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天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~  作者: 壱弐参
第六部

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第335話 ◆Bar派遣所……の裏

「お、おいらら(、、)……様子はどうだっ?」

「むぅ……こ、ここからじゃ全然わかりませんね……!」


 Bar派遣所の店外から、窓越しに店内を覗く怪しい二人。


「何とか人影らしきものは見えるんですけど……」

「二人か? 二人なのかっ!?」

「ふぎぎ……あ、ど、どうやら三人みたいですよ、四条(、、)さんっ!」


 そう、今や日本一のクランとなった【命謳】の盾職(シールダー)川奈(かわな)らら】と、同じく【命謳】の事務職(なんやかんや)四条(しじょう)(なつめ)】である。


「最初ららに言われた時はビックリしたけど、まさか二日連続で御剣と会ってるなんてな……」

「私だってビックリですよ。伊達さんと翔さんのお話を偶然聞いてなかったら、こんな状況に気付けませんでした……!」

「そ、それで、どんな様子なんだよ?」

「それがよくわからないんですよね……」

「よくわからないってどういう事だよっ?」

「だって、三人目の人……たぶん越田さんですよ?」

「越田ぁ? 【大いなる鐘】の代表の越田が何でこんなところにいるんだよ?」

「それがわかったら苦労しませんっ。あ、あぁ!? 奥に行っちゃいましたっ?!」


 二人は背伸びをしながら頬を突き合わせ、Bar派遣所の薄暗い窓を覗き込む。

 しかし、どうしても答えが出ない。

 そんな中、二人の背後の迫る影。


「むっ、誰ですかっ?」


 戦闘系の川奈がいち早くその存在に気付き、バッと後ろを向く。

 遅れて四条が振り返ると、そこには小さく両手を挙げ、敵意がない事をアピールする女――【(あかね)真紀(まき)】がそこにいた。


「あぁ? 茜じゃないか」

「【大いなる鐘】の第1班……【大聖女】さんですね……!」

「何なの、その敵意? せっかく見知った顔がいると思ったから挨拶でもしようと思ったのに」


 茜がそう言うと、四条と川奈は見合って構えを解く。


「ていうか、Bar派遣所に何の用よ? まだ二人には早いんじゃない?」


 くすりと笑いながら言うと、茜は二人の次の行動に度肝を抜かれた。

 川奈が自身の大盾で四条を掬い上げ(、、、、)、四条は四条で、高くなった目線から、茜の肩に手を回し、ぐいと引き寄せたのだ。


「よぉ茜、ちょっと面貸しな」

「……一瞬で思いついたの、その連携?」


 二人の身長では茜の肩には手が届かない。

 しかし、二人でかかれば届かぬ事はない。

 対伊達玖命に向けて、二人は異次元の連携を見せたのだった。


 ◇◆◇ Bar派遣所 ◆◇◆


 仏頂面で対面に座る茜。

 そして、その正面には【命謳】の二人。

 茜の前にはお洒落なノンアルコールカクテルが、四条、川奈の前にはコーヒーと紅茶が置かれている。


「それで、一体何の用よ? 私、棗ちゃんの言ってた訓練消化しなくちゃいけないんだけど?」


 茜の問いに、四条が答える。


「大丈夫だよ、休憩抜けば」

「言ってる事が十五歳とは思えないんだけど?」

「それより茜さん!」


 ずいと茜に肉薄する川奈。


「な、何よ……?」


 流石の茜も川奈の気迫に呑まれてしまう。


「あの奥には一体何があるんですかっ?」


 川奈が指差す先には、当然、玖命、御剣、越田が入った防音室。

 それを知らない茜はキョトンとした顔で返す。


「え? 防音室があったはずだけど?」

「防音室っ!?」


 川奈は甲高い声で両の頬をおさえる。


「ぼ、防音室で一体どんな事を……!?」

「いや、らら。そこは『どんな話を』だろ」

「いやだって、大の大人三人で防音室ですよっ?」

「普通に密談だろうよ。たぶん」

「ほら、四条さんだって、ちょっと気にしてるじゃないですかぁ!」


 そんな二人の会話を聞き、茜が聞く。


「何? 今、奥誰か使ってるの?」

「あぁ、今【命謳(ウチ)】の代表と【大いなる鐘(ソッチ)】の代表がな……」


 四条の言葉に、茜が思い出したように返す。


「今、三人って言ってたけど、もう一人は誰なの?」

「KWN堂の記者――御剣(みつるぎ)麻衣(まい)だよ」

「……ふーん、そういう事。どうせ【世界天才会議(WGC)】の話じゃないの?」

「そうだとしたらいいんですけど……」


 川奈が不安そうに言うと、茜は呆れながら言う。


「逆にどんな話ならよくないのよ?」


 そんな質問は想定していなかったようで、四条と川奈は顔を見合わせる。


高幸(たかゆき)までいるんでしょ? 仕事以外の話なんてないわよ。まぁ、その過程であの坊やに惚れちゃうって事はあるでしょうけど」

「それは、あっちゃ困るんです!」


 川奈が立ち上がり、


「お、おうともよ! 何たって私は伊達家の家族みたいなものだからな!」


 そんな二人の心配を茜はくすりと笑い、カクテルを一口呑んでから言った。


「ららちゃん、何が困るか明確に言わないと、ね?」

「ぐっ!?」

「棗ちゃん、家族を武器にすると後々困る事になるわよ?」

「ひぐっ!?」


 茜のストレートな言葉に、二人とも自身の胸をおさえ、押し黙ってしまう。


「ほんと、甘酸っぱい青春してるわね。ある意味、羨ましいわぁ~」


 頬杖を突き、二人を嬉しそうに見る茜に、四条が言う。


「そういうお前だってどうなんだよ? 越田との噂が絶えないじゃねーか!」

「噂は噂。私は私に引っかかるイイ男を摘まむだけ」

「お、お前……すげーな……」


 すると、今度は川奈が茜に聞く。


「それじゃあ、越田さんが茜さんに引っかかったらどうするんですか?」


 瞬間、時が止まり、茜の目が丸くなった。


「らら……お前、凄い事聞くな……?」


 四条はあんぐりと口を開け、同じくあんぐりと口を開けている茜の回復、そしてその答えを待った。

 そして、数秒の後、茜の再起動が終わる。


「…………それは……考えた事がなかったわね」


 そう言った後、茜は乾いた唇をカクテルで濡らすのだった。

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