表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GOD HAND  作者: ホムポム
第3章
46/184

第46話 銀の男


「あれを……クーガーがヤッたのか?」

遠目からでも分かる。彼が姿を消した僅か数十秒後。

サンドワームの半身は消し飛び


砂丘の影に4人身を隠していた。

「魔狩人……何で隠れる必要があるの?

彼がヤッたのなら堂々としてれば良いじゃない。」


シェリルの言う事も尤もだ。上級生物を消した。

それも一人で……人間が一人で。


「少なくともサンドワームを2つに割ったのは竜人だ。

死にかけを後から来た人間がトドメを刺した。

竜人達にとって良い気はしない。だから手柄は

全部竜人族が貰う。これが正解の筈だ。」


「ふーん。難儀な種族ねぇ。

リアとアサミちゃん居たのかしら?魔狩人見える?」


「……ここからじゃ……でもクーガーを除いて3人いるな。」


不意に辺りを不愉快な空気が包み始める。


「上級生物が死亡してるぜェ!」

「神に 捧げる供物としては 中々」


後ろから不快な声。1つは何年か前に聞いた事のある声が響く



奥歯を噛みしめる。出会いたくなかった奴。

「……トルコマン!」


魔狩人(まかりびと)ォ!お久しぶりィ!」

「屑悪魔 知り合い?」


語尾がおかしな高身長の銀髪の男。


もう一人はとても小さい。

1言1言を丁寧に感情無く発音する

長い銀髪を左右に、束ねた

アサミぐらいの身長の女性。


「俺様ァの弟子かなァ〜。どうなのかなァ〜?

どう思ゥ〜?魔狩人ォ〜〜?」


「……誰が弟子だ!?用が無いなら帰れ!

シェリル!手を出すなよ!コイツがトルコマンだ!」


「トルコマン……悪魔……」



銀髪の男は両手を突き出し左右に交差させる。

「ノーだァ!用事があるから来たんだァ!

お前はついでだァ。たまたま見えたから来てやったぜェ!

俺様の好奇心を満たさせてくれェ!

さぁ!俺様は魔狩人ォにとって魔そのものだァ!

狩ってみろよ!?俺様を……悪魔ヲ!!」


銀髪の男が口を大きく開き涎を垂れ流し

俺達に不快感そのものをぶつけてくる。


「屑悪魔 ワタシは興味無い 早く終わらせて」


「ノ〜……折角遊んでやれたのにィ……ゴメンな〜

魔狩人ォ。さてさて、どうしてやろうかなァ〜?」


トルコマンは指で歯を磨きながら。不意に引き抜く

ブチィ  自分の前歯を。



ピンッ  歯を弾き飛ばしシェリルの胸を穿つ。


「え……?が……嗚呼ああァァァ!!!」

シェリルの悲痛な叫びが砂漠に響く。


「シェリル!?……トルコマン!何をやった!?」

銀の男はキョトンとしながらも事実を述べる


「魔狩人ォと一緒に居た女が幸福になっただけの事ォ。

10分もあればその娘は貴方を忘れるヨォ。


     怪物になる事によってなア!」



「……なん…………シェリル!しっかりしろ!」

シェリルを抱き起こすが彼女は

自身に穿たれた穴を掻き毟りながらも必死に抗っている。


「俺様達は見てようかァ?魔狩人ォが魔を殺す瞬間を……」



「屑悪魔 悪趣味 死ね」

「死ねるなら、死にてぇんだけどォ〜〜?」





………………

「魔狩人……私…どうなってるの?」

「シェリル……大丈夫だ。ゆっくり眠ってろ……」


痛みが収まったのかシェリルは多少落ち着き

魔狩人はシェリルを抱きおこしたまま嘘をつく。


何が大丈夫なのか、シェリルの胸元から明らかな怪物が

生まれようとしている。

シェリルの肉を…器を魂と喰らいながら成長している。


「魔狩人……お願い聞いてくれない?」

「あぁ。聞いてやる。だから……」 


「私を殺して。貴方の……魔狩人の手で……

私怪物になんかなりたくない。貴方に嫌われたくない!」


魔狩人は瞳を閉じる。

今までだって仲間が死んだ事は何度もある。

苦しみから開放させる為に自ら手を下した事もある。



その度に俺は自分を憎み悪を憎み。無力さを痛感する。

シェリルを殺す。シェリルはこの後 怪物になる。

ならばそれを狩る事こそが……俺の……俺の……



「シェリル……お前を《魔》と判断した。

その《魔》を狩らせてもらう」



        俺の使命だ



魔狩人から涙が溢れる。シェリルは彼の泣く姿を初めて見た。

紛れも無く彼女の為の涙。その幸福を噛みしめる


「……ありがとう……魔狩人……」


溢れた涙は頬を伝い右腕に落ちる。


ポタリ  薄っすらと右腕が姿を消し始める


姿だけでは無い。気配 触覚 あらゆる存在が消えていく。

シェリルの胸にゆっくりと消えた右腕を沈める。



…………コイツか?シェリルを喰らう魔は?

肺に1つ……心臓にも1つ……小さい……小さい存在。


コレがシェリルの死因だと!?ふざけるな!

その魔を……


ブチュリ  ブチィ



        狩ってやるよ



「ゴフッゴフッ ゴフッガハアッ」

魔狩人が自身の腕を引き抜くと途端にシェリルが

咳き込みだす。彼の右手には……悪魔の歯が握られていた。



「ふざるけるなヨォ!俺様のプランヲォ〜!」

「失笑 絶対 言いふらす。」


銀の男はプルプルと震えながら

銀の女性はクスクスと笑いながら



魔狩人は自分に出来る精一杯をやった。

これ以上は無い。断言出来る。

彼女が怪物にならずにすんだのだ。

例え肺と心臓を傷つけられ時期に死ぬとしても怪物になるよりは

絶対に良い。彼に出来る事は……彼にしか出来無い事は




最後は……祈る事しか出来ない。

せめて安らかな死を迎えられるように……

大事な仲間が……いずれ転生できるように……



「そんな俺様が決めた幸福以外認めるかヨォ!」

「…… 屑悪魔 待って 母様の声」



「……マジかよ……はい……わかりました。仰せのままに。」

天に向かい丁寧な言葉を放つ銀の悪魔。


「屑悪魔 マザコン 笑える」


銀の二人は見守る。これから魔狩人が起こす出来事を




シェリルを……どうか……

 


俺の祈りは届いていると言っていた。



だからどうかシェリルを……





『名を亡くした青年。聴こえますね?私の声が』


あ……貴女は…………母さん?……違う。神…………様?



その声を聞いた事がある。

魔狩人がまだ生まれる前。

彼に生命を与えてくれた存在。

全てに平等(せいめい)を与えた存在。



『どちらも間違えではありません。私は全ての母 生命』


魔狩人は神の声を聴いた。

世界の根本を創った3つの神。大地 生命 器


その中でも神々の母と呼ばれる存在。


      生命の大神








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ