ハルルシア、三人目の攻略対象者と出会う 2
かなりお久しぶりです。お読み頂きまして、ありがとうございます…!!
今回もツッコミどころが多々ありますが、スルーして頂けたらと思います。(一部については次回別キャラ視点でツッコミ?っぽいのが入ります。)
「こんにちは、ラギ。本をありがとう、とても面白くて、つい夜更かしをして読んでしまったよ。本は汚してはいけないから、君の家の執事長に預けて来たよ。ところで、まっすぐ花壇に案内されたのだけど、どうかしたの?」
お兄さまの侍従(確かトマスさん、じゃったか?)の案内と共にやって来たのは、サラサラしていそうな癖の無い艷やかな金の髪に澄んだ青い瞳の整った顔をしている坊ちゃん――…リュシオン様じゃな。
そして、もう一人。長めの黒髪を一つに結び、深緑色の瞳を持ち、柔和な笑みを浮かべる色男。確か…あれじゃ、い、いけめん? と言ったかの。そんな風に成長しそうな、お兄さま達より幾つか年上じゃろう少年。服装を見たところトマスさんと似たような服装だし、リュシオン様の侍従さん、かのう?
そんな二人がやって来た。
「やあ。リュー、いらっしゃい。リューヤさんも、こんにちは」
「あれ? ラギ。君、何だか楽しそうな事をしているね」
「お邪魔致しております、ラギル様。そして、お初にお目に掛かります。貴女様はハルルシアお嬢様ですね。こちらはリュシオン・リカベルト様、リカベルト家、ご長男様でございます。そして、私はリューヤ・ニドウと申します。リュシオン様付きの侍従でございます。宜しくお願い致します」
お兄さまが二人に挨拶をし、リュシオン様は花壇(畑)に目を向けて、リューヤさんと呼ばれた少年が、お兄さまに挨拶を返しておる。
ぼけ〜っと。その様子を見ておったら、リューヤさんとやらが、ワシにリュシオン様を紹介してから自身も名を名乗り、挨拶をしてくれたので、わしは内心慌てながらも。
「ご丁寧にありがとうございます。ハルルシア・ガードレッドです。リュシオン様、リューヤ様、本日はようこそいらっしゃいました」
そう言や、今はドレスでは無かったのう、と思いつつ。ペコリとお辞儀をして、挨拶を返した。
「こちらこそ、ご丁寧な挨拶をありがとうございます。リュシオン・リカベルトです。ハルルシア様のお父上と私の父は従兄弟同士なので、これからは会う機会も増えるかもしれませんね、仲良くして下さいね」
リュシオン様も青い瞳を細め、にっこり笑って挨拶をして下さった。ワシはジッと彼の顔を見た。
おやまあ、なんとまあ。可愛らしい顔じゃー。ふむふむ。この子が、あの“リュシオン様”になるのか…本当に、ツンデレ? じゃったか? になるのかの? 信じられんな。
まだ小さな坊のリュシオン様を都季にも見せてやりたいのう。きっと、大喜びする事間違い無しじゃー。
「ええと、僕の顔に何かついていますか? ハルルシア様」
おう、見すぎてしまったようじゃ。
「し、失礼しましたのじ…いえ、あの、そう! わ、わたしはリュシオン様よりも年下ですし、親戚です。それに、お兄さまのご友人でもあることですし――…どうぞ、わたしの事はお気軽にハルとお呼び下さい。敬語も不要です」
そう言うと。
「そう? それじゃ、お言葉に甘えて。宜しくね、ハルちゃん!」
ニコリと笑ってリュシオン様は、ワシに手を差し出して来た。順応早いのう。そして、握手かの? わし、軍手していたとは言え手を洗っていないのじゃが?
「ええっと…」
困り気味にお兄さまを見れば―――…
「気にしなくて良いよ。少し変わってるやつだから」
…―――ふむ。握手には応じて良いらしいの。
「よ、よろしくお願いします」
リュシオン様の手をそっと握ると、見た目の優雅さとは違い手のひらには幾つかマメができておった。(お兄さまと剣の稽古をしとるみたいじゃが…この子、努力家じゃ!)
「ははっ、ごめんね? ガサガサした手で」
困ったかのように眉を下げて笑うリュシオン様じゃが――…
「いいや…いえ、いいえ! リュシオン様は、まだお小さいのに、たくさん努力をしていらっしゃるのですね。わたしは、このガサガサとしたリュシオン様の手、好きです。――どこぞの我が儘な子供のツルッツルスベッスベの練習用の木刀すら持った事の無い様なプニプニお手手より、ずうっっと良い手だと思います!」
おっと、いかん。つい感情がこもり過ぎて、手もギュッと握ってしまったわい。
「あ、ありがとう、ハルちゃん」
リュシオン様は、ワシから視線を反らし、小さく笑ってポツリとお礼を言ってくれたが――…引かれたかのう。
そして、その後はワシ、お兄さま、リュシオン様、リューヤさん。(自分は侍従ですから、呼び捨てで構いません。と言われたが『年上の方を呼び捨てにはできません』と伝えて、お兄さまと同じ呼び方をさせて貰う事になったのじゃ)ベンさん、アメリアさんにも手伝って貰い、皆で種蒔きをしたのじゃった。
「皆様、本日は、お手伝い頂きましてありがとうございました! 収穫の際には皆で一緒に収穫のお祝いを致しましょう!」
「ハル、それはパーティーを開くって事かい? パーティーを開くのなら父様達にも話を通しておかないとね。会場のセッティングや招待客のリストを――…」
ん!? お兄さま、途中から独り言みたいになっておるが――…内容! 内容が大事になりそうな予感しかしないのじゃが!?
「お、お兄さまっ! パーティーはパーティーでも、盛大なものではなく、あー、えー、何だったか…しら? あれです、あれ!」
家の中で誕生日やらクリスマスやらみたいな、あれじゃ! いかんのう、中々言葉が出て来ないのじゃー! と、思っていたら。
「もしかして、ホームパーティーの事?」
そうですじゃ! リュシオン様、正解じゃ!
「はい! それですっ! ホームパーティーが良いのです! お父様とお母様、お兄さまと私。そしてベンさんとアメリアさん。もしも、お嫌でなければリュシオン様とリューヤさんも」
皆で、収穫祭(と言うには少ないがの。まあ、追々畑を増やして、実った物を使った料理で屋敷の皆が楽しめるものにしたいと思っている事は、まだ内緒じゃな)をしようと提案したのだった。
「そっか…いいね。うん、僕は賛成だよ」
「なんと、お嬢様。わしらもご一緒して宜しいんですかいのう?」
「そうですわ、お嬢様。私達は使用人ですので主と同席など、できません――…」
「何言ってるんじ…ですか。二人も手伝って下さいましたし、今後まだまだお手伝い頂くつもりですから、二人がお嫌でなければ参加は決定ですわ! そうじゃ…オホン! そうですわね、同席が駄目なら立食形式にしましょう!」
「屁理屈ですのう」
「ま、まあ、殆ど家の中だけでのパーティーになるなら良いんじゃないかな? 父様達も許して下さると思いますよ」
そんな会話をしていると。
「それじゃ、僕達も遠慮なく招待を受けようか? ね? リューヤ」
「はい。具体的な日時をお知らせ頂けましたら、リュシオン様のスケジュール調整をさせて頂きます…あの、私にまでお声を掛けて頂きましてありがとうございます」
「ふふ、リューヤさんも手伝って下さったのですから当たり前ですわ!」
二人も都合が良ければ来てくれそうじゃな。
(今から収穫が楽しみじゃのう。作物を枯らさんよう、マメに手入れせねばの。フォフォフォ!)
ここまでお読み下さりありがとうございます…!!