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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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残された痕跡

お読みいただきありがとうございます!


第二部の北部編に入りましたが、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。


今後ともよろしくお願いいたします。

風が。


草を揺らしていた。



俺は。


ヴァルムーアの紋章を刻んだ石柱を見つめる。


長い年月を経ても。


その紋章だけは。


はっきりと残っていた。



クレイスが。


しゃがみ込む。


銀のレンズを当てる。


「削られています」



「……え?」


リシェルが身を乗り出す。



クレイスは。


石柱の側面を指差した。


「紋章ではありません」


「こちらです」



目を凝らす。


石の表面には。


何本もの傷。


最初は。


風化だと思った。


だが。


違う。


一定の高さで。


横一直線に。


削られている。



「文字を」


「消しています」


クレイスが静かに言う。



ケッヒル大佐も。


石柱へ近付いた。


指先でなぞる。


「わざと……か」



「はい」


「自然ではありません」



俺は。


辺りを見渡す。


同じ石柱が。


少し離れた場所にも立っていた。


さらに。


その先にも。


全部で四本。


どれも。


同じように。


文字だけが削られている。



リシェルが。


小さく呟く。


「どうして」


「名前だけ……」



クレイスは。


首を振る。


「まだ分かりません」


「ですが」


「共通しています」



レオンが。


草むらを踏み分ける。


「こっちにもあるぞ」



全員が向かう。


草に埋もれた地面。


石畳が。


途中で途切れていた。


いや。


違う。


意図的に壊されている。



クレイスが。


膝をつく。


土を払う。


「車輪の跡です」



轍が。


石畳の先まで続いている。


だが。


そこで消える。



「消えた……?」


俺が呟くと。



クレイスは。


ゆっくり首を横に振る。


「違います」


「石畳だけ」


「剥がされています」



ケッヒル大佐が。


目を細める。


「痕跡を」


「残さないためか」



「その可能性があります」



全員が。


周囲を調べ始めた。


崩れた石。


朽ちた木。


割れた陶器。



だが。


生活の跡は。


ほとんど残っていない。


避難所とは思えなかった。



俺は。


胸の奥に。


違和感を覚える。


子どもたちは。


ここへ来た。


そのはずだ。


なのに。


誰かが暮らした形跡が。


あまりにも少ない。



その時だった。


グリードが。


低い声を上げる。


「おい」



全員が振り向く。


彼の前には。


半分だけ土に埋まった。


古い木札。



クレイスが。


慎重に持ち上げる。


乾いた土を払う。


そこには。


かすかに。


文字が残っていた。



『第一保護区』



その下は。


深く削られている。


読めない。


だが。


一文字だけ。


残っていた。



『第』



クレイスは。


木札を見つめたまま。


静かに呟く。


「……続きがあります」



俺たちは。


顔を見合わせた。


第一保護区。


それだけでは。


終わっていなかった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


少しでも面白いと思っていただけたら、


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などいただけるととても励みになります!


今後も更新していくので、よろしくお願いします!

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