シナリオ『飛ぶ鳥を落として』③
短めです
暴風の繭が開く。
中から現れたそれは、おおよそ元のレイピアホークとは言えぬ姿だった。
鋼のような翼は鋭さを増し、まるで水面に揺らぐ月のように煌めく。
獲物を食らう嘴は、研ぎ澄まされた刀のように存在している。
特筆すべき点は、ブースターのような噴出孔が足についていることだろうか。
「勘弁してよ………!!」
『進化が完了しました。レイピアホーク亜種はレアモンスター『ラピッドヘルホーク』に特殊進化しました。』
本当に絶望的なニュースをありがとう。アナウンスやろー。
奴は私を見下ろし、静かに見つめる。
それは獲物を見定める視線ではなく、好敵手を見つけた時に相手へ送る歓喜の視線だ。
「地獄とは大層な名前だ、ね!」
『略式詠唱』で魔導を簡略化し、風の刃を飛ばす。
しかし、飛び出した刃は奴に届くまでに異様な速度で減速し、霧散した。
風は効かないってことね!クソが
魔導が効かないなら接近戦だ。【反逆の獣剣】を構え、連続で感覚をずらすような歩法で接近する。
6歩目で、瞬時に跳躍し、背後から刃を振るう。
確実に命中する位置、速度、状況だ。避けれるはずがない。
刹那、奴は私の背後に、いた。
私が振り向くよりも速く、奴の刀のような鋭さを持つ羽が一閃。
「はぁ?…………クソッタレ」
私の視界に、大変見覚えのある装備と体が見え、そこで私の意識は暗転した。
「クソが、知ってる天井だ」
目を覚ますと、そこは宿屋のセーフルームだった。
なんだよあの早さ!見えなかったし!
『シナリオ中に死亡しました。進行状況を保存します。完了しました。先程の地点に向かえばラピッドヘルホークとの戦闘をやり直すことができます』
すんごい親切設計。戦闘保存が一番ありがたい。もう一回レイピアホークからやり直しなら面倒だから。
初めての死がレイピアホークの進化系かよ。
ベッドから身を起こし、対策を練る。
「うーん………厄介なのは速さ、烈風魔導とこっちの魔導の無効化、かな」
宿屋においてあった紙に特徴を書き出す。
人体を切断可能な鋭さの翼、いかにも加速用のブースター、嘴はまぁ人間を切れるでしょ。
「課題は速度に対応すること………」
ブレイズ・インダクションで引き寄せるのもありか?
でもクールタイムがあるから一回限りだしなぁ。
悩むこと小一時間。ようやく形がまとまる。
必要なアイテムやらを作り終えて、私はログアウトした




