突破口
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中央が、押される。
白甲冑の列が、一歩出るたび。
盾列が下がる。
ギィンッ――!!
槍が突き込まれる。
兵が崩れる。
「支えろ!!」
ケッヒル隊長の声が飛ぶ。
だが。
止まらない。
揃いすぎている。
槍を出す角度。
踏み込む足。
引く動きまで。
全部、同じだ。
「くそっ……!」
グリードが大剣を振り抜く。
ドォンッ!!
白甲冑ごと吹き飛ばす。
だが。
倒れたはずの一体が、また立ち上がる。
乱れない。
また同じ構え。
「なんなんだよ、こいつら……!」
右列。
ルー・シャウが斬り込む。
低く滑り込み、膝裏を裂く。
だが。
白甲冑は止まらない。
槍が来る。
フィオが双剣で弾く。
火花が散る。
「……痛覚が薄い?」
初めて、フィオの笑みが消えた。
左列。
「エイゼン!」
レオンが叫ぶ。
「見ろ!」
「見てる!」
叫び返す。
でも。
わからない。
強い。
硬い。
揃ってる。
それだけじゃない。
何かある。
もう一度見る。
槍。
同じ。
足。
同じ。
呼吸。
――ない。
いや。
違う。
「……合わせてる?」
思わず漏れる。
レオンの目が動く。
「何だと」
「こいつら、同じ動きしてるんじゃない」
中央。
白甲冑が踏み込む。
全員、同時。
「合わせてるんだ」
ぞくりとした。
「ズレが、ないように」
その瞬間。
ギィンッ――!!
シンの剣が、白甲冑の槍を逸らした。
ほんの少し。
ズレる。
その一瞬。
後ろの白甲冑と、動きが噛み合わなくなる。
槍同士がぶつかった。
「――っ!?」
見えた。
初めて。
乱れた。
「レオン!!」
叫ぶ。
「ズレたら崩れる!!」
一瞬。
レオンの口角が上がった。
「そういうことか」
すぐに振り向く。
「中央!!」
「タイミングを乱せ!!」
兵たちが動く。
盾をぶつける。
槍を引っかける。
無理やり、動きをズラす。
ギィンッ!!
ガギンッ!!
白甲冑同士の槍がぶつかる。
初めて。
列が乱れた。
「押せぇぇぇぇ!!」
グリードが吠える。
カイゼルが前へ出る。
今度は違う。
大剣が振り下ろされる。
ドォンッ――!!
乱れた白甲冑が、まとめて吹き飛ぶ。
中央が、前へ動いた。
「行ける……!」
胸が熱くなる。
その時だった。
黒外套が、初めて笑みを消した。
「……早いな」
低い声。
次の瞬間。
門の奥。
さらに奥の暗がりから。
重い音が響いた。
――ゴン。
白甲冑たちが、同時に止まる。
空気が変わる。
黒外套が、静かに下がった。
「下がれ」
白甲冑が、一斉に道を開く。
奥から。
何かが来る。
それだけで。
兵たちの顔色が変わった。
カイゼルだけが、前へ出る。
「……次か」
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