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転生したら推しが魔王様になってた件~②魔界に行っても推し活は健在です!  作者: 銀文鳥


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第十六章(1):魔界の新たな時代、そして推し活の幕開け


魔界旅行は、想像以上に充実したものになった。



ルシアン様と二人きりで訪れた「一番美しい場所」でのプロポーズは、私の人生で最高の思い出として刻まれる。



それだけでなく、私たちは様々な魔族の町を訪れ、その土地ならではの美味しいものを堪能し、珍しいお土産をたくさん買い込んだ。


魔物たちとの交流も温かく、彼らの暮らしや文化に触れることで、魔界への理解と愛が深まった。


特に、ルシアン様が魔界の歴史や特性を丁寧に説明してくれる時間は、何よりも私にとっての宝物だった。





黄金の城に戻ると、城に入ってすぐの広々としたエントランスには、目を奪われるような巨大な像が鎮座していた。



それは、この世の物とは思えないような美しい石で作られた、ルシアン様の等身大の像だった。


流れるような銀白色の髪、特徴的な漆黒の角、そしてどこか遠くを見つめるような蒼い瞳。


その全てが圧倒的な存在感を放っている。


まるでルシアン様がそこに立っているかのような、神々しいまでの佇まいに、私は思わず息を呑む。


(ああ、ルシアン様……!この完璧なプロポーション!細部までこだわり抜かれた造形美!魔界の職人さん、本当にわかってる!この威厳と慈愛を兼ね備えた表情が、また最高に尊い……!魔界の象徴として、永遠にここに鎮座するなんて、まさに推し神様!)




玉座の間に足を踏み入れると、ルシアン様の玉座のとなりに新たな席が設けられており、そこに、どこか緊張した面持ちで座るゼフィルス魔王代理の姿があった。



「ルシアン様!セラフィナ様!」



私たちの姿に気づいたゼフィルスが、慌てて立ち上がり、深々と頭を下げた。



「ゼフィルス!エントランスにある像は?」



私が驚きと感動を隠せないまま問いかけると、ゼフィルスは頬を染めながら答えた。



「はい!ルシアン様が引き続き魔王となられた記念に、魔族たちが総力を挙げて建造させていただきました。ルシアン様が魔界にいらっしゃらない時でも、その偉大なるお姿を常に見ることができるように……皆でルシアン様のことを想うのです……」


ルシアン様は、その像を静かに見上げ、穏やかな微笑みを浮かべていた。


その表情は、どこか感慨深げで、彼がこの魔界をどれほど深く愛しているかを物語っていた。




さらに驚いたことに、城とは別の場所に、ルシアン様と私専用の建物まで作られていた。



そこは、魔界の中心部から少し離れた、静かで眺めの良い場所に建てられた、人間界の別荘のような佇まいだった。


案内してくれた魔族の話では、私たちがいつでも気軽に魔界に遊びに来てほしいという、魔界の民の願いが込められているとのことだった。



「ルシアン様……みんな、本当に私たちを大切に思ってくれているんですね……」


私は、温かい気持ちで胸がいっぱいになった。





そんな中、早速、私の「ルシアン様ファンクラブ」設立計画が進み始めた。



ルシアン様グッズ工場の建設計画について、建築部の魔物、ガゼールが打ち合わせのため、私たちの元へとやってきた。


ガゼールは、大きな角を持つ、力強くも繊細な作業を得意とする魔物で、その目は好奇心に満ちていた。



そして、その会議中、ルシアン様は相変わらず私のすぐそばにいた。


私が座ると、当たり前のように私を膝に乗せ、時折、私の髪に顔をうずめてふんわりと香りを吸い込んだりする。


そんなルシアン様の行動に、ガゼールや会議に参加した魔物たちは、一瞬呆然とした後、驚きと戸惑いの表情を浮かべていた。


彼らの視線がルシアン様と私との間を何度も往復し、中には口をあんぐり開けたまま固まっている者もいる。


普段の威厳ある魔王からは想像もつかない親密さに、どう反応していいのか困り果てているようだった。



だが、ルシアン様は一切気にする様子もなく、ただ穏やかな表情で私の話を聞いている。




私は、イザベルやクラーケン・ロード、そして他にもルシアン様を熱烈に慕う魔物たちを招集し、皆でグッズ開発会議を開いた。


「皆さま!ルシアン様の素晴らしさを、形にして、世界に広める時が来ました!どんなグッズが欲しいですか!?」



私の呼びかけに、魔物たちは最初は戸惑いの表情を浮かべていたが、私が前世の日本での「推し活」の経験を語り出すと、彼らの目は輝き始めた。


「例えば、ルシアン様のデフォルメされた可愛いキーホルダーとか、普段使いできるマグカップ、あとは、ルシアン様が描かれたタペストリーとか!それから、缶バッジやアクリルスタンド、ブロマイドセットなんかもありますよ!」



私が一つ一つ説明し、イメージを伝えるたびに、魔物たちは「な、なんだと!そんな素晴らしいものが!?」「そ、それはぜひ欲しいっ!今すぐ欲しい!」と大興奮だ。


中には興奮のあまり、テーブルを叩いたり、小さな雷を発生させたりする魔物もいた。



ガゼールは、私の説明を真剣な顔でメモを取り、実現可能かどうかを考えてくれている。



ルシアン様は、自分のグッズの話なので、わずかに頬を染めながらも、面白そうにその様子を見守っていた。



「そして、このファンクラブの活動は、ルシアン様グッズだけに留まりません!」



私がそう宣言すると、皆は目を丸くした。



「皆さんがそれぞれ『推し』ている魔物や、魔界の素晴らしい物語、伝説をモチーフにしたグッズを作ったり、それを題材にした物語を作ったり、さらには、人間界の『舞台』のように公演することも可能なんです!」


私が熱弁を振るうと、魔物たちのざわめきはさらに大きくなった。


彼らの表情は、これまでにない期待と興奮で満ちている。



今まで「戦い」が中心だった魔界に、新しい「文化」という概念が芽生え始めた瞬間だった。


特に、美しさに自信のあるイザベルは、私の「舞台」の話に食いついた。



「セラフィナ!わたくし、女優に挑戦してみたいですわ!このイザベル、ルシアン様を讃える物語ならば、どんな役でも演じさせていただきます!」


彼女の真剣な眼差しに、私は大きく頷いた。



「イザベルなら、きっと素晴らしい女優になれます!そして、ルシアン様の伝説を紡ぐストーリーや、ルシアン様の教えを広める布教作品など、たくさん公演しましょう!それから、イザベル。私はいずれ人間界に帰らなくてはなりません。そこで、あなたのような熱意ある方にこそお願いがあるんです!私がファンクラブの会長として全体の指揮を執りますが、魔界でのルシアン様ファンクラブの代表を、ぜひあなたにお願いしたいんです!」


私の提案に、イザベルは目を見開き、そしてすぐに満面の笑みを浮かべた。



「わたくしが、魔界代表ですって!? 光栄ですわ、セラフィナ! このイザベル、喜んで引き受けるわ! ルシアン様への愛のためなら、いかなる困難も乗り越えてみせますわ!」



魔界は今、新たな夜明けを迎えようとしていた。


魔王ルシアンと魔王代理ゼフィルスが手を取り合い、創造と繁栄の時代を築き上げる。


それは、これまでとは全く異なる、希望に満ちた新時代の幕開けだった。

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