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GOD HAND  作者: ホムポム
第6章  弔いへの復讐者達
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第87話 断滅

人間二人がキャッキャッと声をあげる姿をクレッセントは冷めた瞳で見つめていた。

二人に挟まれるように亜人が空を見上げている。


「あの廃人……何処かでみたかな?」


クレッセントは記憶を辿る。ジクリと胸を刺す痛みとともに思い出す。太陽が力を貸してくれなかった出来事。

クレッセントがこの亜人を殺そうとして。


そして今は廃人の亜人。時神様が言ってた奴か。

覚えておこう。


クレッセントは眼球に力を込めてリアを凝視する。

できるだけ特徴を覚えられるように。


「メス。身長……体重………毛の色。濃さ。

歯並び骨の特徴……これぐらいで…………体重がさっきより変動してる?」


少し不思議に思うが。記憶した。もう暫くは忘れないだろう。

あとは確認。


じゃれ合う二人をクレッセントが呼び止める。

「ちょっといい? 其処の亜人の 持ち物を 見せてほしい。」


「……あたしのお菓子がほしいの?食いしん坊ねぇ。

いいわよ。お礼に1個だけあげるわ。」


「…………。」

何も言わずにバッグを受け取り中を探る。

 

「汚い。 整理ぐらい して。」


「ケモ耳。怒られてるわよ。片付けられないなら

あたしのようにポケットだけにしなさい。」


「あ あう〜〜 あ。」


隅にある2つがクレッセントの手に触れる。

目で見るまでも無い感覚でわかる。

間違いなく神が創った代物。


「本物……。 返……2つ?」

クレッセントは不思議に思いながらも取り出す。


「…………!? なんで これが 二つも……」

握られた小さな手を開くと木の実。

見た目はドングリと変わらないそれを握っていた。


「間違い無く 意志の実。……まぁいいか……。

また 創っただけ。それをワタシが 知らないだけ。」

バッグに木の実を戻し。リアに返す。


クレッセントは三人から少しだけ離れ。

杖を大地に突き刺す。三日月のアクセサリーがほんの少し地面から顔を覗かせていた。


「アン……呼んでくれないかな?

ワタシから行ってもいいのかな?」


大した契約はしていないがアンが

クレッセントを呼べばすぐに伝わる。

場所にもよるが深淵を通して向かえば

何処にいようとすぐに駆けつけられる。


「太陽に……聞こうかな?……覚えてる訳ないよね。

あんな人間……アンのことなんて」



少しだけ太陽に目を向ける直前の違和感。



視線を遥か空の彼方それは確かに起こった。

突如として空が音を立ててひび割れ大蛇が大口を開けて落ちてくる。世界そのものを喰らわんと


その光景はほんの一瞬。

まぼろしか幻覚なのでは自身を疑う程の一瞬。


「……ヨルムンガンド? かな? なんか おかしいけど」

クレッセントは小さく呟き


「……アン…………近くにいるのね!!

驚かせてあげなきゃ!

あたしちょっと行ってくるから待ってて!」


「えっ!?ちょっと待つって…………いない。」


ジェシカは返事も確認せずに大蛇が落ちて来たであろう遥か遠くへ向けて姿を消した。



残されたエリーとクレッセント。

別に知り合いでもない2人。


「ねぇ 成金王女。」


「なんですの?その呼び方は?

別に身分をひけらかすつもりは無いですけど

もっとマシな呼び方をなさい!」


「名称 ぐらいで 器の狭い 王女。

空っぽの 妹よりは マシ だけど

そこの亜人が 起きたら 知らせて。」


クレッセントはリアを指差し

スタスタと歩き去ってしまった。


「……変な子供ですわね。」

自らの間違ってない感想を洩らし。

獣耳の人形を抱きかかえボタンの目玉に語りかける。


「お人形さん。ジェシカの後を追いたいのだけれど

場所はわかるかしら?」


ボタンの瞳に偽りの魂が宿る。

「ト…トオクナッテク。ハナレテク。アッチ。アッチ」


人形が腕をあげ方向を指し示す。

向きはやはり大蛇が落ちて来た方向。


「……少し怖いですわね。お人形さん!

わたくしとリアを守ってくださる?」

黒髪の人形を抱きかかえボタンに語りかける。


この瞬間。エリーは致命的な命令をしてしまった。

自身が気付くのはまだ時間を要する。


「命令ヲ確認。」

黒髪の人形が自らの意志でエリーの肩に乗り。

首を360°曲げ。周囲を警戒する。


………………

30分程

獣耳の人形の腕のあげた先を歩いていると、ふと。


人形が腕をだらりとさげた。


「え?お人形さん?どうしましたの?」

エリーは優しく語りかける。

自分にはどうやって人形を起動できているのか理解していない。


だから人形がなぜ腕を下げたのか理解出来ない。

「キエタ。ジェシカ.ドーソン。シンダヨ。」


人形は気味の悪い声をあげエリーを見つめ。

両腕で、別の方向を示し。


「アッチアッチ!アッチダヨ!

コッチコッチ!チイサイケド、マダイルヨ!」




ーーーーーー


「あー疲れた。たまに走るとすぐ疲れちゃうわね。

なんか……お腹?痛い。」


ジェシカは自分の身体を労るように触り。

ふとある場所に触れて慌てて確認した。

「……ふぅ……良かった……もしお漏らしなんてしてたら、レディにあるまじき行為だったわ。……でもなんでこんなところから血が出てるの?」


ポケットからハンカチを取り出し自らの血を拭った。



「……アンに会うのは……2ヶ月ぶりかしら!?」


ジェシカは肩で息をしながら蛇が落ちた場所へと向かう。本音を言えばアンの事も心配なのだが、アンはアサミと違い姉の言う事。いいたい事をしっかりと理解している。それに彼女に寄り添う物達。


アンは一人ではない。だからジェシカまで心配してしまったらアンの重荷になってしまう。


息を整えもう一走りしようとすると。

「貴女は金獅子姫ですか?金獅子姫ですよね!?

探しました探しました血眼になりましたよ!」


片腕が妙に発達し本を抱えた男が目の前に佇む。


ジェシカは肩で息をしながらも

「昔の知り合い?覚えてないわね。さようなら。」


男を無視して先を歩こうとするが

「金獅子姫は長年探していましたよ!?

準備は常に!万全!万端に!」


男はジェシカを見ながら自らの小指を折る。

ほんの一瞬。ジェシカの表情が変わった。


男はニヤリと口角をあげ

「貴女には魔罰が効きますね。流石に先程の少女が何人もいては困ります困ります参ります!」


ジェシカが舌打ちをしながら指を向ける。

「アンを知ってるの?

……アンに何かしたんじゃないでしょうね?」


「あぁ〜〜アン.ドーソンですか?

さぁ?我輩に直接聞いてみては?

我輩は間接的に魔罰を与えますから。

お気になさらずに」


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