四十四話 ミカ流・武器の選び方
クーリスマスが今年もやーてくるー♪
12月になりましたね。
クリスマスは特に予定のない木崎咲です。
fate/goもクリスマスイベントです。
原作知ってるので凛がとても欲しいのです。
結果ですか?
・・・
さてさて、今話は『ミカ流・武器の選び方』になります。
・・・実は閑話入れるとこれで五十話目です。これからも地道に頑張ります。
5/13サブタイトル更新
残念ながら売り物を振り回す許可は貰えなかった。
考えてみれば当然だ。売り物なのだから。
傷を付けたら値段を下げなければならなくなる。
そんなのは売る側として損失にしかならない。
「買うんだったら下の部屋で試し振りしていいぞ?」
これがこの店の店主である緑色の鱗をしたヒスラ族の言葉だ。
「部屋自体はあるのか・・・」
ミカはその回答に少し考える。
「どうするのだ?」
「・・・シャーリィ。中にある骨で武器を造れる?」
リリィの問いを無視してミカは小声でシャーリィへと質問。
「できるわ。誰かさんのお陰でいっぱいあるもの」
主語を省略した言葉を正確に理解したシャーリィが頷き答える。
ミカはシャーリィの回答には何も言わず、店主の方を向いて決まり悪そうに微笑んだ。
「ごめんなさい店主さん。武器を買う前にどの武器が合いそうか確認したいので部屋を使わせてもらうことはできませんか?」
「構わんが・・・。買ってからでないとうちの武器は使わせんぞ?」
「はい。問題ありません」
「・・・武器を買わずに部屋を使ってどうする?武器無しでどの武器が合うか、分かるのか?」
「いえ、出来の悪い物を幾つか種類を持っているんです。とりあえずそれを扱わせてみようと思いまして」
「・・・何故ここに来る前にやらなかった?」
「本物を一度手にしてからの方がいいかな?と思ってしまいまして。・・・その、恥ずかしながら、常識が頭から抜け落ちていました。私も新しい仲間が加わると思って興奮していたようです」
と、店主の質問にペラペラと嘘を吐くミカ。
リリィ達は驚いた表情でミカを見つめている。
ミカが嘘を並べ立てていることに、ではない。
「あぁ、後輩か・・・。その気持ち、分かるぜ」
「やっぱり、嬉しいですよね」
「ああ。こいつはどんな物を造るのか、才能はどうか、俺好みになるか、俺を越えるか。いろいろ期待しちまう」
「私もできればこの子を私好みにしたいと思っています。ですが、それで才能を潰すのは嫌です。彼女には私を越えてもらいたいですから」
ミカの柔らかい、まるで慈愛に満ちているかのような表情、いつもより高くふわふわとした優しい口調、自身の頬に手を添えたりする仕草に混じる色っぽさ。
それらに驚いていたのだ。
「お前さんは中々の使い手だろう?それを超えるのは難しそうだな」
「ありがとうございます。でも、私、そこまで強くありませんよ?」
これはミカの本音である。
ついでにミカはちらりと外を見る。
時間を気にしています。というジェスチャーだ。
「と、悪いな。引き留めちまって。部屋はこの先の階段を下りたところにある。今は誰も居ない。何もない部屋だが、他の客が来たら迷惑かけないようにしてくれ」
「わかりました。ありがとうございます」
ミカは流麗な一礼を見せた後にリリィ達へ手招きをする。
三人はその仕草にハッとして先に歩き出したミカを追いかけ、階段を下りていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
下の部屋は本当に何もない部屋だった。
広さは大体奥行き30メートル、横幅40メートル位のもの。
複数人が武器を振り回す事を考えるとそこまで広い部屋ではないが、物が何もないせいでとても広く感じる。
「じゃあ最初はーーー」
「ね、ねぇ。ミカ?」
少し戸惑った声と表情でシャーリィが呼び掛ける。
ミカは言葉を途中で止めてシャーリィを見返すが、彼女は言うか言うまいかしばし悩むような仕草を見せる。
「・・・なに?」
ミカは声にも出して問う。
それで覚悟が決まったのかシャーリィは口を開いた。
「さっきの、その、口調はーーー」
覚悟が決まったにしてはとても弱々しい声だったが、その言葉にミカは鋭い睨みを返す。
シャーリィは慌てて首を横に振る。
「いえ、おかしくはなかった、けど、い、違和感があって・・・えっと、その」
首だけでなく手も顔の前でブンブンと振っている。
「何故、女性のような口調で話していたのだ?」
リリィも同じ疑問を持っていて、ためらい無く口に出した。
その言葉にミカが震える。
「・・・何故?」
小さな呟き。
その声には怨嗟のようなものが混じっていることに三人共気がつく。
リリィは聞いたことを後悔した。
「ご、ご主ーーー」
「はぁ、誰のせいだと・・・」
タマモの言葉はミカの怒りを我慢しているかのような静かな声に固まってしまったことで途切れる。
だが、振り向いたミカはニッコリと形容できるような笑顔を浮かべていた。
「シャーリィ達が勝手に僕を女って設定にしちゃったからね。この町では基本的にあんな感じで行かないとなんだよ?」
顔は笑顔で、口調は明るい。なのに声には怒気が混じっている。
このちぐはぐ感によって、何とも言えない恐怖をリリィ達は感じていた。
「シャーリィ」
「は、はい!」
ミカの呼び掛けについ、姿勢を正してしまうシャーリィ。
言い出した本人だけに叱られるとでも思っているのか、泣きそうな表情である。
ミカは息を一つゆっくりと吐いて口を開く。
「最初は剣・・・そうだね、片手直剣が良いかな。僕とタマモの二人分ね」
「え?は、はい。作ります」
「今からかい・・・。あ、作るなら思い付く限り複数の種類の武器を作って。こっちはタマモの分だけでいいから」
「・・・お、怒らないの?」
てきぱきと指示を出しているミカにシャーリィはおずおずとしながら尋ねる。
「怒る?・・・まぁ、確かに嫌なことだけど、今回は僕が確認を怠ったからね。この町では我慢するよ」
ミカは不服ではあるということを隠しもしなかった。
「それより、骨剣は?」
ミカの言葉にシャーリィはアイテムバッグ(に見せかけた、ただのポーチ、その中の影)から骨剣を二つ取り出した。
普通に取り出さないのはまだタマモを信用していないからだろう。
ミカは両方ともを手に取り、
「これ骨?重くない?」
「密度を調整して本物に近い重さにしています」
手に持った感触が意外にもしっかりしていたことに首を傾げたミカにシャーリィが説明する。
(シャーリィ・・・便利だ)
ミカは思う。もちろん口には出さない。
彼はシャーリィの言葉に手を上げて感謝を示しーーーシャーリィは叩かれると思ったのか少し首をすくめていたーーータマモの前に行く。
「ごめんね」
「え?」
ミカは謝りながらタマモに片方の骨剣を渡した。
当然、何の脈絡もなく謝られたタマモは首を傾げる。
「いや、先に謝っとこうと思って。・・・これ、たぶん八つ当たりが入っちゃうと思うから」
「・・・え"?」
ミカの言葉にタマモは直前と同じ音を違う声音で発する。
表情もひきつっている気がするがミカは気にせず、彼女の手を掴み、移動する。
「・・・あ、待って、待ってください。私、剣ではなく、槍の方がーーー」
「武器を扱ったことないならいろいろ試すよ。その中で良さそうなのを選ぶつもり。同じ位だったら希望の方にするから」
「う、あ、えっと、そう!首輪!首輪の効果でご主人様に攻撃できないです!」
「む?・・・しょうがないか」
何とか先伸ばしにしようとタマモが言い、その結果少し悩んだ末にミカがそのような言葉を発した。
タマモはほっとしたような表情を浮かべる。
「この部屋に限り、僕への攻撃を許可する」
首輪が一瞬薄く光る。
命令を受け付けたようだ。
「命令で解除可能とは・・・知らんかった」
「まぁ、奴隷から主への攻撃許可をする主なんてそうそう居ないでしょうからね」
リリィとシャーリィはタマモの助けを求めるような視線を無視しつつ首輪の反応を興味深そうに見ていた。
「じゃあ、始めるよ。とりあえず受けに回るから振ってきて。ほら、日頃の恨みもこめて。あぁ、あと、さっき言った八つ当たりはひどい隙があれば行くからそのつもりで。ちゃんとやらないと痛い目見るよ?」
「・・・はい」
タマモは構える。痛い目を見ないように。
内心では無理だと思い、うっすらと瞳を潤ませながら。
彼女はミカへと飛び込んだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ふぅ・・・。シャーリィ、次は?」
「それが最後よ」
「そう?っぁ~。ん。久々にしっかり鍛練したって感じがする」
シャーリィの答えにミカは体をググぅ~っと気持ち良さそうに伸ばす。
実家にいた頃は弟である大蛇と共によくやっていた組手を思いだし、それと同じくらいやったのではないかと反芻する。
とても気分のいい、満足げな表情をミカは浮かべている。
いつもと違う相手との鍛練は悪くなかったようだ。
惜しむらくは、弟とのそれに比べて質があまり良くなかったことか。
その点は量で補った。
「はぁっ...。はぁっ...。はっ...っ!」
一方、その量をやらされたタマモはペタんと座り込んで荒く息を吐いている。
何とか立とうとはしているようだが、手足が震えて上手くいかないようだ。
彼女の両手には鉤爪のような形をした骨が付けられている。
「う~ん。正直刀剣類は今まで使ってた短剣含めてあんまり上手くないね。双剣も、どの長さ、組み合わせにしても無理だったし。手甲と鉤爪は・・・悪くは無いんだけど本人が怖がってて勢いが足りない。斧、ハンマーは意外にも論外。確かに槍と戟は結構良かったけど・・・一番の特徴の突きが苦手」
体をほぐし終えたミカがタマモへの評価を口にする。
手直剣や曲刀等の一般的な長さのものから、短剣、大剣等の大きさの違うもの等の刀剣類。
それらを始めに扱わせたのだが、正直才能を感じなかった。
時折剣閃が曲がるのだ。これでは上手く斬ることができない。
一応、これ等を適当に組み合わせた双剣もやらせてみたがもちろん無理だった。
片手剣ができないのに双剣ができるとは思っていなかったのでこれは当然の結果だと判断する。
次にパワータイプの斧やハンマーを扱わせてみた。
力のある種族だから良さそうな武器だと思ったのだ。
だが、これもダメだった。
武器を振るう度に体の軸がずれたりなど振り回されていたのだ。
ならばと同じ長物で少し軽めであり、彼女の希望でもあった槍を扱わせてみた。
これがいいと言うだけあって扱いはそこそこ良かった。
唐突に近づいてみると、とっさに柄を短く持って対応しようとしてきた程だ。
ミカはこれが良いかな?と思ったのだが、突きを一度も放ってこないことに気づく。
どうして?と思い、突きを放ちやすい状況に何度も誘導してみた。
だが、その状態でも凪ぎ払いや振り下ろししかしない。
ミカは一旦ストップをかけて、『突きを見せて』とお願いしてみた。
タマモは凄く困った表情を浮かべて渋ったが、ミカは『いいから』とタマモにやらせた。
結果。
突きは体重の乗っていないふにゃふにゃしたものだった。
戟も同じく。
まともに扱ったことがないから突き方が分からなかったらしい。
この二つの武器は体重の乗る突きが最も強い攻撃だ。
ミカはそれが扱えないならダメだと即断し、タマモの嫌そうな表情を無視して次の武器へと変更する。
そして、現在の腕に装着するタイプの武器へ。
そして、それも怯えが混じってしまい、せっかくの速度が全く生かせていなかった。
「ミカ。厳しくはないか?どれもダメなど・・・。タマモはほとんどが初の武器なのだぞ?上手くできんのは当然であろう」
これまでのタマモの動きを思い出していたミカにリリィがどこか攻めるような口調で言う。
「初めてだから分かるところもあるよ」
ミカは顎に手を当てながらタマモに合いそうな武器を考える。
(槍の取り回しは悪くない。振り回す系統の長物・・・鉄パイーーーいやいやファンタジーでそんなの見たくない)
彼女の戦い方から最初に思い付いた武器を頭を振って思考から追い払う。
そもそもあれは武器ではない。
そのまま数分悩み、
「シャーリィちょっと」
「何?」
「ちょっと作ってほしい物があるんだけどーーー」
ミカはシャーリィを手招き、近づいて来た彼女にお願いをする。
以上。ミカの武器選びでした。
簡単に言うと、使わせてみて問題なく使えればOKと言うだけです。実戦あるのみって感じです。
もちろん、現実でやってはダメですよ?アニメとかでは軽く振っているように見えますが、剣とか実は重たいですから。手首痛めますから。
次話は『再びの・・・』です。




