全貌 17
「三嶋真昼のマンションと三嶋夜のマンションのオーナーについて調べました。捜査立会人の天埜天加の言う通りに事件の半年前にどちらもグローバルクリエイトグループが買い取っておりました」
世名はその報告をスピーカーにしてその場にいた全員に聞かせた。つまり、そういう事であった。
天埜翔もそれを聞き
「天加、タブレットの指紋……須藤朋美だと思っているのか?」
と聞いた。
天加は頷いた。
「思考、行動から松田健太はタブレットを壊しても態々その前に確認をすることはしないと思う。だから、もう一人の犯人である須藤朋美だと俺は思っている」
哲二がそれに
「まあ、どっちにしてもあいつ海外へ逃げる算段だったみたいだから空港で捕まると思うぜ」
と告げた。
が、天加は顔を顰めると視線を伏せた。
「いや、違う。きっとそうなんだ」
天埜翔は厳しい表情を浮かべ
「もしかして、鈴木翔の所にいるかもしれないと考えているのか?」
と告げた。
全員が驚いて天埜翔をみた。
天加は頷くと
「外へ逃げるようなことを匂わせたけど……普通はそんなことを言えば俺たちが直ぐに各所に連絡をするとわかる。須藤朋美はそんな愚かな男じゃない」
ずっと頭の中で引っ掛かっていた、と言い
「それに三嶋真昼の暗号を解いてアドバンテージと言った。俺が三嶋真昼の動画を手に入れたことを知っていた。その意味はきっとそうなんだろう。だから、業とあの通帳を俺に渡したんだ」
という事は、と心で呟き、唇を噛み締めると
「兄さんの言う通りに俺を裏手に取って破滅する鈴木翔の口を封じをするための視線逸らしと時間稼ぎの言葉だったかもしれない」
通帳が渡れば鈴木翔や他の面々は破滅する、と息を吐き出し
「そして唯一、本当の背後と繋がっている鈴木翔が捕まれば」
だから、急いだほうが良いかもしれない、と付け加えた。
島本蓮司は立ち上がり
「直ぐにグローバルクリエイトグループを抑えに動かなければ」
と駆け出した。
「須藤朋美の指紋が三嶋夜の血の指紋と合致したことと彼を雇っている会社が三嶋兄妹のどちらのマンションも購入していること。口座という証拠があるから一斉摘発できる」
止々呂美修也は島本蓮司から報告を受けると即座に警視総監に指示を飛ばした。
この日、最高裁判所と検察庁、テレビ局などに警察が駆け込み動画に映っていた人間が次々に逮捕された。
ただ、テレビ関係者の逮捕と司法や政財界の重鎮の逮捕にニュースはほぼほぼ沈黙を守った。
その沈黙こそが他国もしくは巨大組織が侵略の触手を伸ばしていると国民に気付かせたのだ。
SNSでは『司法と政財界からの日本侵略』というタグが席巻した。
その段に至ってテレビはSNSの規制やファクトチェックをしきりに呼びかけたが、多くの人間はテレビこそファクトチェックが必要だろうと相手にしなくなっていた。
他のメディアの内容は責め立てる割に偏向報道は表現の自由だと豪語して自分たちに関しては報道者としての責務も何も失い自浄能力すら無くしていたテレビに対して国民の信頼度は地に落ちていたという事だ。




