表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~  作者: 壱弐参
第六部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

328/365

第323話 ◆伊達玖命の上申1

 KWN株式会社の社長【川奈(かわな)宗頼(むねより)】との電話を終えた玖命(きゅうめい)が、伊達家の階段を駆け下りる。

 リビングでは、妹の伊達(だて)(みこと)、父親の伊達(だて)一心(いっしん)がお茶を呑んでいた。

 2人は階段を駆け下りて来た玖命を見て、首を傾げる。


「どうした、玖命?」

「珍しく慌てて……どうしたの、お兄ちゃん?」


 2人の質問に、玖命は口籠った。

 何かを話そうとしているのだが、口から出てこない。

 そんな玖命の異常事態に(みこと)と一心は顔を見合わせる。


「これは――」

「――玖命にとっての……アレだな」


 2人はすぐにそれを察知し、行動に移した。

 (みこと)は玖命のためにお茶を()れ始め、一心は玖命のために椅子を引いてそこに座らせた。

 リビングの端にいた四条棗が、ポカンと口を空けながら、その光景を覗くように見ていた。


(また伊達家が何かやってる……)


 それ以上でもそれ以下でもない伊達家特有の動き。

 家族の異常に敏感な伊達家に、四条は感心しながらも若干引く。


「それじゃあ玖命。私に話してみなさい。30分くらい前から、正確に」


 一心(いっしん)が玖命に聞く。


「えと……それは難しいというか……」

「なるほど、それじゃあ今、玖命はどんな問題に直面しているんだ?」


 一心(いっしん)の質問に、玖命は悩みながらも答える。


「…………女性関係?」


 首を傾げながらもそう言った玖命に、一心(いっしん)は目を丸くし、口を開け……しばらくした後ニヤリと笑う。

 反対に、(みこと)はニコニコと玖命の話を聞いていたかと思えば、閉口(へいこう)し、真顔になった。

 それを見守っていた四条は、ピクリと反応し、目よりも耳を傾け、2m程伊達家に近寄った。


「はははは、玖命もついにそんな年齢になったか。ま、ちょっと遅いくらいだしな!」


 隣に座っている一心(いっしん)が嬉しそうにバシバシと玖命の背中を叩く。


「お兄ちゃん、私の審査はちょっと厳しいからね。まず、騙されてないわよね?」


 正面に座った(みこと)が、じっと玖命を見据えながら言う。


「あ、うん……それは大丈夫……かな?」


 歯切れの悪い玖命の言葉に、一心(いっしん)が言う。


「何だ、玖命にしては返事が曖昧だな?」

「お兄ちゃん、相手は誰? 私の知ってる人?」


 (みこと)の質問には、意図があった。

 (みこと)が知っているという事であれば、それは大きな判断材料となるからだ。

 しかし、(みこと)の知らない人間であれば、玖命が紹介していない以上、判断基準が難しい。

 四条は髪の毛を整えながら大きく深呼吸している。

 だが、玖命から返ってきた答えは、更に(みこと)を混乱させた。


「多分知ってる人。今、結構有名だから」


 前置きとして「多分」と付けたという事実。

 それが(みこと)、四条を大きく混乱させたのだ。

 そして、四条は大きく溜め息を吐き、項垂(うなだ)れる。

 しかし、その耳は玖命の口との最短距離を選んでいる事にはかわりなかった。

 そんな中、父親である一心(いっしん)が一番冷静だった。


(「多分」という事は……四条さんはない。何たって、もうほとんど家族レベルだし。可哀想に。だとしたら川奈さんも無しか。頻繁に我が家に出入りするし、何たってクランの一員だ。同じ理由で月見里(やまなし)さんもない。付き合いこそ短いが、|クラン事務所(オフィス)にしょっちゅう出入りしているみことが知らないはずがないからな。ふむ、だとしたら……誰だ? 水谷さん? いや、益々ありえない。(みこと)は水谷さんの大ファンだ。「多分」なんて言葉は必要ない。それに、私に【王塊(おうかい)】と【幻叡(げんえい)】をくださった伊達家の恩人というべき人だ。違う。やはり天才になった初期から玖命を一番に支えてくれていた相田さん? うーむ……やはり「多分」という言葉が確定(ソレ)を邪魔する。なら……やっぱり(みこと)が会った事のない人。それでいて玖命が知っている女性、となれば……もしかして、【大いなる鐘】の(あかね)真紀(まき)さんだろうか? あれか? やはり大人の魅力にやられてしまったのか? まぁ、あの衣装は反則みたいなもんだ。ほぼ裸みたいなものだし。全国の親御さんからクレームがくるって噂だし……え? あ、あの茜さんと玖命がくっつくとなれば、もしかして伊達家(ウチ)にもそんなクレームが届くの? 何だそれ、怖い。何て答えればいいんだ? 「クールビズ」とか言って乗り切れるか? いやいや、無理。無理だ。(みこと)には出来ても私は……くっ!)


 顔を歪める一心(いっしん)を前に、ようやく(みこと)が冷静さを取り戻す。


「『多分』って事は、私が会った事ない人だよね? それって誰?」


 (みこと)は、考えるよりも行動を選択した。

 それが最善、最速だと判断したからである。

 (みこと)の質問に、一心(いっしん)が難しい顔をし、四条は真剣な表情で耳を澄ました。


「……御剣(みつるぎ)麻衣(まい)さん」


 重々しい玖命の言葉に、皆が目を丸くする。

 そして、やはり最初に動いたのは一心(いっしん)だった。

 パチンと自身の額を叩き、「そっちかぁ~~……」と呟く一心(いっしん)の前で、(みこと)があんぐりと口を開ける。


(え、ちょっと待って。何で? だって、接点があったとしても月刊Newbie10月号の取材の時と、今日の12月号の件。それに、間接的にだけど【天武会】の時……くらいよね? それ以外に会ってた? ううん、お兄ちゃんが、私にそれを黙ってるはずがない。やっぱり2回? 2回しか会ってないよね? 何、2回って? 伊達家で2回って言ったら買い物金額のダブルチェック……! もやし1袋、きゅうり1本の値段さえ2度見しなさいって教えて来たけど、2回よ!?)


 そう思いながら、(みこと)は2回、(かぶり)を振るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓カクヨムにて先行掲載中↓
『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』
【天才×秀才】全ての天才を呑み込む、秀才の歩み。
↓なろうにて連載中です↓


『善良なる隣人 ~魔王よ、勇者よ、これが獣だ~』
獣の本当の強さを、我々はまだ知らない。

『半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~』
おっさんは、魔王と同じ能力【血鎖の転換】を得て吸血鬼に転生した!
ねじ曲がって一周しちゃうくらい性格が歪んだおっさんの成り上がり!

『使い魔は使い魔使い(完結済)』
召喚士の主人公が召喚した使い魔は召喚士だった!? 熱い現代ファンタジーならこれ!

↓第1~2巻が発売中です↓
『がけっぷち冒険者の魔王体験』
冴えない冒険者と、マントの姿となってしまった魔王の、地獄のブートキャンプ。
がけっぷち冒険者が半ば強制的に強くなっていくさまを是非見てください。

↓原作小説第1~14巻(完結)・コミック1~9巻が発売中です↓
『悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ』
神薬【悠久の雫】を飲んで不老となったアズリーとポチのドタバタコメディ!

↓原作小説第1~3巻が発売中です↓
『転生したら孤児になった!魔物に育てられた魔物使い(剣士)』
壱弐参の処女作! 書籍化不可能と言われた問題作が、書籍化しちゃったコメディ冒険譚!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ