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【一話完結型】ユニーク異世界転生物語短編集  作者: I∀


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〜異世界での日常〜

 異世界に転生してから、早や数十年が経過した。


 最初こそ焦った。


 周りの人間はみんな何かしらの特別な力を持ち、次々と英雄として名を馳せ、魔王を倒したり、世界を救ったりしている。


 しかし、僕には何もない。 ただ、普通に生まれ変わっただけで、それが何か特別な意味を持つわけでもない。


 強い魔法も、伝説の武器も、勇者としての使命も、何一つ与えられていない。 いや、むしろそれどころか、僕はただの凡人だ。


 若い頃はそれが耐えられなかった。周りを見ては焦り、他の人々が持っている力に羨ましさを感じた。なんで僕だけこんな普通なんだろう?


 みんなのように特別になりたい、何かすごいことをして、皆に認められたい…そう思っていた。


 でも、そんな日々もだんだんと過ぎて、気づけば50代半ばになっていた。


 最初のうちは、転生したのだから勇者になって何かを成し遂げなければいけない気がしていた。


 しかし、もうすっかりそんな気持ちも薄れて、今はただ毎日を送っている。


 僕は、今でも「スキルなし」「無力」なまま、普通の仕事をしている。


 畑を耕し、町の人々と交流し、時々買い物に出かける。その繰り返しだ。


 でも、あの頃のように、何か特別なことをしなければいけないと焦ることもなくなった。 周りを見渡せば、みんなが目指している「冒険」や「魔王討伐」のような大きな目標が、正直、僕にはどうでもよくなってきた。


 ある日の昼下がり、仕事を終えて家に帰ると、ちょうどご飯の時間だった。 テーブルには、今日採れたばかりの野菜と、少しだけお肉を使ったシンプルな料理が並んでいる。 何も特別なことはない。


 でも、こうして普通にご飯を食べて、静かな時間を過ごせることこそが、幸せなのだと、心から思えるようになった。


「これが、僕の人生なんだな」


 魔王を倒す勇者になれなくても、戦うことなくとも、この生活が僕にとっては一番大切なものだと気づいた。


 別に世界を救う必要はない。 魔王を倒さなきゃいけないわけでもない。


 結婚して子供を持たなきゃならないわけでもない。


 ただ、今ここで食べるご飯が美味しくて、仕事があって、毎日を平穏に過ごせること。 それだけでいいじゃないか。


 これから先も、特別なことはないだろう。

 歳も歳だし。でも、それでいいしそれがいい。


 何もないけれど、ここにいること、今を生きることが、何より大切だと感じるようになった。


 確かに平凡だけど、そんな当たり前の日々が、結局一番幸せなことだと思うんだ。













「……なわけないだろ!!せっかく異世界転生したんだから、チートスキルとかで皆からチヤホヤされたいし!!もっと異世界美女にモテたかった……

 結婚くらいさせてくれよ!!

 なんなら、彼女すら出来たことねーんだぞ!!」




 ――完

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