侵攻
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少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
ギィンッ――!!
火花が散る。
重い。
受けているのに、押される。
止まる。
目の前。
無駄のない動き。
崩れない。
「……いい」
カイゼルが言う。
低い。
そのまま、一歩踏み込む。
ぶつかる。
空気が震える。
「ここは俺が見る」
短い。
それだけ。
視線が一瞬、こっちに向く。
――行け。
言葉にしない。
でも、伝わる。
息を吐く。
レオンがすぐに動く。
「城門へ」
短く。
迷いがない。
兵の声が飛ぶ。
「急報! 城外に敵影!」
「全兵、外門へ集結!!」
流れが決まる。
走る。
石の通路。
煙が濃い。
焦げた匂い。
視界が開ける。
城門。
その前。
戦線。
盾が並ぶ。
槍が出る。
だが。
押されている。
一歩ずつ。
確実に、後ろへ。
足が止まる。
なんだこれ。
「……東のやつらか?」
思わず出る。
交流試験の最中。
内側に剣士。
外から侵入。
頭の中で、繋がる。
挟まれた形だ。
「……やってくれる」
でも。
考えるのは後だ。
踏み込む。
グリードが前に出る。
ドォンッ!!
大剣が叩き落ちる。
数をまとめて押し返す。
「通すかよ!!」
その横を抜ける。
レオン。
滑るように入る。
一閃。
無駄がない。
一人、崩れる。
止まらない。
前に出る。
ズラす。
刃が触れる。
「――フィネア」
ザッ――
浅い。
でも。
わずかに、ズレる。
そこ。
踏み込む。
「フィネア!!」
ザンッ――!!
今度は入る。
体勢が崩れる。
「合わせろ」
レオンの声。
すぐに来る。
斬る。
グリードが重ねる。
ドォンッ!!
崩れる。
だが――
押し切れない。
奥。
動く。
さっきの連中と違う。
速い。
正確。
踏み込みが、深い。
来る。
受ける。
重い。
弾けない。
ズラせない。
足が止まる。
「……っ」
後ろ。
気配。
リシェル。
間に合っていない。
一歩。
遅い。
刃が入る。
「……やべえ」
動く。
前を外れる。
考える前に。
走る。
間に合わない。
距離が、足りない。
「――っ!!」
リシェルが目を見開く。
刃が迫る。
避けきれない。
「リシェルーっ!!」
その瞬間。
衝撃。
空気が裂ける。
目の前が、弾ける。
敵が吹き飛ぶ。
ドォンッ!!
一瞬。
遅れて、音が来る。
「……は?」
立っている。
その位置に。
「遅い」
短い声。
シン。
その両側。
女剣士。
双剣の男。
リシェルの前に、割り込んでいる。
間一髪。
本当に。
ギリギリだった。
息が、戻らない。
血の気が引く。
「……助かった」
リシェルの声が震える。
女剣士が軽く息を吐く。
「ルー・シャウ」
短く名乗る。
双剣の男が笑う。
「フィオ・グランネル。あとで時間、あります?」
「……は?」
こんなときにかよ。
リシェルが固まる。
少しだけ。
腹が立つ。
「東かと思ってたが」
グリードが言う。
視線は鋭い。
「違う」
シンが言う。
「別だ」
それだけ。
さっきの考えが、ずれる。
内と外。
繋がっていると思った。
でも違う。
ただ、同時に来ているだけだ。
「……偶然かよ」
小さく漏れる。
いや。
違うかもしれない。
でも。
今はどうでもいい。
前を見る。
敵はまだいる。
数も、質も。
足りていない。
だが。
揃った。
レオン。
グリード。
リシェル。
シン。
ルー・シャウ。
フィオ。
そして。
「……やるか」
グリードが笑う。
今度は、本気だ。
レオンが頷く。
言葉はいらない。
空気が揃う。
繋がる。
「……崩す」
踏み込む。
ルーが斬る。
フィオが流す。
シンが押し込む。
その間に、入る。
ズレない。
通る。
戦線が、動く。
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