1 連勤のご褒美はバカンスで
新しい連載です!
長編二作目で、まだまだ新米なので頑張ります。
最初に三話投稿して、次に昼に来ます。
その日は、いつもと変わらない出勤日だった。少なくとも朝までは。
上司が特大の爆弾を持ってくるまではーーーーーーー。
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俺の職場は天界。人間に言わせるといわゆる天国と言われる場所だ。
輪廻転生を管理している部署で、今日も仕事に従事している。
82歳……地球で輪廻転生
17歳……異世界転生
92歳……地球で輪廻転生
16歳……異世界転生
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今日もオレは電算室のような青色のモニターに囲まれた部屋で、数字とにらめっこをしながら、ひたすらキーボードを打っている。
室内の者達も一様に顔色が悪く、空気が淀んでいた。
モニターとキーボードに向き合う事8時間。
もう、そこで限界だった。数字の分別の手間が多すぎる。
「すみません!休憩入ります!」
「いてらー」
同僚も、死んだ魚のような目で俺を見送る。最近は数が多すぎるんだよなー。
以前は地球の輪廻転生が大多数で、せいぜいタイムスリップ程度だったのだが、現代人は異世界に行き過ぎである。地球の魂のバランスが崩れたから異世界に流すのは或る意味仕方無いのだが。
オレは別の世界担当で、地球からの魂の管理をしている。
地球からの異世界転生のせいで、俺達の仕事量と言うか、手間が増えてしまったのだ。
「はぁぁぁ」
俺は、休憩室に有るモニターのチャンネルを合わせて画像を見る。ヒラリヒラリ、それは地上の街の雑踏を行き交う人々の群れ。
人間が言う所の、熱帯魚観賞と言った感じだ。画面越しなので音が聞こえないのが難点だが、人間の日々の生活を見るのが数少ないオレの趣味である。
「お、セネカくんやってるー?って、好きだねえ、またそのチャンネル見てるの?」
俺の上司である神が、休憩室に様子を見にやってきた。大方、よろよろと出て行ったオレを心配して探しにきてくれたのだろう。コーヒー缶を片手に持っていたかと思うと、おもむろに投げてくる。
「っと、有難うございます」
「転生部門、今は大変みたいだね」
「大変なんてものじゃないですよ。俺3kgも痩せましたもん」
俺はプルタブを開けると、無糖コーヒーを飲みながらため息を吐く。気楽に話せる上司なのだが鬼のように仕事を持ってくるので、それだけはいただけない。
「そんな君に朗報だよ、じゃん!『異世界にバカンス!!~疲れたあなたにリフレッシュ!!~』これ、どう?君が当選だよ」
上司は伊達メガネを光らせつつ、一枚のリーフレットを俺に渡す。
バカンス……。
「それって仕事の内ですか?」
「いんや。人間の暮らしに溶け込んで、リフレッシュしてこようって企画。どう過ごそうかは当選者次第。悪い事をすると、主神に天の使いである加護を取られてしまうけど、そうでなければ自由だよ」
バカンス……バカンスか。良い響きだ。
「一晩、考えさせてくれますか」
「いいよぉ。でも、なるべく早くね。君が行かないなら、権利が他の人に行っちゃうから」
それだけを言うと、上司は後ろ手に手を振ってどこかへ行ってしまった。
バカンスなどという言葉は、自分にはとんと縁が無い言葉だった。就職してからこっち300年ほど、仕事仕事仕事仕事…………。やさぐれもする。
確かに休息は必要だ。我ら末端の天使とは言え、働き過ぎれば魂がすり減ってしまう。そこを定期的に上層部がリフレッシュをさせてくれるのだが、今回はバカンス先が地球以外のようだ。
もう一度画面を見る。あの中に入れるのなら行ってみたい。一晩考えさせてくれと言ったが、気が付けば気持ちがもう傾いている。
よし、明日上司にリフレッシュ休暇の申請を出そう。俺はコーヒーを飲み切ると休憩室の隅に有るゴミ箱に捨て、デスクに戻った。
「あれー、セネカくん、顔色良くなった?」
「いや、さっき上司にバカンスを打診されたんですけど、行こうと思いまして」
「あぁ、あれね。いいよー、仕事忘れられて。僕も200年行って無いから上司に聞いてみようかな」
同僚とそんな話をしながら、また数字に向かい直す。
25歳……異世界転生。
48歳……地球で輪廻転生。
56歳……地球で輪廻転生。
12歳……異世界転生。
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バカンスに行くと決めたからには、数字に向かうのにもやる気が出ると言うものが有る。元々取りこぼしが有ってはならない仕事なのだが、格段に集中力が上がった。
出来る、出来るぞ、今の自分は。
斯くして翌日、上司たる神にリフレッシュ休暇を申請し、承諾を勝ち取ったのであった。やったね!
新連載と言うことで、星やらブクマとかいただけると非常に嬉しいです。今日は初日なので、複数話投下しますね。




