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【完結】転生したら嫌われ者の悪役令嬢でしたが、前世で倒したドラゴンが守護精霊になってついてきたので無敵なようです  作者: As-me・com


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第47話 想定外の来客



 あの騒ぎからすでに2日。あの後、午後の授業を受けずにすぐに帰宅すると、いつものごとく公爵家は大騒ぎになっていた。密偵から私がジュドーやルルに絡まれて教師に連行されたようだとの報告を受けてまさに今から学園に抗議をしに行こうとしていたのだと言うではないか。もちろん即座に止めましたとも。これ以上話を大きくしたらグラヴィスの胃に穴が空いてしまうかもしれない。それに、使用人たちまでめちゃくちゃ殺気立っていて、雰囲気がまるで聖女時代に見たことのある市民たちの起こしていた一揆そのものだったんだもの。あれは食べ物や薬を求めての事だったけれど、学園に乗り込むのをあれほど躊躇していたお母様までその気になっていたからかなり危険だと思ったのだ。まさに危機一髪である。アオが姿を消してから屋敷全体がピリピリしていたから余計だろうか。


 そして案の定お父様はお母様の足元で気絶していた。気絶する前に是非お母様を止めておいて欲しかったが、やっぱり無理かな……。


 さらに、一息つく暇もなく侍女のエメリーには「わたしがご一緒していれば!」と散々泣かれてしまった。でもエメリーはまだ怪我が治りきっていなくて療養中だし、リハビリの為に屋敷内で簡単な仕事はしているけれど学園に登校するのはまだ無理なはずである。勉強自体は執事長がそれなりに教えてくれるから授業に遅れることはなさそうだけど、やはりエメリーの体が心配なのだ。そう言えば余談だが、あの護衛がエメリーの事をすっごく心配して気遣っているらしいと他の侍女たちやメイドが言っていたのを思い出した。こんなところにも神様の好きそうなラブロマンスは散りばめられているようである。小さなフィレンツェアも大喜びだ。


 まぁ、そんなわけで騒動に巻き込まれた事を知った両親や使用人たちからの強い要望によって私は学園を翌日から数日お休みすることになり、自室でこれからどうしたものかと頭を悩ませているわけである。最近は悩んでばかりな気がしてきた。1日目はさすがに大人しくしていたが、私がお母様によってベッドに軟禁されている間になんとエメリーが学園に偵察に行ったらしく情報を仕入れてきたと意気揚々と顔を見せてきたのには驚いたが。なんでも変装までして私の侍女だとバレないようには聞き込みをしてきたのだとか。本人は「これもリハビリの一環です!」と堂々と胸を張っていた。



 なんと、学園ではすごい勢いでたくさんの噂が流れていると言うのだ。どうやらあの時のメンバーの私以外のみんなも学園を休んでいるらしく、残された生徒たちによって尾ヒレ背ビレをつけ無責任な憶測の加わった噂が勢いよく広がっているらしいのだ。もしジェスティード王子が聞いたら怒り狂いそうな内容が多かったあたり、普段の不満が窺い知ることができそうだった。ジェスティード王子ってば、意外と恨みを買っていたようだ。


 1番わかりやすいのは、ルルとジェスティード王子の間にジュドーが横恋慕していたとかなんとか。まぁ、ジェスティード王子が婚約者を蔑ろにしてルルに夢中になっているのは周知の事実だし、そこに女好きだと囁かれているジュドーが割り込んできたとしても不思議ではないと思ったのだろう。そして私がそれに(二人の王子がルルを取り合っている構図に)嫉妬してハンカチを噛みながら地団駄を踏んでいるとか。ついでに悪役令嬢である私はみんなに「“加護無し”のくせに調子に乗るからだ。ざまぁみろ!」と笑われているようだと、エメリーが苦虫を噛み潰したような顔をして言った。


「あんな王子なんかに嫉妬なんてするはずありませんのに、まだお嬢様が王子にぞっこんだと思い込んでいる愚か者が多すぎます!早く婚約破棄を叩きつけてやりたいです!」


「まぁまぁ……」


 その他には、ジュドーが他の女子留学生集団を侍らせていてそこにルルを加えたがっている。だったかしら?女子生徒たちを制覇してすぐにルルを迎えに行った先が私たちと遭遇したあの場所だったとか。そう言えばあの時のジュドーは乱れた服装をしていたけれど……この噂はあながち嘘ではないのかもしれない。サイテーだ。とにかくサイテーだ。やっぱり女なら誰でもいいんだわ。私にも抱きついてきたものね。


 それから……実はジェスティード王子とジュドーにはそっちの趣味があって、地味なアルバートが二人から狙われていたとか。アルバートってば、他の噂では影も形も出てこないのに、この噂でだけは容姿について色々と囁かれているらしい。だが、誰もアルバートの見た目をハッキリ思い出せないのだとか。黒髪なんて目立つはずなのに、どうしてこんなに認識されていないのだろうか?エメリーも「髪色はわかるのですが、なぜか誰かに聞かれると急にお顔が思い出せなくなってしまって……」と首を傾げて呟いていた。


 あのアルバートのことだ、きっと何かしているのだろう。小さなフィレンツェアの、あの“隠された記憶”の中で見たアルバートの秘密。それは、彼が守護精霊以外の“精霊の力”を持っていると言うことだ。人間に複数の守護精霊がいたなんて聞いたことがない。つまりあの力はアルバート自身の力……。瞳の色といい、謎が多すぎない?小さなフィレンツェアは気にしていないみたいだけど。



 まぁ、それはともかく……つまりは婚約者の私が全く相手にされないのは《《そうゆうこと》》で、ルルに至ってはカモフラージュの為に連れ回しているだけらしい。ですって。これは私を隠れ蓑にしてルルに嫌がらせをしていたどこぞの令嬢たちが言っていたと。……そっちって、どっちだろう?



「その他にもみんな、ここぞとばかりに好き勝手に言っていましたよ。ご本人たちが一斉に休まれているし、先生方も口を閉ざしているので余計にございますね。お嬢様たちが連れて行かれた建物内では怪しい儀式をしていたとか、そこで王子殿下の守護精霊が暴れていたとか……。それから、お嬢様の悪口を言うと不幸になるって話も聞きましたよ。いつもお嬢様に陰口を言っていたあの令嬢たちはここ数日、どうも水難に遭っているそうなんです」


「え?す、水難?」


「はい!近くの噴水の水が突然その令嬢に向かって噴き出してきたり、足元がなぜか濡れていて滑って転けたり、飲水がいきなり凍って唇がグラスに張り付いて上唇が凍傷で腫れてしまったんだとか。でも周りには誰もいなくて、その令嬢たちが自分の守護精霊に聞いても目を逸らされたり知らんぷりされるんだそうですよ」


 エメリーは「もしかしたら、いつも誰かの悪口を言っている令嬢たちに付き合ってられないと思ったのかもしれません。精霊は気まぐれですからね!」と肩を竦めてみせた。



「それで皆さん、そのせいで今は上唇だけがパンパンに腫れて真っ赤なタラコのようになっていました。わたしは思わず笑いそうになっても必死に耐えましたが、他の生徒たちには笑われていましたよ。それで、それもこれも全部“加護無し”のせいだとのたまわっているようなんです。“加護無し”を無能だと言い回っていた同じ口で、その“加護無し”のせいで不幸になっているだなんて矛盾もいいところでございますよ!もちろん誰もそんなこと信じませんから周りからは全く共感も同情もされていませんでしたけどね!逆に“加護無し”なんかを怖がっているなんてとんだ臆病者だと、さらに笑い者になっていました!あの慌てふためく様子……ふっ……いい気味です!」


 そう言えば、そんな人たちもいたなぁ。と、ぼんやりとした記憶を探る。小さなフィレンツェアもその令嬢たちにはあまり興味がなかったようで、顔すらもよく思い出せないでいた。それって小さなフィレンツェアをイジメてた令嬢たちよね?居たのは覚えてるんだけどなぁ。うーん……まぁ、いいか。


 それにしても水難なんて災難だったわよね、お気の毒に……………………って。いや、待って。水が《《突然》》凍ったって言ったわよね?それって、もしかして────。


 すると、エメリーが「お嬢様、ご安心ください!」と軽く握った拳で自分の胸をぽんと叩いてみせた。私が急にぼんやりしだしたから令嬢たちによるイジメを思い出して落ち込んでいると思ったらしく元気付けようとわざと明るい声を出しているようだった。エメリーだって私の侍女だからってだけで陰湿な嫌がらせをされていただろうに、ずっと私の心配をしてくれているのだ。


「もちろん、そんな愚か者も含めてそのままになんかしておきませんよ、フィレンツェアお嬢様!この不肖エメリー、お嬢様の悪口を言った輩共の顔と名前を全て記憶してきております!ちゃんとリストを作って執事長様にお渡ししておきますので、なんならそいつらの家ごと圧をかけてひねり潰してやりましょう!粛清でございますよ!!旦那様……は、きっとまた気絶してしまいますから、奥様ならすぐに実行してくださると思います!」


 ちょっとハイになっているのか、エメリーの興奮状態がヤバい。栗色の瞳が爛々と輝いている。アオがいなくなったとわかった時もかなり落ち込んでいたし、元気になってくれたのは嬉しいのだけど性格変わってきてないかしら?


「エメリー……ありがとう。でも、今はそこまでしなくていいから少し落ち着いてね?それにほら、あんまり無理すると傷に響くかもしれないわ」


「とんでもないです、このくらいなんでもありませんよ!それに、フィレンツェアお嬢様のお役に立てられると思ったらなんたか怪我も治ってきた気がしますし!だってわたし、お嬢様を馬鹿にする奴らがどうしても許せないんですから!……でも。そうですね、お嬢様がそうおっしゃるのならわかりました。リストは作成するだけにしておきます……。あ、どうせならわたしの守護精霊にお願いして、奴らの弱みとか弱点とか恥ずかしい黒歴史なんかを調べ上げてレポートに纏めましょうか!護衛さんや使用人みんなの守護精霊の中には噂好きの精霊もいるはずですからきっとみんなも協力してくれると思います!ド派手な粛清がお気に召さないのなら、裏から手を回してジワジワと……」 



「あー……、とりあえず実行するのはやめてね。まぁ、調べるだけなら……それでエメリーの気が済むならお願いするわ。くれぐれも無理はしないでね」


「承知いたしました!!」


 こうしてエメリーはとても元気になった。泣かれてばかりよりはいいかもしれないが、やり過ぎないようにエメリーの守護精霊にお願いしておこう……。やっぱり目的があると人間は変わるんだなぁ。と思ったのが昨日の夕方のことである。








「……噂の事は別にいいとして、このままじゃいつまで経ってもルルから話が聞けないのが困ったわ」


 お母様たちにあまり心配はかけたくないが学園に行かないとルルと接触出来ないのだ。こうしている間にも時間ばかりが過ぎてしまい、アオを探す手がかりがひとつも見つからない。そんな状況に私はモヤモヤとしていた。アルバートも絶対に何か知っているようなのに全然教えてくれないし……。小さなフィレンツェアには優しいのに、私には意地悪じゃない?




 そう言えば。と、あの時の事を思い出す。



 ジェスティード王子の乱心ぶりに何があったのか聞いても、グラヴィスからは詳しい調書作りは後日にするからとだけ説明されて帰されてしまったが先生たちの顔には明らかに動揺の色が見えていた。アルバートがこっそりと簡単に説明してくれたが、ジェスティード王子が乱入してきた上にお互いの守護精霊を巻き込んでジュドーと一悶着あったのだと言っていたっけ。先生たちは口を噤んでいるようだがどこからか話が漏れてあんな噂に発展したのだろう。


 確かに違う国の王子同士が言い争いなんてしたら場合によっては笑えない事態になる可能性もあるかもしれない。教師からしたら悩ましい問題には違いないか。



 あれからジュドーとは話が出来るような状態ではなかったが、あの時ジュドーの守護精霊が小さく丸まって震えていたのをよく覚えている。ふたりの喧嘩に巻き込まれたとはいえ、余程怖いものでも見たのか……。


 ……そう言えば、ジェスティード王子の守護精霊はあの場に見かけなかったな。小さなフィレンツェアが「王子の守護精霊は心配性で過保護らしい」と聞いたことがあると、私に記憶を見せてくれた。


 確かライオンの姿をした守護精霊だったはずだ。ジェスティード王子との婚約が決まった時に一度だけ姿を見たことがあるが、“私”の事を妙に警戒していたのを小さなフィレンツェアがはっきりと覚えていた。やっぱり“加護無し”だから精霊にも嫌われているんだと、悲しくなったから忘れられないらしい。あの時の小さなフィレンツェアは、婚約者の守護精霊なら仲良くなれるかもって少しだけ期待していたのよね。でもその期待が見事に外れてしまったのだ。まぁ、実際はアオの気配が周りを威嚇していたから精霊たちに逃げられていたんだけどその時はそんなこと思いもしなかったから。



 私の中にある小さなフィレンツェアと共有している記憶の蓋が開き、その時の感情が流れてきたからか私も少し悲しくなった。



 えーと、名前は……パー……ナントカかんとかクロー?だったかしら?やたら長かったし、ジェスティード王子からちゃんと紹介されたたわけじゃなく呼ばれている名前を聞いただけだったからそこらへんは曖昧なのだ。私から聞ける雰囲気でもなかっし。ジェスティード王子は最初からあからさまに私を嫌っていたし、“加護無し”だと散々馬鹿にしていたから、自分の守護精霊の警戒した様子に紹介するに値しないとでも思ったのだろう。


 ただ、自分の守護精霊は鬣が美しい金色でかっこいいからすごいんだとか、めちゃくちゃ強くて賢くって、そんな守護精霊に選ばれた自分はもっとすごいのだとか、全く中身の無い自慢話だけはやたらしつこくされて「おっと、お前には守護精霊がいないからこんな事言ってもわからないよな」と鼻の穴を膨らませながら笑われたんだっけ。


 そして私に向かって、そんな自分が王様になるための踏み台なのだから有り難く従っていればいいとか……。所詮、“加護無し”の利用価値なんて爵位と金くらいしかないとか……。あー、嫌なことを思い出しちゃったわ。小さなフィレンツェアが動揺しちゃったせいで、どんどん記憶が流れてくるのを止められなくなってる。ジェスティード王子の自分語りをしている記憶なんていらないんだけど……でもこうなったら小さなフィレンツェアが落ち着くまで私には止められない。かなり馴染んだとはいえ、やっぱりまだ小さなフィレンツェアの方が私より強い証拠だ。


 小さなフィレンツェアも、せっかく色々と吹っ切れたはずなのにどうしても過去のトラウマが消えないみたいなのよね。


 ああ、それにしても……今更言っても仕方がないんだけど、小さなフィレンツェアはほんとになんであんなクソ王子なんかに縋り付いていたのかしら。たぶん、追い詰められて視野が狭くなっていたのよね。でも少し視点を変えられれば全然大丈夫だったのに。


 もう少し早くそれに気付いていれば、私が転生してこなくったって小さなフィレンツェアの人生は何か違っていたはずだと思うともどかしい気持ちでいっぱいになった。今から考えると、神様ってばフィレンツェアに恨みでもあったのかってくらい酷い設定である。


「ああ、もう!」


 雑念を追い払おうとブンブンと頭を振った。どうしても小さなフィレンツェアの気持ちに引っ張られてしまうせいで思考がめちゃくちゃになってしまう。


 とにかく、今はアオを見つけるのが先決なのだ。やっぱり家でジッとしていても何も解決しない。どうせ何もしなくても悪役令嬢だと罵られるなら、いっそルルの所へ乗り込んででも話を聞かないと先へ進めない気がした。


「よし、行こう!」


 思い立ったが吉日。神様が教えてくれた色々な言葉の中にそんなのがあったのを思い出した。決意したらすぐに行動のが結局1番良いのだとか。


 そう思って、部屋着を着替えようと服のボタンに手をかけた時。勢い良く部屋の扉がノックされた。


「どうしたの?」



「フィレンツェアお嬢様、大変でございます!」


「エメリーさんが……!」


 慌てたメイドたちの言葉に、一瞬エメリーがまた怪我をしたのかと嫌な考えがよぎった。メイドたちは余程慌てていたのか乱れた息を整えながら報告を始めた。



「れ、例の男爵令嬢が乗り込んできたんです!フィレンツェアお嬢様に会わせろって言ってきて、エメリーさんが追い返そうとしたんですが……」


「その、大切な話があるからって……フィレンツェアおしに伝えてくれたらすぐわかると言われ、エメリーさんは玄関先で男爵令嬢と睨み合いをしていますので代わりにわたしどもが伝言を預かってきました!」


「伝言?」


 するとふたりは大きく息を吸い、はっきりとこう言ったのである。





「「“青い精霊”がピンチみたいだよ。と」」






「それって、もしかしてアオ様のことでは……?!」


「なんでこの男爵令嬢がそんなことを知っているのかはわかりませんが、我々の守護精霊たちが総出で行方を探しても見つからなかったアオ様の手がかりになるんじゃないかと思って……!そうしたら、エメリーさんが早くお嬢様にお伝えするようにと……!」


「……!」


 私が急いで玄関先へ向かうと、確かにそこにはルルがいた。モップを持って仁王立ちしているエメリーとの間には火花が散っているかのようだ。


「エメリーちゃん、いつもに増して怒ってるね。こわーい」


「あなたが嫌いだからです。気安く名前を呼ばないでください」


「怪我してるの?治してあげようか?」


「結構です。それより知っている情報を全部白状なさい」


「クラスメイトなのに冷たーい。うふふ、どうしよっかなぁ~」


 あ、エメリーの額に青筋が……。もう、なにこのバッチバチ状態。ルルに至ってはわざとエメリーを煽っているようだけど、一体何がしたいのか。早く止めないと、エメリーの血管が切れちゃうわ。あ、お母様が離れた場所で様子を見てる!使用人たちみんなも遠巻きに見ていないで、誰か止めてよ!


「……ちょっと、ルルさん?!」


 私が慌ててふたりの間に入ろうとすると、エメリーが「お嬢様、危険ですからハンダーソンさんに近寄ってはいけません!」と私を庇うように前に出た。それを見てルルがピンク色の瞳を細めて笑っている。


 そうだ。ルルに感じる妙な違和感……それは、ルルのこの態度だ。


 まるで、“違いを確かめている”かのようなこの瞳の輝き。


 ルルの《《知っている》》何かと、違えば違う程に喜んでいるようなそんな違和感。答えのわからないそれを、楽しんでいるかのような余裕。そんな、不思議な違和感だ。


 そして私と目が合うと、ルルはご機嫌そうに手を振った。


「フィレンツェア様!あたしとお話、しーまーしょ♡今日はすっごいお土産も連れてきたんだよ♪」


「お、お土産って……あなた、何を考えて「うふふ♡まぁ、いいから見てよ」え」


 私の言葉を遮り、ルルが「ほら」と自分の隣を指差す。すると、何もなかったその場に金色の鬣を持つライオンが……精霊が姿を現したのだ。


「その精霊は……」


「じゃーん!なんとジェスティード様の守護精霊《《だった》》、パーフェクトファングクローちゃんでぇす!ね、すごいでしょ?」と、満面の笑みを見せたのだった。








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