リュージュ、井戸を掘る
僕は家を出て水がありそうな場所を探した。
まず、井戸を見たんだけど地肌が出ていた。
「う~ん、井戸があるから水脈はある筈なんだよ……」
地面に手を当てて水脈があるかを探してみる。
生活魔法の1つ、『探査』だ。
脳内に地下の様子がうかんで来る。
「地下水は流れているのは確かだけどかなり深く掘らないと当たらないみたいだ……」
それでも地下水が流れているのはわかった。
後は掘って新たな井戸を作れば良いんだけど、問題はやっぱり人手だ。
1人でやるには限界もあるし人がたくさんいればその分、やれる事は増えてくる。
「出来れば現地民とかがいれば良いんだけど、此処に来るまで村もなかったしなぁ……」
そう、この周囲には村なんて無いし当然人なんていない。
「まぁ時間は無限だし慌てずにゆっくりとやるか」
その後、近辺を探査してなんとか1人で掘れる深さの水脈を発見した。
此処からは体力と魔力をかけなければならない。
スコップで穴を掘って魔法で崩れないように土を固める。
この作業を何日も繰り返して行かなければならない。
気の遠くなる作業だけどやらなければならない。
改めて気合いを入れて僕はスコップを手にして穴を掘り始めた。
「固っ!?」
そりゃあ水分の無い土を掘るのは簡単な事ではない。
汗だくになりながらも掘り続けた。
「と、とりあえず今日はここまでにしとこう……」
日が沈み始めたので今日の作業は終了した。
「はぁ、お腹空いた……。王都から持ってきた保存食でも食べよう……」
城を出る時にこっそりと食料を持ってきた、これぐらいは許してほしい。
僕は焜炉に火をつけて肉を焼いた。
料理の腕には自信がある。何せ自分で作っていたのだから。
王族だったら専属の料理人がいるんだけど何故か僕の分がたまに忘れられていた事があり、次第に家族とは別に1人でとるようになっていた。
冷静に考えてみれば普通に不敬罪だと思うんだけど発言権なんて無しに等しいので諦めと同時に自分の事は自分でやるようになった。
「うん、美味しい!」
焼いた肉を食べ終えて僕はベッドに入った。
こうして1日目を終えた。