はるとあおい ドキッ!はじめての壁ドン解決編
ハルに連れられてきたのは、新校舎にある真新しい白い壁。ハートがでかくけばけばしく描かれている。
「なんだ、この頭の悪い壁は、、、」
「ふっふっふー。これこそはわが校に伝わる伝説の壁ドゥンだ!!」
ねこみたいな口しやがって、得意な顔しているハルはポニーテールをぴょこぴょこ揺らす。
「我が校に伝わるって明らかにできて数年も経ってないじゃないか。」
「あおい〜君はロマンがないね〜」
ぽんぽんと壁を叩く。
「いいかい?伝説は何もはじめから伝説ってわけではないんだよ。さまざまな成功体験が積み重なって伝説となっていくのだよ」
やれやれとため息をつく。腹立つなこいつ。
「そこに立ちなさい」
ご丁寧に足元にはハートが描いてある。たっ立ちたくねぇ。が、はるの茶番に付き合うのはいつものことだ。幸い入学式だけだったためか、他の生徒はいない。
「はいはい」
なかば、諦める形でハートの中に入る。っていうか、壁ドンって男がするんじゃねぇの?こう相手を逃がさないように、片手をついて、くいってあごをあげてさ。お前は俺のもんだっとかさ、僕だけを見てよとか、ささやいちゃうんじゃねぇの?
「あーおーいー?聞いちゃってくれてますー?」
遠くない?ぴょんぴょんとその場で跳ねているハルはこちらに向かって叫んでる。
あぁあれか。決め台詞をキメちゃう前の前座が必要なわけだな。まってー捕まえてごらんなさーい的な。付き合ってやろうじゃねぇか。50m7秒台のクラウチン、、、
「か〜べ〜、ドーーーン!!!!」
「っぶなっ!!!」
頭上を両足が通り過ぎていった。
両足が通り過ぎていった?
両足が通り過ぎていった!!
「殺す気かっ!!」
身をよじって転がりかわす。彼女は壁を蹴り、地面に着地する。どんな運動神経だよ。さすが元チア部キャプテン。空中戦最強。
「ほいっと。もーよけないでよー。」
「よけるわっ」
「せっかくスパイクも借りてきたのに」
「刺さるわっ!」
「刺さるよ?」
は?何お前言ってんのみたいな顔をしてこちらを見てる。
「‥ちょっとまて、ハル、お前の思ってる壁ドンってなんだ。写真見せてみろ」
「?ほい」
慣れない手つきでスマホを操作し、こちらに見せてみせてくる。SNSの面白画像だ。壁に四つん這にくっついて相手を見下ろしている。
「はぁ、」
ハルの頭をわしゃわしゃとなでる。
「高校でも、ハルはオレがついてないとダメだな」
「むー。何それ?あおいのくせに生意気」
「帰るぞ」
「えー壁ドンはー??」
「お前は少女漫画読んで出直してこい」
全く、こいつに恋だの愛だのまだ早いよな。
壁に向かって律儀に手を合わしてる。蹴ったこと謝ってるのか?
「久しぶりに買い食いでもするか」
「わーまってまって!!」
まだ俺たちの高校生活は始まったばかりだ。のんびりいくさ。中学時代勇気出ず告白そびれたんだ。運良く同じ高校に入ったんだ。チャンスはまた来るさ。
「…校長先生ごめんなさい」
「いいのょーん。チャンスはまたあるわ!それにラブチャレンジ中は花ちゃんって呼ぶのよーん」
いざ、二人きりになると緊張してしまって、変な行動をとってしまった。これでは告白せずに終わった中学時代の繰り返しだ。それを変えるためにこの学校に来たのだ。
「大丈夫よハルちゃん。」
手を合わせる壁の裏側にいるのは校長。
「またいつでも相談にいらっしゃ〜い。我が校は全力で協力させてもらうわ〜ん。私たちは恋する乙女のミ・カ・タ!早く行きなさーい」
「うん!花ちゃんありがとう!」
「じゅじゅじゅけんばんごうっ198ばん!桜坂っはるっっです!!!」
「落ち着いていいのよーん」
三人の面接官、あまりの緊張ぶりに試験官も失笑している。真ん中の試験官が両脇の試験官を一瞥し、だまらせる。口調はふざけてるようだけどまっすぐにこちらをみている。
ガクガクと震える高校受験、面接。一般試験では落ちてしまい。最後の希望をかけた、面接試験。
「あなたは我が校で何をしたいの?」
「わたわたわたしは好きを伝えるためにこの高校に行きたいです!」
「はんっ伝統ある我が校を色恋で受けるとは」
右側の中年の男が鼻で笑う。小さくなるハル。だが真ん中の試験官は突然立ちあがり、ハルの前に立つ。
「胸を張れ!伝統?常識?くそくらえよ!」
少し振り返り男を見、ハルの目線に合わせ言う。
「あなたの胸に聞きなさい!後悔したいの?したくないの?答えはあなただけのもの!あなたが決めなさい!!」
少女に問いかける。
「もう後悔はしないっしたくないっです!!」
「そう!その意気よ。応援してるわ!」
その数週間後合格通知が届いたのだった。
ラブチャレンジについてという封書とともに。




