19人の戦い
俺達はガク村長の家で話を聞いていた
「ここらはゴブリンくらいしか魔物なんていないんだが…ここ最近見たことねぇ魔物が来るようになってな」
「多分荒れ地の魔物だな、カラリア村でも荒れ地の魔物が活発化してた」
「カラリア村?あそこは魔物の嫌う森があるだろう?」
「知ってるのか?」
「当たり前だ、あの木の花粉を分析して魔物の嫌う成分を濃縮した煙玉でここはギリギリ魔物を追い払ってる」
「流石は医療の最高峰の村だな。…分かった、後は俺達が調べる」
「頼む」
「なら、俺以外は怪我人の治療の手伝いと壊れた家の修理を手伝ってくれ」
「優、一人で行くんか?」
「まぁちょっと気になる事があるからな」
「………お節介もホドホドした方が良いぞ」
「……分かってる」
サインは河原にいた
「ちくしょう!あのクソ親父!」
「…………大荒れだな」
「っっ!誰!?…ってキャッ!」
ドボーン
サインは河に落ちた
「あー、大丈夫?」
「優!?急に声かけるな!ビックリするだろ!」
「いや、何回も声かけたけど?」
「えっ?」
「まぁ、いいから河から出ろよ」
俺は手を出す
「あ…ありがと……」
「ほら、動くなよ」
俺は魔術でサインの周りに炎の渦を作り服を乾かす
「あつ!………くない?」
「さっ乾いた、なら話があるんだか?」
「何の話だ?」
「何で俺達を襲った?」
「…………金を盗る気だった、武器を買うため」
「何でそんなこと?」
サインはゆっくりと立ち上がる
「ここは医療の最高峰の村だ………つまりな治療魔法の使えない奴はこの村に必要無いんだ」
「……………」
「ここでは6歳から治療魔法の勉強をして12歳には治療魔法を使いこなせる様になるのが普通だ、だが……」
「中にはその6年間では使いこなせないのもいる」
「あぁ、18人全員だ。私は彼らのリーダーなんだ」
「なら、お前も治療魔法は使えないのか?」
「……………………」
「…そうか」
「あいつらはこの村で除け者だ、でも魔物が攻めている今!活躍でもしたらきっと認められる」
「それで武器を買うために俺らを襲ったのか」
「だから!明日一日待ってくれ、断るな、お前達に邪魔はさせない」
剣先を向けてくる
「…………好きにしろよ」
俺はサインに背を向ける
その夜
「ガク、サインについて話がある」
「優か……俺からもその事で話そうと思ってた所だ」
「………」
「たった6年で治療魔法を使いこなせる人間なんていないんだ、6年勉強してそのあとは経験を積むしかねぇ、だがなそれは言われてやるもんじゃねぇし、俺達大人が言うもんでもねぇ」
「なら…」
「あいつらの親も困ってんだ、いつまでも勝手に悩むのは良い。だが人様を傷つけるのは医者の前に人として駄目なんだ。サインは優しい奴だ、自分が6年で治療魔法使えるほどの才能がありながらそれを隠してでもあいつらに居場所を作ろうと頑張ってる……」
「……俺に詳しいことは分かんねぇけど、ガク達がサイン達を思ってるのは分かった………だから一つ伝えとく、あいつらは明日、魔物に攻撃を仕掛けるらしいぞ」
「なっ!?」
「俺はサインのやってることは間違ってると思う。これだけはハッキリ言う、自分に偽って人を救うのはただの自己満足だ。サインはただ怖いだけだろ?一緒に過ごした仲間達と離れるのが」
「お前に娘の何が分かるんだ!!」
「サインの事を一番知ってるのはサインだ!」
「っ!」
「明日、俺達はサインがあのままなら何もしない。ガク、あんたは村長としてでなくサインの親父として考えてみろ!やることは分かるだろう?」
ガクは何も言わなかった…
次の日
ドドドドドドドドトド
地平線からは数十の魔物
サインと仲間の18人はラクホォにまたがっていた
「さぁ来たぞ」
「姉御……本気ですかい?」
「当たり前だ、これでクソ親父達を見返すんだ!」
「よっしゃ!俺達は姉御についていきますぜ!なあ!皆!」
「「「おぉ!!」」」
「行くぞ!」
「トカゲは剣で!岩の巨人はハンマーで戦え!一匹も村に近づけるなよ!」
「へい!姉御!」
サイン達はドラグーン、ゴーレム相手に互角の戦いをしていた
「姉御!左翼は粗方終わりましたぜ!」
「なら右翼に人を回せ!特にハンマー部隊を急いで回せ!」
「了解しやした!」
(このままなら押しきれる!)
しかし、サインの考えは甘かった……
「姉御!正面に土煙が!」
「魔物の増援か!」
グラァァァァァ!
次の瞬間地面が弾ける
「なんだ!?魚!?」
サバナフイッシュが現れた
尾びれを振るだけでドラグーンが飛ばされ、ゴーレムが粉々になる
「ぐぁっ!」
「大丈夫か!?」
「右翼は総崩れでさぁ!」」
「っち!たがが魚一匹だ!全員でかかれ!」
「あっ姉御!一匹じゃありやせん!まだ後ろから!」
前方には土煙が、サバナフイッシュの背ビレが5つ以上見える
グラァァァァァァァァァァァ!
「「「「うわぁぁぁ!」」」」
「……………っ!全員無事か!?」
「っ……くっ」
「あっ姉御……」
18人はサインを庇っていた
「何してんだ!私なんか庇って!」
「姉御は逃げてくだせぇ!俺達が囮になります」
「ふざけるな!お前らを置いていけ」
「行ってくだせぇ!」
「!!」
「姉御には感謝してます、治療魔法使えない俺達を拾ってくれたこと」
「姉御が治療魔法使えるは知ってるんでさ、姉御は生きてもっと役に立つ人間を救ってくだせぇ」
「お前ら……………知ってたのか…」
目の前には6匹のサバナフイッシュが大口を開けている
「行ってくだせぇ!姉御!」
「ばっ……………バカ野郎ぉぉぉぉ!」
サインから光が発し、18人の仲間を包む
「怪我が?治った?」
「こんな治療魔法見たことないぞ!」
サインが倒れる
「「「「「「姉御!」」」」」」
「私は良いから……逃げろ」
「それじゃ俺達と同じじゃねぇか!皆で逃げやしょう!」
サインを背負って走る
「全員逃げろぉーー!絶対生き延びるんだ!」
サバナフイッシュの口を避けるがその反動からの砂波に巻き込まれる
「くっ!諦めるな!」
「「「「「「おお!」」」」」」
しかし、サバナフイッシュは後ろから追いかける
「走れ!走れぇぇぇーー!」
すぐ真後ろにはサバナフイッシュの大口が迫る
その時、大きなハンマーが複数サバナフイッシュに向かって飛んでいった




