第八話:門番と荷車と、ついでのチャラ男
「ミズキ様、そろそろ皆を帰しませんと。この巨体を引き連れて街に入れば、それこそ討伐対象になりかねませんぞ」
ゴンの言葉に、私はハッと我に返った。
白虎が大きな前足で、デコピンで仕留めた熊(五号くん)をズルズルと運んでくれているけれど、この光景はさすがにシュールすぎる。
「そうだね、みんなまた今度ね。ありがと!」
私が念じると、四聖たちは名残惜しそうにしながらも、キラキラとした光の粒子になって消えていった。
「う〜ん。で、この熊は……やっぱり最後は私が運ぶのかな?」
「ミズキ様、力持ちじゃありませんか。指一本で岩を砕く御方が何を仰いますやら」
「……反論できないのが辛いわ」
私は溜息をつき、自分より数倍大きな熊の足を掴んだ。……うん、軽い。小指一本で引きずれる。でも、見た目が「巨大な熊の死骸が勝手に動いている」ようにしか見えないのが問題なのよね。
トボトボと街の門まで戻ってくると、昨日も見た門番のおじさんが目を剥いて立っていた。
「お、おい……お嬢ちゃん、無事……か……!?」
「無事だよ、怪我一つないよ」
「その、後ろのは……?」
「襲ってきたから倒した。使い魔が(※本当は私だけど、説明が面倒なのでゴンのせいにする)」
「いやいやミズキ様、某は草むしり担当でしたがな!」とゴンのツッコミが飛んできたけど無視だ。
「ま、まあ、無事ならよしとするか。……で、その熊はどうするんだ? 引きずってギルドまで行くのか?」
どうするって言われても、他に運びようがないし……と困っていると、門番のおじさんが奥に向かって叫んだ。
「おい、誰か荷車持ってきてやれ!」
中からガラガラと音を立てて荷車を引いてきたのは、一人の兵士さんだった。
……なんだか、すごく、**チャラい**。
髪は遊んでるし、鎧の着こなしもどこか着崩している。
「はいはい、お呼びかな〜? ……っておわっ! デカい熊だねぇ! これ、お嬢ちゃんが?」
「使い魔が、ね」
「へぇ〜、大したもんだ。で、荷車に乗せたけど……」
チャラ男さんが手際よく熊を積み込んでくれた。……のだけど。
「……荷車、引けない」
手が届かないわけじゃない。ただ、10歳の女の子が巨大な荷車を軽々と引いて街を爆走する姿は、あまりにも「普通」からかけ離れている気がする。
「しょうがねぇな。おいらがギルドまで運んでやるよ。お嬢ちゃん、危ないから後ろついてきな」
「えっ、いいの?」
「いいよいいよ、可愛い女の子の頼み(?)ならね〜。ほらよっと!」
チャラ男さんは意外にも(失礼)力持ちで、グイグイと荷車を引いて歩き出した。
「(……なんか失礼なこと考えたろ、お嬢ちゃん?)」
「いや、そんなことは……ちょっとあるけども」
「正直だな!」
ケラケラと笑うチャラ男の兵士さんに連れられ、私たちは再びギルドへと向かった。
ううう、使い魔やおっ……お兄さんに顎で使われるご主人様ってどうなの?
ウ〜ん、アイディアがでない。感想お待ちしております。え?




