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GOD HAND  作者: ホムポム
第6章  弔いへの復讐者達
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第98話 第一位


空席まみれの縦長テーブル。座っている人物は僅か4人

ダーク.ノヴァ。ヴィジャ.カフス。

トルコマン.キリング。エンハンス.ペイン。


エリーとリアはエンハンスから距離を取るように

ダークとトルコマンの後ろに立ち二人の無駄話を聞いていた。 


「本当に永遠に喋り続けそうですわね。」

エリーが呆れた一言を漏らす。


三人が座して30分ほどだが会話が途切れることを知らない。知識の泉をお互い披露しあうような。

何年ぶりの旧友を懐かしむような。


「でなァ!マスターと契約しようとしたらよォ

なんとシングルハートが契約してたんだよォ!」


「シングルハートってそういう所あるからな。

隠してたり勝手に契約させたり。

俺も大昔に勝手に契約させられたぜ。

どう言う事だ!って詰め寄ったら『あんた暇だろ?』の一言。まあ楽しかったけどよ〜。」


「……それって俺様のこ………………。エリー喋るなよ。

亜人にも絶対喋らせるな。」


三人の顔付きが変わる。先程までの愛嬌のある顔はなりを潜め。立て付けの悪そうな腐った扉を注視している。

つられてエリーもその扉を見る。


ゆっくりと。音も無く。扉が開く。


「4人かい?全員呼んだつもりだけどね。」


現れたのは黒いローブを纏い両手に貴金属を身に着けた老婆。


老婆は無残な木片となったの物を見下ろし。

「……なんでワタシの椅子が壊れてるんだい?」


ダークがエンハンスを挑発する為だけに破壊した。

シングルハートの為の。シングルハートだけの椅子。

4本の足は折れ。背もたれは床に散らばっていた。


「やっべ…………。エンハンスだろ!?」

「ダーク!!嘘つくんじゃないよ!」


瞬時にダークの嘘を看破する老婆。

他の三人の悪魔は、黙っている。


「全く……まああんた等は来ただけ良しとしようかね。

他の奴等は欠席。…………ん?」


老婆が片腕をあげると違和感に気づく。


Dispelling(解呪)Field(領域)かい?まぁワタシは構うから無視させてもらうよ。」


老婆が指を鳴らすと空間が歪んでいく。

それが何を意味するかはわからない。


老婆はため息混じりに腰掛ける。

宙に身体を預け。空間に背を預け。


「シングルハートさぁ。俺の魔法ポンポン破らないでほしいんだけど……一応とっておきだよ?

そろそろ現界で流行るかも知れない一押し魔法だよ?」


ダークが拗ねた子供のようにシングルハートを見つめている。


「こんなのが流行ってたまるかい!自分も魔法が使えないんじゃ意味ないだろうが!

そうだね…………。ゴミを分別出来る魔法とかどうだい?

そのうち役立つと思うよ。ワタシはほしいね。」


老婆は皺だらけの顔を更に歪め笑みを作る。


「ん。リサイクルってやつか。必要とされるまで

文明発達しないだろ?オレそんな興味無いの創るのに30年とか費やされるの?」


老婆とダークは他愛もない話しを続ける。

他の者を無視するかのように。


「で……何しに来たの?

オレはエンハンス殺すのには忙しかったんだけど

まさか本当にそんな魔法創らせに来たわけじゃないでしょうよ?」


「そうだったね。……エンハンス。」


「は!貴方様のエンハンスでございます!」

エンハンスは身体を緊張させ2つの頭を深く下げる。


「ワタシを偉そうにさせるんじゃないよ。

まぁあんたには今更だね。ダークを行使できたのは…………

やっぱりあんたか。段取りが良い事だ。」


老婆はエリーを見つめている。

底の底まで見通すかのような深く淡い緑の瞳。


「占い師……様?」

エリーは驚愕の声を口から漏らす。

ヴァイス王国との長い付き合いのはずの占い師。

その正体が第一悪魔だった。


「……エンハンス。

先に言っとくが、あんたは助けないよ。

好きにしてきたんだ。好きに殺されたらいい。」


「シングルハート様……是は貴方様の為に……」


老婆は左手につけた親指の指輪を外す。

それを意味する事は悪魔達全員が知っている。


「ああ。別にあんたは悪くないよ。

だからと言ってエリー.ヴァイスが悪い訳でもない。

エリー.ヴァイスの感情の根源。

ジェシカ.ドーソンが悪い訳でもない。

当然。あの子を殺した……

ミッシング.パースが悪いともあたしは思わない。」


「……だってよ。お疲れエンハンス。」

シングルハートの見切りの言葉にダークは魔導書を開く


その行動を無視するかのように老婆はエリーに語りかける。

「あんたは小さい頃。芯の弱い娘だった。

その芯はある時を境に強くなった。

真っ当な人間なら何処か歪む。真っ直ぐには育たない。それが正常。歪んだあんたの選択がこれでいいんだね?」


老婆の言葉の意味は理解出来ない。

少なくともエリーにとってはエンハンスの生き死になどどうでもいい。…………ならば


「……エンハンス。ジェシカの魂を喰らってますわよね?貴方の下僕の分も含めてそれをまず開放なさい!」


エリーは強い口調で言い放つ。それをエンハンスは冷めた瞳で返し

「なんで是が人間の命令を聞くと思ったの?」


ポトリ とエンハンスの首が落ちる。

誰も動いてはいない。ただダークの残した銀線から黒い血が滴っている。


エリーがダークを睨む。まだ話しの途中。それを……

ダークが老婆を訝しむ。


「オレのせいにされてるから止めてくれない?

エリー。勘違いしてるようだから言っとくがオレじゃねぇぞ。……いや、その銀線はオレだから半分オレと言えなくもない。でも実行犯は別だ。…………そいつは……この中にい」

「何故ですか?シングルハート様?何故人間にそこまで肩入れを?」


残った頭が苦痛に満ちた。絶望に満ちた表情を老婆に向けている。

その景色にダークは唖然となる。


「……オレまだ喋ってるだろ?気になる事言おうとしたんだぞ?」


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