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天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~  作者: 壱弐参
第六部

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第333話 Bar派遣所2

「いやいや、四条殿がよく働いてくれてね。私の仕事が格段に楽になったよ」

「いえ、こちらこそ。水谷さんの錬度も日に日に上がっていってますよ」

「それは素晴らしい。さて――」


 越田さんはそう言うと、バーのマスターに小さく手を挙げ、店の奥を指さした。

 まるで何かの確認を取っているようだ。


何分(なにぶん)、込み入った話になりそうだからね。奥にある個室を使わせてもらおう」

「はい、助かります」


 俺はすっと立ち上がり、未だ(ほう)けている御剣さんに声を掛けた。


「御剣さん、行きますよ」

「こ、【越田(こしだ)高幸(たかゆき)】……さん」

「はい、越田ですよ、御剣殿……くくくく」


 越田さんは笑いながら奥へ先導してくれた。


「わ、わ……っ!」


 御剣さんは慌てて荷物をまとめ、俺たちの後についてきた。

 奥へ進むと驚いた……防音室?


「凄い、防音扉じゃないですか」

「ここのバーには出資をしていてね。いざという時の簡易事務所として使わせてもらっているんだよ」

「な、なるほど……」


 確かに、新宿で天才が内緒話出来るような場所は多くない。

 こういった細かな手配が、越田さんの恐ろしいところでもある。

 重たい防音扉を開けて中へ入ると、そこは先日訪れたKWN(カウン)の会議室のようだった。

 十人は座れるであろうテーブルと椅子。予備の椅子もあり、プロジェクターに電気ポット。(みこと)が見たら卒倒しそうな茶葉やコーヒーの数々。

 うーん、【命謳(ウチ)】もこういう簡易事務所があった方がいいのだろうか。

 前に川奈さんが伊達家の事をサテライトオフィスと言ってたが、皆が簡易的に集まれる場を用意するのも、代表としての務めだろう。

 今度四条さんにでも相談してみようか。


「そ、それにしても【大いなる鐘】代表の越田さんまでいらっしゃるなんて、一体どういう事です?」


 御剣さんの疑問は当然だ。

 だからこそ、こういった密室空間(ばしょ)を用意せざるを得なかった。

 越田さんに誘導され、俺と御剣さんは椅子に腰を下ろす。

 それを見守った後、越田さんも腰を下ろし、この場に越田さんがいる経緯を説明したのだ。


「伊達殿に相談されてね。大企業との立ち回り、そして対立について」

「対立……ですか」


 御剣さんが心配そうに俺を見る。

 それに気づいたのか、越田さんは真面目な様子で語った。


「御剣殿の心配ご(もっと)も。相手が七海だけならば私も伊達殿もここまで警戒しないのですよ」


 すると、御剣さんはバッと俺を見て聞いた。


「そ、それってどういう事ですか?」


 御剣さんは……今回の件に深く関わってしまうであろう御剣さんにだけは、この説明が必要だろう。

 そう思い、俺は越田さんにアイコンタクトを送った。

 越田さんは一つこくりと頷き、俺はそれを合図として御剣さんに言った。


「七海建設の裏にはアノ国の存在がある。そういえば、御剣さんにも理解して頂けるかと」


 簡潔にそう言うと、御剣さんは漏れ出そうな声を抑えるためか、口元に手を持っていく。

 天才相手でも言葉を選ぶ内容だ。記者とはいえ、一般人の御剣さんにはかなりヘビーな内容である。


「……パラティア……共和国」


 御剣さんから漏れ出た言葉に、越田さんが笑う。


「クククク……KWNの記者でさえ記事にする事が叶わないパラティア共和国。水面下で動いていたようですが、ここにきて飛沫(しぶき)をあげ、存在をちらつかせますか……」

「実は、昨日御剣さんを送った後、翔から連絡が入りまして」

鳴神(なるがみ)さんから……?」


 御剣さんが小首を傾げる。


「『七海建設を調べてたら、そちらの方に出会った』と」


 俺が視線を向けた先、そこには【元帥】越田高幸の姿があった。


「……っ! 七海君を調べていたのは、鳴神翔だけではなかった……と?」


 そう、これは俺も驚いた事なのだが、翔以外にも七海を調べていた者がいたのだ。

 それが、越田さんだったという話なのだが、話はそれだけで終わりではないのだ。


「実際に……」


 越田さんが眼鏡をくいと上げ言う。


「私が調べていたのは七海建設の方。荒神さんからの依頼でね」


 言いながら肩を(すく)める越田さん。

 しかしそこまで言うとは。ならばこちらも情報を出さざるを得ない。


「翔は川奈氏からの依頼だと」

「あの二人は似たようなところがあるからね。まぁ、こういった状況だったので、昨日の内に伊達殿に連絡を入れたんですよ。早急に会いたい、と」


 越田さんの説明を聞き、御剣さんがこちらを見る。


「そういった事情もありまして、御剣さん同席でもよければと、俺が呼びました」

「もう一人来るとは聞いてましたけど、まさか越田さんだったとは……」


 小さく息を吐く御剣さん。

 その落ち着きを見て、越田さんが言う。


「さ、三人がここにいる理由がわかったところで、今後のお話をしようじゃありませんか」


 微笑む越田さんの顔が……どこか怖いのは気のせいだろうか。


「これまで日本は、モンスターや(ポータル)からの危機はあったものの、政治的干渉……他国からの天才の干渉はありませんでした」


 越田さんがそこまで話したところで、空気が変わる。


「しかし――」


 ピリつく空気。

 ……こんな越田さんは珍しい。


「まさかこの日本に異物を入れる愚か者がいるとはね……!」


 それは、これまで日本の盾として生きてきた、越田さんの大きな怒りだった。

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