たまとけん プロローグ
「たーまーちゃーんっ」
トレードマークのポニーテールをぴょこぴょこさせ、ハルは小柄な少女に手を振る。
「あーハルだー」
たまと呼ばれた少女はハルの一つ上の学年だが、ハルよりも頭一つ小さい。のんびりと返事をした。
ウェーブがかったふわふわとした長い髪をたなびかせ、トテトテと歩いてきた。
「あーんかわいいかわいいかわいいかわいいかわいい」
近づいてきたたまを、ガシッと捕まえモフモフモフモフと撫で回す。
「あーー」
なすすべもなく捕まってしまった。
「ぐぇっへっへっへ」
目がやばい。
「うぇっへっへっへっ」
手つきもやばい。ハルのそれとは違う、大きな山2つをさわさわと撫で回す。
「ちょっ、ハルっ、やめってー」
「良いではないかっ良いではないっか。スーっいいにおいっ。うぇっへっへっへ」
においをかぎながら手つきが加速していく。
「なんで私より小さいのに、こんなにご立派なのをお持ちなのかね」
「ほんとっハルっやめっ」
と、突然ぐいっと肩を後ろに引っ張られた。何事かと振り返ってみると、ハルの身長を遥かに超えた青年が立っていた。下ろした長めの髪の隙間から赤い瞳が見える。
「・・・」
「…ハルに何してるんだこのやろう」
遠くの方から偶然彼女たちを見かけたあおいがやってきた。正確に言うと、偶然を装い、一緒に帰ろうとしていたあおいがやってきた。
「あおいくんっ大丈夫だよ」
「・・・」
その青年は肩の手を離すと、そのまま校門へと向かっていった。
「なんだアイツ?」
「だいじょーぶかなー」
「たま先輩家まで送りますよ」
「おーありがとうー」
「ねーわたしは?わたしは?」
「勝手に帰ってろドロップキック女」
顔を恥ずかしさで真っ赤にした後輩に、くすりとして、呟いた。
「お礼言いそびれちゃったなー」




