粉砕
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「壊せばいいんだろ」
次の瞬間。
地面が、鳴った。
石畳が沈む。
カイゼルの踏み込みだった。
巨躯が、一直線に走る。
速い。
あり得ないほど。
敵兵の目が見開かれる。
黒装束が二人、前へ出る。
迎え撃つ構え。
だが。
遅い。
ブォンッ――!!
大剣が振り抜かれた。
風圧だけで、一人が吹き飛ぶ。
刃の軌道にいたもう一人は、盾ごと壁へ叩きつけられた。
止まらない。
カイゼルは、そのまま敵列へ突っ込む。
ドォンッ!!
中央が弾けた。
人が舞う。
槍が折れる。
石片が飛ぶ。
敵の隊列、その真ん中だけが消えていた。
「……うそだろ」
兵士の声が漏れる。
ぽっかり開いた突破口。
門の奥へ続く、一直線の道だった。
ケッヒル隊長が即座に剣を上げる。
「中央、進め!」
声が響く。
兵たちの目に火が戻る。
「おおおおお!!」
盾列が走る。
槍列が雪崩れ込む。
崩れた敵中央へ、一気に食い込んだ。
グリードが笑う。
「最高じゃねえか!!」
大剣を振り下ろす。
倒れかけた敵兵が、まとめて崩れる。
レオンの声が飛ぶ。
「左列、中央へ寄せろ!」
「右列、回り込め!」
戦場が、一つの生き物みたいに動き出す。
右列。
ルー・シャウが駆けた。
敵兵の肩を踏み台に、さらに奥へ跳ぶ。
「遅いわね」
刃が閃く。
二人倒れる。
その横で、フィオの双剣が踊る。
槍の穂先だけが、次々と宙を舞った。
「力任せは、美しくありません」
笑ったまま、敵を転ばせる。
右列が前へ伸びる。
左列。
「エイゼン!」
レオンが叫ぶ。
「中央へ繋げ!」
「また無茶言う!」
走る。
でも。
見える。
敵の流れ。
兵の隙間。
通せる道。
踏み込む。
刃を流す。
ズラす。
「――フィネア!!」
ザンッ――!!
敵の体勢が崩れる。
その隙へ、兵が滑り込む。
左列と中央が繋がった。
「通った!!」
兵たちの声が上がる。
胸が熱い。
俺の剣で、戦場が動いた。
中央。
ギィンッ――!!
シンと黒外套。
まだ決着は遠い。
だが。
黒外套の視線が、初めて揺れていた。
何度も、カイゼルを見る。
余裕が消えている。
シンが踏み込む。
速い。
連撃。
黒外套が受け切れず、半歩下がる。
「……ちっ」
初めて舌打ちした。
思わず笑う。
リシェルは走る。
倒れた兵へ。
傷ついた兵へ。
光が広がる。
「まだ立てます!」
兵士たちが立ち上がる。
槍を握り直す。
戦場に、声が戻る。
だが。
門の奥。
さらに奥の暗がりから。
重い足音が響いた。
一つ。
また一つ。
黒装束ではない。
白い甲冑。
長槍。
乱れのない歩幅。
一人。
二人。
五人。
十――
空気が変わる。
レオンの顔色が変わる。
「……近衛精鋭」
グリードが笑みを消す。
ケッヒル隊長が剣を上げる。
シンが構える。
カイゼルだけが、面倒そうに頭を掻いた。
「……まだいるのかよ」
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