て! 金ならやる! 女も! だから――」
「問答無用⋯」
低く、押し殺した声。
その声には怒りすら無かった。
あるのは、冷え切った殺意だけ。
「ば、化け物……!」
優星が一歩踏み出す。
雨が降り始める。
「死ね⋯!!」
「来るなぁぁぁ!!」
盗賊は刀を振り回し突進した。
だが――。
一瞬。
優星の姿が消えた。
「……え?
背後。
「遅い⋯」
ザシュッ――!
鮮血が闇夜に弧を描いた。
盗賊は崩れ落ち、動かなくなる。
静寂。
雨だけが降り続いていた。
優星は無言で血を払い、立ち去ろうとする。
その時。
地面に落ちていた簪が目に入った。
優星の手が止まる。
古びた簪。
どこか懐かしい意匠。
優星はそれを拾い、強く握り締めた。
その脳裏に、一人の女性の笑顔がよぎる。
『ほら、そんな泣き虫じゃ立派な男になれないわよ?』
優しい声。
暖かな笑顔。
だが次の瞬間――。
鮮血。
炎。
そして、あの男の剣。
優星の目に、憎悪の炎が宿る。
「……待っていろ」
(優星、AIイラストです)
雨の闇を睨みながら、低く呟く。
「あの人斬りも……悪代官も……必ず俺が斬る」
雷鳴が轟いた。
黒衣の忍は、闇の中へ静かに消えていく――。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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