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異界の欠陥魔法師  作者: 木崎 咲
八章 再会と……
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八十八話 白い……

物語が、物語が進まない!


はい。木崎咲です。

いつも遅くてすみません。


予定通りに進まないですね。難しい。


まぁ、書いてて楽しいんですけどね。

思ったように書けないのはもどかしいです……。


想像を文字にって難しいです。

 ―――それは突然だった。


 ―――見たものが信じられなかった。


 ―――いや、今でもそうだ。


 ―――何もない中空に、『それ』は何の前兆もなく現れた。


 ―――(けが)れを知らない、どこまでも純白な『それ』は神々しい。


 ―――いや、神々しかった(・・・)


 ―――見えたのは一瞬で、直ぐに見えなくなった。


 ―――私が本当に『それ』を視認したのかはもう分からない。


 ―――だって『それ』を認識したと思ったその瞬間。


 ―――もう、私の視界は全てが白に染まっていたのだから。



 ◆◆◆◆◆



 互いの陣営に戻り、戦法などを話し合っていたミカ達は、突然の轟音と閃光に話し合いを中断せざる終えなくなる。


「伏せて!」


 ミカが叫ぶと同時にうつ伏せになり、手近の雑草を握りしめる。


 耳がおかしくなったのか自身の声が出ているのか分からない。同じように周りにも今の指示が聞こえていない可能性が高かったが、それを確認している余裕はなかった。


 ミカが伏せて直ぐに爆風が襲いかかる。


「……っ!」


 爆風で目を開けることもできず、音も風の音しか聞こえない。


 だが、触覚は機能している。そして、その触覚が自身の近くに何か大きな物が落ちてきた震動を捉える。


 ミカは伏せているだけではマズイと、風の障壁を纏うようにして展開する。そしてその瞬間、爆風の影響が不自然に消えた。


 一瞬何故?と思ったが、直ぐに理由はわかった。


(しまった。風の障壁を張れば爆風の影響はなかったのか)


 自身の周りに別種の風を纏うことで外の風を上手く受け流せているようだ。


 が、分かったところでもう遅い。その頃にはもう爆風は収まっていた。


 ミカはすぐさま周囲を確認する。メンバーが欠けていないか、欠けていたら何処に飛ばされたかあるいは何かの下敷きにされたかを知るために。


 まず見つけたのは同じように周囲を確認、いや、すでに確認を終えたのか周囲の警戒をしているククル。彼女は爆風が襲いかかる前と全く同じ場所で伏せていた。


 ミカが周りを確認しているのに気付いた彼女は手だけで後ろを示す。


 それに従って背後へと視線を向ければ、爆風が襲いかかる前より五メートル程後ろにずれて伏せているシャーリィと、そこからさらに人二人分程離れたところでタマモとリリィが目を回す様にして倒れていた。


 見られているのが分かったのか、シャーリィが顔を上げてミカに手を振る。


 リリィ達の下にはシャーリィの影が伸びており、彼女が爆風によって吹き飛ばされる彼女達を助けたのだろう。


「リリィ様達だけじゃない。シャーリィは私達も助けてくれたわ」


 と、触れてもいないのにミカの考えている事が分かったのか彼女が補足する。


「周りを見たら分かると思うけど、彼女が飛翔物を全て打ち払ってくれたのよ」


 彼女に促されるままに周りを見渡す。


 辺りは酷い有り様だった。


 草原の至るところに木や枝が刺さっている。所々光って見えるのは粉砕された武器や防具の破片だろうか?


 近くに何かが落ちてきた振動は五メートル程離れたところにある大木が落ちた事によるものだろう。


 しかし、辺り一面に様々な物が突き刺さっている中でも、ミカ達の周囲五メートル程の範囲内に落下物は一切無かった。


 ククルが言っているのはこの事だろう。シャーリィが飛翔物からミカ達を守ってくれたようだ。


「分かった?なら、一度固まるわ。警戒は(おこた)らない様にして」


 ククルはそう言って立ち上がり、爆心地の方向を警戒しながら後ずさる様にしてリリィ達の元へと移動する。


 ミカも少し遅れて立ち上がり、同じように後ずさる。


(……んん?)


 ―――何となくだった。


 ミカは同じ方向を警戒していてもあれかな~?等と思い視線を上の方に向けた。


 爆心地の真上、現在雲は無かったがもしあったのなら、それよりも高いところに『それ』は浮いていた。


 遠目には『それ』が人型に見える。『それ』には純白の羽が有るように見える。


 鳥の魔物が人を運んでいるのか?もしくは鳥の魔族なのだろうか?と思いながら『それ』を見ていた。


 目を離したりはしなかった。


 (まばた)き一つ。


 ―――『それ』は手の触れられる程近くに浮いていた。


「……は?」


 突然の事態にミカは間の抜けた声を上げる。


 その声が上がるまで警戒していたククルでさえ気が付かなかった。


 ミカの目の前にいる『彼女』の左手は既に振り上げられた状態で光を纏っている。


 その拳を降り下ろそうと腕に込める力の流れがミカにはとても遅く見えた。あり得ない程に遅く。


 ―――避けなければ。


 そう思ったが体が動かない。跳び下がるための筋肉の動きがやけに遅く感じる。自身の体にも目の前の存在と同じ様な現象が起きていた。


 初めての感覚。この感覚を知っている者は『走馬灯の様なもの』『思考の加速』『集中の極致』とでも言ったかもしれない。


 そして、その感覚は不意に終わる。


「―――離れて!」


「っ!」


 ククルの叫びで我に返ったミカは降り下ろされている腕を見て普通のバックステップ等では間に合わない、足を地面から離す前に拳が当たると判断。


 しかし、先ほどの時間でミカは自身の体に『背後へと跳べ』という命令を送ってしまっている。体はバックステップの為の動きを初めてしまっている。


 普通なら動き始めた行為を無かったことにはできない。バックステップを止めようとすれば不自然な停滞が生まれてしまう。


 が、この世界には普通でないものがある。


 ミカは即座に目の前の『少女』と自身の間に小規模の爆風を発生させる。それと同時に足の裏に薄い水の膜を作成。


 爆風によって相手の動きを阻害しつつその爆風の勢いを利用し足の裏の水で滑るようにして、足を動かすことなく距離を取る。


 二属性の同時使用は何度か練習をしていた。この移動方もその練習の際に思い付いて練習していたものなのでとっさでも発動できた。


 が、この移動法、練習で一度も正確に止まれなかった不完全なものだったりする。その上、今回はバックステップを途中で止めた不自然な体勢での発動だ。


 とっさの本番なら成功する、等という幸運もなく、ミカは止まろうと魔法を解除した途端にバランスを崩してこける。


 勿論、敵対している相手を目の前に尻餅を付いて止まるといった愚は犯さず、ミカは後ろにこける勢いを利用し後転する様にしてさらに距離を取る。


 しかし、距離を取ったからといって先ほどの転倒が隙であることには代わり無い。


「魔法によるダメージを認識。損傷確認。……完了。魔力障壁の損傷率0%。肉体の損傷率0.03%。生命及び戦闘への影響無し。対象の魔法を解析。……失敗。地上に存在しない魔力を感知。魔法の無力化は現状不可能と判断。該当魔力による抵抗を上昇。……失敗。該当魔力への干渉は不可能と判断。魔力障壁への耐性付与。……失敗。結論。対象の魔法攻撃に対し、魔力による防御は不可能と判断」


 直ぐに攻撃が来ると思っていたミカだが、目の前の『少女』は拳を降り下ろしている途中という不自然な体勢で完全に止まり、機械的な声だけを発していた。


 その間にミカとククルはシャーリィ達の元へと移動する。


「何あれ?何処から出てきたの?」


 突然現れた存在を指差してシャーリィが集まってきた二人に問いかける。


「たぶんさっきの爆発を起こした人。人?魔族?羽が有るから、たぶん魔族かな?まぁ、見た目人に似た何か。さっきまであの爆発の真上に居たから空間転移系統ができるんじゃないかな?」


「上位属性……。厄介ね」


 ミカの報告を聞き、シャーリィが顔をしかめる。空間魔法の使い手を知っている彼女は何処からでも攻撃ができるという空属性魔法の厄介さを理解していた。


 が、知っているからこそ戦い方も分かる。何を警戒すべきかも理解している。だから戦えない相手ではないと彼女は考えていた。


「……いいえ。あれは魔族じゃないわ。人でも獣種でもない。あれは、あの存在は厄介なんてものじゃない」


 しかし、ククルの反応は違った。シャーリィよりも強い彼女は今まで見たことが無いほどに『少女』を警戒している。


「じゃあ、あれ何?エイリアン?」


「あれは―――っ!」


 ミカの問いに答えようとしたククルは『少女』がほんの少し動いただけで、もう答える余裕はないと言わんばかりに構える。


『少女』は自身の状態の確認を終え、今度はミカ達を観察するようにじっと見つめる。


「……データベース参照。『幻魔』ククル。驚異度中。……データベース参照。『魔王の娘』リリィ・クラウン。殺傷禁止対象。広範囲術式の使用に制限を掛けます。……データベース参照。『不明』驚異度測定不可。対象のスキャンを開始、完了。『不明』の魔力に複数種族の特徴を感知。……『不明』の魔力は多種族魔力の合成によって精製されたものと推測。現在のデータベースでの断定は不可能」


「え?怖い。何かスキャンとかされたらしいんだけど……」


 少女の『スキャン』という言葉に不安を覚えたミカは自身の体をポンポンと叩くようにして調べる。


 ククルは目を怪しく光らせつつじっと少女から目を離さず警戒し続ける。


 少女はミカ達の観察を終え、その視線をシャーリィの後ろ。彼女の影に向ける。


「背後の影に二つの存在を感知。……サーチ開始、完了。……データベース参照。『獣種・九の尾を持つもの』名称不明。驚異度零。熱・幻に超高耐性を確認。……データベース参照。『魔王の娘』リリィ・クラウン。……リリィ・クラウンの存在を二重に観測。…………観測機能にバグがあると判断。リリィ・クラウンの殺傷を避けるため殺傷を禁止。術式を無力化特化の性能に調整」


「弾かれた感覚もない……。やっぱり魔法が効かない」


 ククルが呟く。彼女の瞳が怪しく光っていたのは幻属性の魔法を扱っていた為だ。


 目を合わせなければならないという制限がある代わりに防ぐのがかなり難しい魔法。ミカと初めて戦ったときに使った魔法だ。


 だが、その魔法は確実に目を合わせたというのに成功しなかった。防がれた感覚もない。


 確実に魔法は発動している筈なのに手応えがない。


 得意の魔法が通じない事に苦い表情をするククルだが、その表情に驚きは無い。彼女は『あれ()』に魔法が効かない事を知っていたのだ。


「シャーリィ。リリィ様達をお願い」


「妾の影に任せる……じゃダメなのね?」


「ええ」


「…わかったわ」


「ミカは私とあれ(・・)の対処。どうしてかは分からないけどあれ(・・)は貴方の魔法を防げないみたいだから、メインは貴方になるわ。私はサポート」


「うへぇ。マジですか。自分の戦法、防御寄りなんですが……」


「それで良いわ。この戦い。生き残ることが重要よ」


 こちらの確認を終えたのかゆっくりと上体を起こす少女を見つつククルが積極的に指示を出す。今までは見守る立場を崩さなかった彼女が積極的に介入してきたのだ。


 目の前の存在はそれだけ危険な存在ということだろう。ミカ達よりも圧倒的に戦闘経験のある彼女が出張らなければならないほどに。


 それを理解したミカは目の前の少女を見据える。剣は抜かない。


 自然体で立っているだけだがこれがミカの構えだ。武闘大会でも見せた本来の戦闘スタイルである防御重視の長期戦スタイル。


 シャーリィもククルの指示に従い防衛の準備を整える。


 彼女の横にはいつの間にか黒い影が立っていた(・・・・・)。伸びているのではなく、直立して起立している。


 リリィも使っていた影の魔法。自身の元となった魔法を彼女が扱えない訳がない。


 シャーリィとその魔法がリリィ達を包んだ影をシャーリィが前、影の魔法が後ろで背中合わせに挟む様にして待機する。


 目の前の少女は突然、何の前触れもなく現れた為、一方を警戒するだけでは不足だと考えたのだろう。


「はっきり言って、私達が生き残れるか分からないわ」


 ククルは魔法で地面から黒い三叉槍を取り出しながら言う。その声音は今まで余裕を持っていた彼女とは思えない程に硬い。


 それが意味する事はあの少女はククルより強いということ。


「で?結局あれは何なんですか?」


 ミカの問いにククルは一言で答える。


 ―――天使よ。


 同時に目の前の少女が純白の翼を拡げた。


はい。申し訳ございません。本格的な戦闘まで行けませんでした。


次回こそは!

というか、もっとペースを上げれるよう頑張ります!


執筆も、小説の進行も。

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