第45話 一撃もう一撃
魔狩人シェリルクーガーは3人ビブル砂漠を歩いている。
照りつける太陽は3人の体力をを奪おうと試みる
灼熱の大地が3人の気力を奪おうと試みる
「オイオイ中々早えペースだなぁ?
サンドワームに見つかっちまうぞ!」
魔狩人とシェリルの異常な速度にクーガーは口を挟む。
平原……街路を歩くよりも早く砂漠を越えようとしていた。
魔狩人は後ろを振り向き
「……3日前からサンドワームが暴れまわっているらしい。
近くの町は壊滅させられている。
昨日から竜人達が討伐に出向いてる筈だ。」
「サンドスワームって砂漠を越えれるのか?
それに……3日前……アサミか。」
「多分そうだ。砂漠に住み生物を喰らい
自身の砂漠を広げる上級生物。
俺は当然勝てないけど……クーガー。あんたは勝てるのか?」
ザザザ 男が走り寄り魔狩人の隣に立つ
「上級生物……どうだろうなぁ?
仕事でもねぇのに、やりたくねぇの1択だが……
オレ1人だと多分勝てねぇだろ?
ホレッ姉ちゃん!荷物持ってやるよ。」
クーガーはヒョイとシェリルの荷物を背負う。
「あありがとう。でも私まだ大丈夫だから」
「……呼吸が乱れてきている。この暑さだ。
新鮮な酸素も期待出来ねぇ。神様に祈って保護でもしてもらえ。」
………………
…………遠くから地鳴りが聴こえてくる。
「サンドスワームか……面倒だが迂回するか?
竜人達が追い回してるから安全な道なんてないぞ。」
クーガーは腕を組み思案する。
「ちょっと見てみよう。こっちに来るようなら
オレが迎撃する。来ないなら真っ直ぐ進める。
決定権はオレにゃねぇ。あんた等に従うがな。」
魔狩人はシェリルに確認の意志をとる。
「ハァ…ハァ…私は……早く砂漠を出たいわね。」
「解った。近くの日陰で休息。
音を立てなければ気付かれはしない。」
砂丘に出来た日陰を利用し1番に腰を下ろすシェリル。
「ハァー!キツイー!?
アサミちゃん達本当に砂漠を越えたの?」
皮で作られた水筒から温い水分を補給する。
クーガーと魔狩人は腰を落とさない。警戒する。
上級生物を。
「アサミが居るんならオアシスでも見つけてるから
そこまでキツく無い筈だ。
竜人は人間にはオアシスの場所を教えねぇからな。」
「……サンドワームに喰われてる可能性は?」
魔狩人の率直な疑問……違う。確認。
「オメェさんが思ってる通りだよ。
アサミに勝てる奴なんてお嬢様ぐらいだろ?」
お嬢様……金髪の少女。
その女性について詳しく聞こうとした瞬間。
クーガーが人差し指を口に当て。指を砂漠へ向ける。
「……」「……」「……」二人は理解し押し黙る。
全長は分からない。半身を潜らせ半身を突き出し
500を越える竜人達を蹴散らしている。
サンドスワームの、所々から暗緑色の血が流れ出ている。
竜人達の成果。犠牲を出しながらも確実に上級生物の
生命を削っていく。
竜人達が追い立て廻し。上級生物が逃げならがも迎撃する逃げながらも……追い続ける。
竜人達の怒声の中でも一際大きな悲鳴が上がる。
「なんでコッチばっかり狙うんスかー!
後ろには沢山餌があるッスよ!シッシッあっち行け!」
人間のような女性。サンドワームは声に反応しその女性を狙い続ける。
「ビル隊長!撤退ー!撤退命令出して下さいさい!
そんで隊長が殿を努めて下さいさい!」
「そんな命令はない!あと、そこを動くなニーチェ!」
「だったら、あっしだけでも逃げるッス!」
「貴様ー!逃亡は厳罰刑だぞ!!」
死の鬼ごっこ。鬼は勿論 上級生物だ。
「こっちには気付いてねぇな。このまま進むか?」
「どちらにしても助かったな。」
二人はサンドワームと竜人達を確認し砂漠を歩き始める。
「も…もうちょっと休憩しない?」
「あのなぁシェリル…」
魔狩人は呆れたように振り返る。
シェリルに砂漠に留まる危険性を説かなければならない。
歩きながら、砂漠を越えながら。
「良いかシェリル…………」
極大の閃光がサンドワームから放たれた。
正確には上級生物の体内から。
暗緑色の血潮をぶち撒けながらのたうち回る。
遠くで竜人達が歓喜の雄叫びを上げている
遠くへいる俺達にも十分に聴こえた
「龍神息吹だー!!龍神様がお出でなさったぞ!」
クーガーもその声に振り返り
「ウオッ!?真っ二つじゃねぇか?
竜人ってのはヤバすぎんだろ!?………………あぁー?」
驚きながらもサンドスワームを凝視していた。
クーガーは凝視する。
。1キロ先のサンドスワームから
現れたかのような生物3つを。
一人は金髪の女性。一瞬ドキリとしたが知り合いではなかった。
一人は獣耳の女性。人間と一緒に居るのは珍しいと思いつつも。
最後に肩までかかる紅い髪。
「アサミだ!倒れてやがる!!」
半身を絶たれた上級生物は死ぬ事は無く。
新たな生命の糧として女性3人を標的と捉える。
荷物をシェリルに投げ
「ここで待ってろ!」
クーガーは走る。人間の限界を超えたスピードで
1キロの距離を全力で駆け抜け
「アサミ!探したぞ!……寝てんのか?」
「…………。」
上級生物の食料が1つ増えた。僥倖。
クーガーが半身になった上級生物を睨む。
「面倒だなぁ……アサミにやって欲しかったが、
仕方ねぇか……。」
クーガーは右手で自身の心臓に手を置き……
左手で虚空を掴む。そして握る
捻れた一本の槍
「オメェのおかげで見つかったから……礼だけ言っとくぜ!
そしてコイツは手向けだ。有り難く頂戴しな!」
全身をバネと化し全ての力の流動を槍へと込める。
ギチギチ ギギギ
ニブイ音を立てながら角が捻れていく。
完全なるアスリートの投擲。
その槍は上級生物の口へ侵入し…………
「万物一空」
閃光と共に跡形も無く消滅した。
「あ……ありがとうござ……キャア!」
上級生物の真下に居た女性の一人が
礼を言おうとした所、クーガーに無理矢理担がれ
その場を離脱させられた。
「……ここなら竜人達にもオレがやったって思われねぇだろ?
にしても……オメェ…………リアか!?オイ覚えてるか?」
虚ろな瞳に映ったのは幸せの欠片。
「クーガー……さん?」
「やっぱりリアか!?久しぶりだな!
しばらく見ねぇ間にすっかり色っぽく……なっては無ぇが
女性らしく……あれだ!大人に近づいてるな!」
リアはゆっくりと起き上がり状況も分からぬまま
昔を思い出すように。変わっていない物もあると懇願するように
「クーガーさんって初めて合った時から
思ってましたけど……デリカシーなさ過ぎですよね?」
クーガーはリアの髪をクシャクシャと撫でる。
されるがままのリア。これはリアが望んだ幸せの欠片。
「アハハハ!相変わらずで安心したぜ!
ホラッ!リアの仲間も向こうにいるぜ」
……………………




