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埋葬としての封印で、最奥を目指す

追放されたジンは、 歴代勇者の痕跡をたどる!

https://hatuyuki-ku.com/?p=4566

 フランソワーズは、帝国博物館で会ったアティーファを宿に連れ帰った。


 従業員がボロをまとった顔を見せない老婆に顔をしかめるも、フランが追加料金を払うことでしぶしぶ了承。


 二部屋をつなげたような広い部屋で、アティーファが見回す。


 頷きつつ、しわがれた声で話す。


「ふむ……。悪くないの! 妾(わらわ)の食事は、適当で良いぞ?」


 返事を待たず、近くにある椅子に座った。


 それを眺めたフランは、息を吐く。


(堂々としている……。従者がいることに慣れている雰囲気だ!)


 住む場所がないと聞いて、逃がさないため、暗殺されないために保護した。


 ともあれ、明日はいよいよ――


「フラン? 妾を助けてくれたこと、礼を言う! そなた、聖女リナとシャーロットに会わず、このまま帰る気はないか?」


 心配そうな声音に、フランが振り向く。


 顔を見せないアティーファは、そのままで見つめ返す。


「妾は、ヘト・ネテルへ行く! 1つ、確認しておきたいのでな? 妾に残された時間も、少ないだろう」


「忠告はありがたいけど、僕も2人を助けないと……」


 ひょいっと肩をすくめたアティーファは、黙り込む。



 ――翌日の午前中


 フランソワーズは、アティーファを連れて、ヘト・ネテルへ。


 封書で指定されたのは、この遺跡への観光ツアーだった……。


 どこかの制服を身に着けた若い女が、愛想よく告げる。


「足元に、お気をつけください! では、入ります」


 仮設として組まれた足場を上り、老若男女が縦一列となっての侵入。


 巨大な石灰岩で囲われた通路を抜ければ、広いホールのような空間へ!


「わー、すごい!」


「考古学的に、貴重な体験だ」

「はい、教授……」


「…………」


「蒸し暑い! 早く、終わらないかな?」


 感動する面々に対して、アティーファは嘲笑するような雰囲気。


 気になったフランが訪ねようとしたら、ゴゴゴと地面が揺れ始め、重い物体がいくつも落ちる音。


 ズズズンッ!


 土埃によって視界をふさがれ、せき込む観光客も。


 揺れが収まった。


「な、何が?」


「えーっと……。あれ!? 出口がない!」


 飛び上がった現地ガイドの叫びで、ツアーの一行も事態を把握した。


 巨大な石灰岩のブロックが積み上がり、入ってきたばかりの場所をふさいでいる。


「おい! どうするんだよ、これ!」


「お、落ち着いてください! 私も、こんな状況になるとは――」


 相手が若い女だからか、取り囲んだ観光客がワイワイと騒ぎ出す。


 日焼けしたエキゾチックな女は、もう涙目。


 おそらく、このために雇われた。


 それを横目に、フランが中で待っていた聖女リナとシャーロットに話しかける。


「こんな話だと、思ったよ!」


「すみません……」

「私たちじゃ、どうにもならなくて」


 当たり前のようにいるアティーファが、言い捨てる。


「仮にも、王族の墳墓だ! 冥途の土産に、しっかり見ておくといい」


 視線で訴える女子2人に、フランが紹介する。


「ここの帝国博物館で会った! 来たがっていたから、連れてきただけ」



 それぞれの自己紹介が済み、改めて協議する。


 リナは、期待を込めての質問。


「あなたの力があれば、すぐに脱出できるのでは?」


「うーん? ソフィアだったら、岩のブロックに穴を開けたけど……」


 土の精霊ノームであるソフィアは、何も知らない。


 帝都ロイトフェーンで、外交や情報収集に励んでいる。


 高圧の水流ジェットで穴開けをやってもいいが、勢い余って、周りごと崩れるだろう。


 水の精霊ウンディーネのフランは、この状況と相性が悪い……。


(デアゼー教の奴ら、それなりに考えているようだね?)


 面倒で、都合が悪い証言をしそうな聖女リナとシャーロットを口封じ。


 それを生餌(いきえ)に、始末したいフランを誘い込む。


(現地ガイドと観光客は、必要な犠牲と! 僕を不審がらせず、事故を装うためにも、ここは外せないわけだ)


 上の天井から、うっすらと日光が差し込んでいる。


 とはいえ、いきなりの密室だ。


 状況を自覚し始めた順番に、現地ガイドの若い女へ詰め寄っていく。


 ここで、アティーファが思わぬ一言。


「妾は、奥へ向かう! そなたらも、好きにしろ……」


 しわがれた声だが、助かるヒントを探していた女が飛びつく。


「あなたは、ここに詳しいんですか!?」


 今にも掴みかかりそうだった観光客から逃げるように、パタパタと走ってきた。


 それに伴い、怒り心頭に発する一行も。


 顔を隠しているフード姿だが、老人であれば、ここの秘密を知っていてもおかしくない。


 藁にもすがる様子に、アティーファは肩を震わせた。


「妾とて、実際に足を踏み入れたのは初めてじゃ! 奥へ通じる道は、知っているつもりだがな? ついてきたければ、好きにしろ」


 言い終わるや否や、背を向けた。


 教授と呼ばれていた爺さんが、ポツリと言う。


「盗掘者が掘った出口があるかもしれん!」

「……そ、そうですね」


 それを皮切りに、口々に同意していく。


「奥まで行けば、外に出られる道もあるだろう?」

「……ああ!」


 ゾロゾロと歩き出した一行に、同じように歩くフランは肩をすくめた。


 シャーロットが、小声で尋ねる。


「ねえ? 本当に、ダメなの?」


「お前たち2人を見捨てるなら、僕はすぐに助かるけどね? それじゃ、わざわざ来た意味がない」


 あっさりと答えたフランに、シャーロットは顔を引きつらせた。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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