attendance
学校までの道のりをのんびりと歩いていた。
今日はいつもより少し早く家を出ているので急ぐ必要はない。
家から学校まではそんなに遠くはない。徒歩15分くらいだ。
まぁ近いからその学校を選んだだけだが。
今日の弁当のおかずは何かななんてことを考えてボーとしていると突然──
「おはよーさん!今日は早起きだな暁ぃ!!」
金髪と笑顔が妙に爽やかな高身長イケメンが現れた。
それと同時に背中に強烈な衝撃が走った。
一瞬呼吸が止まってしまった。
この野郎、と睨んでみたが涙目のために威力半減だった。
「ん?どうかしたか?」
本当に何が起きたのかわからない顔をしていやがる。
「あぁ………。誰かさんのおかげで死にかけたよ。」
「そんな大袈裟だなぁ。暁は。」
「人に挨拶するときは、背中を叩くなと父親に教わらなかったのか。」
「残念ながら教わっていないなぁ。」
この人を小馬鹿にした態度をとっている男は、剣白夜。残念ながら親友だ。
剣財閥と呼ばれる大企業の御曹司でもある。
そんな奴がなぜこんな凡人である自分と仲がいいのか、そしてなぜ平凡な学校に通っているのか、それは謎である。
「しかし本当に早いな。いつもは遅刻ギリギリなのに。」
「今日は珍しく早起きをしてな。ほら、早起きは三文の徳っていうだろう?」
「まぁそうだが。しかし本当に珍しいな。今日は嵐か?」
「ほっとけ。」
本当に一言多い奴だ。
「それよりなぁなぁ。知ってるかあの噂。」
「噂?」
「この街に吸血鬼が現れたってやつだよ。」
「吸血鬼?」
吸血鬼──誰だって一度は聞いたことのある言葉だろう。
闇夜に紛れて人を襲い血を吸う、血を吸った人を隷属させることができる、体を様々なものに変化させることができる、日光が弱点、ニンニクが苦手、銀の弾丸が効く──様々な伝説が語られる怪異。
その知名度から間違いなく怪異の王と呼ぶべき存在だ。
しかしそれは──
「吸血鬼なんて空想の話だろ。」
そう。所詮物語の住人。現実には存在しない空想が生んだ産物だ。
「それはそうだが。しかしだな、最近通り魔事件が起きているのは知っているか?」
「それは知っている。」
さっき聞いたばかりだ。
「いま被害者は4人いるそうだが………。その被害者全員、首筋には歯の痕があったそうだ。」
「それはただの変態の仕業じゃないのか。」
「それだけじゃない。被害者は皆奇妙なことを言っているらしい。」
「奇妙なこと?」
「『悪魔に襲われた。血を吸われた。もう駄目だ。』とね。」
「それはショックで気が動転しているだけだろう。」
「全く………。君と言う奴はロマンがないのかね。」
「あいにく現実的でね。」
それに現実味がなさすぎる。
大方変態が吸血鬼を模した犯行しているだけだろう。
それにこの街は平和だからこそ、そのような異物はすぐに見つかる。
事件解決まで秒読みだろう。
それでもまぁ──
「もし吸血鬼が存在しているならお目にかかりたいものだね。」
そうすればこの退屈な日々も少しは刺激的になるかもしれないから。




