軍勢は大飯食らい
4113日後に死ぬ秀次
「今日は行軍しないんですか?」
朝もかなり遅くに起きてきた私は朝ごはんとも昼ごはんとも呼べそうな時間に池田おじさんと食事を取った。
「夜間に行軍したので兵士を休ませましょう。それに兵糧運搬が間に合いませぬ」
「お米の運搬って時間かかるんですか?」
「左様。一般に行軍速度を決めるのは歩兵の脚力ではありませぬ。兵糧物資の運搬速度が行軍速度を決めまする。つまり小荷駄隊の速度です」
「へえー」
「もし兵糧を気にせずともよいならば軍勢は圧倒的に速く動けます。かつて筑前殿はお館様の出陣に備えて備中高松城までの街道上に兵糧を用意しておられた。中国大返しではその物資を利用したので小荷駄隊を待つ必要がなかった。1日に18里ちかく行軍した日もあったと聞きますぞ」
1日70キロか。マジか。普通に歩いたら18時間ちかくかかる。
「普通はどれくらい1日に進むんですか?」
「普通は4里程度にござる」
16キロ。普通の徒歩速度なら4時間程度。おっそ。というか1里がそのまま徒歩1時間位だからいちいちキロに直してから計算しなくてもいいか。
「小荷駄隊ってそんなに遅いんですね」
「道が悪ければもっと遅くなりますぞ。逆に道が整備されておれば荷車を使えるので速くなりまする」
「そういえば荷車使わずに馬の背中に俵を載せてましたもんね」
左右に1つずつ、合わせて2俵のせてた。
「左様。荷車を使える道は都市部などわずかです。荒れた道では凸凹に車輪がはまってしまって逆に時間がかかってしまいまする」
平坦な道は兵站に都合が良いんですねぇ。
「兵糧はどれくらい運ぶんですか?」
「兵は1日5合の米を食らいます。2万の兵なら250俵。つまり125頭の馬に運ばせてやっと1日分。その他、味噌、塩、多少の水なども含めて仮に1ヶ月分を1度に運ぶなら4000頭は必要となります。それだけの量を夜間のみで運ばねばならぬので小荷駄隊が間に合っておりません」
俵8000俵か。ボリューミーだな。
「兵糧ってものすごい消費するんですね」
そら兵糧攻めは銭が飛んでくわ。
「そうでござろう。まだ隠密に行軍しておりますので目立つ行動はさけまするが、いずれ麦刈りなどをして兵糧の足しといたしましょう」
「勝手に麦刈っていいんですか?」
「敵地ですゆえ。勝手に刈ったもん勝ちにござる」
農民の方々かわいそう。麦刈りというワードは微笑ましいのに。
この日は小姓さんに服や鎧の着付けを教わったり、明日からの行軍に備えて寝溜めしたりで穏やかな1日を過ごした。
ちなみに昼寝している間もまた例の部屋に戻っていた。昼だった。体も女子高生の私。さっそく椅子を窓に投げつけたら夢から覚めて孫七郎だった。
なんかだんだんとわかってきた。この転生システム。
今は夜。これからまた彼を抱いて眠る。
男として彼を抱きしめて女に戻る。
女としてあの部屋ですることはもう決まっている。
そう。なんJだ。
いや違うわ。電話やメールやLINEだ。




