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GOD HAND  作者: ホムポム
第7章  愛しの我が子へ
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第119話  決定事項


ニーチェは顔を伏せ語り続ける。

目の前のアサミがどんな表情で聞いているのか

知る由もない。種族の頂点。

龍種とって過去へ行くなどくだらない事と

笑い飛ばされる。

それでも……これは悲願だ。

歴史上初の竜人族からのゴッドハンド誕生。


「……70年程前に時間旅行の概念が流出し始めました。

そのおかげで必要な力もわかってきたから……

もう少しなんです……本当に……

あと少し……それを潰されるのは…………。」


勿論竜人族にとって優先すべきは神である龍神。

目の前の少女がダメと言えばそれが絶対だ。

だから託された。

その行為を見逃してもらう為に

ニーチェに龍神を説得させるようにと。


アサミはニーチェの隣に座り

グローブに包まれた手を取り自らの胸へ押し当てる。


「ニーチェちゃん!」


アサミの心臓は跳ね上がっている。新たな脈動を手に入れだが如く。希望の心臓を動かし続ける。


「普通に名前呼ばれると嬉しい反面コショバイッスね……と。ハイッス!……どう説明したらいいッスかねかね?」


「何が必要なの!」


食い入るアサミにニーチェは多少狼狽しながら

投げ捨てられた資料に目をやる。


「あっしも専門じゃないッスけどけど……

資料を読んだ限りだと、

他の悪魔の協力と熟練の魔法使いの育成。

戻る為の魔力源に古代遺物《永久の血》が

あれば時間旅行は出来るらしいですです。

時間をどれだけかけても良いのなら

悪魔の協力は必要ないッス!」


「悪魔の協力?そんなの必要なの?」


アサミがキョトンとした瞳でニーチェを見る。

言われた3つの中で自分が出来る事など

なかったからだ。


「えぇと……ちょっと大声失礼。

スゥ〜〜……ジャムおじ!ジャムおじ!カム!」


ニーチェは扉に向けて大声を放ち。

数秒もしないうちに扉がノックされ。


「……龍神様失礼します。私に御用でしょうか?」


「あっしだと知識不足なんで

龍神様に説明してあげて欲しいんスよ。

あっしの見立てだと結構高感触ッス!

ジャムおじの説明次第ッスよ!責任重大!

クビか!打首か!

老い先短いジャムおじの明日はどっちッスか!」


ニーチェは自分の役割を開放されたと思い

ケタケタと笑いながら


「あっしは珈琲入れてくるッス。

龍神様は……お酒……ッスよね?」


「あたしも珈琲がいい!」


「おぉ…こっちの龍神様は

南の王国の特産を(おもんばか)ってるッス!

あっしが最高の豆を挽いてくるッスよ!」


…………

…………………


ニーチェが退席し全身鱗に覆われ髪は白髪混じる

初老の竜人。ジャムと向き合う。



「ジャムおじちゃん。なんで悪魔の協力が必要なの?」


アサミの問いにジャムは目を逸らさずに

真っ直ぐとアサミを見据え説明をしていく。


時間旅行は近年になり開発が進められた魔法。

最初の発案は第二悪魔ダーク.ノヴァ。

しかしこの悪魔はその魔法を完成させる事なく

己の魔導書にのみ記した。


時が経ち、70年程昔に死んだ存在。

エビィル.ヴァイスの意志で急速に発達。

その意志を継いだ者達による開発の末が現在。



エビィル.ヴァイス


この存在は魔法使いにとっては

悪魔の次に知らぬ者なき有名人だが

謎しかない。なにしろ死んでから存在が露見したのだ。

種族も不明。性別も不明。

ヴァイス王国との関係も不明。

いつ産まれたのか。何処に存在していたのか。

何をしていたのか。本当に存在していたのか。


わかっていることは1つ。

生涯に渡り何も成し遂げられず

死後、誰にも出来なかった事を成した者


    それだけが絶対的真実。


その存在が望んだ事は2つ。

そのうちの1つが時間旅行。


現在の未完成部分

……時間軸の設定と元の時代への帰還

本来ならば魔法使いが膨大な試行錯誤の末

到達するべき目標。


「……大魔法使い……現在協力をしていない

ゴッドハンド達の力を借りられれば、

一足飛びで時間旅行が可能だと考えています。」


「ゴッドハンド?

お姉ちゃんの仇のゴミもそんな事言ってた。

ゴッドハンドってなに?」


「ゴッドハンドは神のみが可能とされる奇跡を

……魔法……自らの力と知恵で成し遂げた者。

その者は種族を超え……

一般的には悪魔とされています。

あらゆる歴史の先駆者。

現代の魔法使いよりも遥か彼方を行く者達。

魔法使いの目標です。

悪魔教徒というのは魔法使いからしたら

彼等の弟子のような者です。」



人の身に置いて到達不可能とされていて、

その領域を超え神に届かんとする者。

神に最も近づいた者達。


「これまでは複数もの悪魔との契約は

不可能だと思われてましたが……

私共は不本意ながら悪魔の同時に召喚を成功。


つい1月程前に複数の上位悪魔と契約した人間が

現れたらしいです。ならば私達にも悪魔の力を

借りられる可能性があります。」


アサミには知る由もないが、

ジェシカの遺体を目の当たりにした時。

その人物は確かにその場にいたのだ。


考え込むアサミにジャムは投げ捨てられた資料から

1枚の紙を抜き取りアサミの前に広げる。


「現在世界中……とは行きませんが、

此処南の王国。ヴァイス王国。北方。太陽の島、

に過去への起動陣を確認しております。

他の魔法使いに起動させてデータを取る為と

思われます。」


「ニーチェちゃんも言ってた。」


「数カ月前に2件。連続で起動を確認できました。 そのうちの2件とも帰還に成功しております。

帰還率は全体の1%程なので多分同一人物……

この者は帰還方法を確立している可能性が高いです。

この人物とコンタクトが取れれば良かったのですが……」


その人物はアサミ自身だ。

マリーを廃墟の牢屋から出し

その時に見つけた紋様から過去へ。

帰りはリアがどうやったかはわからないが

一ヶ月程のズレはありながらも元の時代に帰れた。


二度目はサンドワームの体内。

やはりリアが何かをやり過去へ飛び

そのリア自身帰る方法はないとも言っていた。


だからこそ……


「ゴンちゃん……もう使ってくれないよね?」


アサミはもう一つの存在に語りかける。


『……アレは本来ならば使ってはならン。

前回は事情が事情。故に放ったが軽々しく

龍の息吹に頼ればその身を絶望が焦がス。

我自身が経験し……絶望もしタ。』



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