偽の姉
(死んだのだろうか?)
どれくらい時間が経ったのであろうか。
目が覚めた。
ベッドの上だった。
視野には異様な光景が広がっていた。白を基調とした清潔な天井、この部屋には、勉強机が2つあり、部屋の壁には大きなテレビが備え付けられていて、誰かの家に放り込まれたようであった。
(......ここは、どこだ。)
自分の身体を見下ろす。真っ白な肌で、体毛がほとんど生えていなかった。華奢な身体で、胸元は、膨らみがあった。
「えっ......!?」
自分の身体を見て驚きのあまり、反射的に声が漏れてしまった。
そこから響いたのは、低く野太い声ではなく、透き通った高い声であった。
幸は、女の子になってしまったのだ。
頭が追いつかない。
(なんだこれ?)
(生まれ変わったのか?でも、赤ん坊じゃないし......じゃあ、入れ替わりじゃないのか......いや待てよ、普通、生きている者同士で、入れ替わるんじゃないのか?じゃあここはどこだ?天国か?地獄か?それとも?)
考えれば、考えるほど、今の状況が分からなくなった。
今の状況を沈思黙考している矢先、どこからか声が聞こえた。
「ねぇ~さん、早く起きてよ!てか起きてる?......起きてる?」
(僕が姉なのか?そして妹がいるのか。名前はなんて言うんだろうか?ほかに家族はいるんだろうか?)
妹の問いかけには返事をしなかったので、妹が、ドスドスと階段を上がってくるような音が聞こえた。
「ねぇ~さん、返事してよー!まだ寝ているの?ドア開けるよ。」
ガチャっとドアを開けると、ベッドの上で、考え事をしている姉が妹の目に入った。
「ねぇ~さん何しているの?おーい。」
他人の言葉に頭が真っ白になった。目の前の少女は、「ねぇ~さん」と呼んでいるが、実際はのすべて奪われた幸海斗だ。
「あ、えっと、お、おはよう妹よ!」
妹に言葉にどう返答すれば良いか、動揺した姉はぎこちない返答をした。
「妹よ?いつも真央ちゃんって言っているのに?どっか頭でも打った?」
妹は怪訝そうな顔をした。
(妹は真央という名前なのか。自分は名前もわからない。家の事も、この少女の日常も。この状況を知り尽くすためには、まずこの部屋から徹底的に調べ尽くさないといけない。だから一旦、目の前の少女を何とかしないと!)
「ごめん。なんかすごく熱っぽくってさ。頭がクラクラするの。あのさ、悪いんだけど、頭痛薬と冷えピタを薬局で買ってきてもらえないかな?」
「あそうなのね。だからいつもと様子が少し変なのね!任せろ!」
「頼みます.......今日他に家に誰かいる?」
「は?何言ってんの?母はもう出勤したし、父はもうこの世にはいない。大丈夫?ねぇ~さん?寝ぼけすぎじゃないか。」
「そうだったね、とりあえず行ってきて。」
「うん。行ってくる。」
と言うと、部屋をすぐさま抜け出し、階下へと向かう軽やかなな足音が遠さがっていく。
数分経った頃、玄関が閉まる乾いた音が響いた。
静寂が戻った瞬間、意味不明な状況を抜け出し、さらに、男であるはずの自分が、女の身体、別の肉体になっていて、安堵の気持ちで、ため息を吐きながら、興奮もしていた。そして気色悪さも実感した。
(この家はもともとは4人いたが、父は他界したため、今は3人で住んでいる。そして姉妹、自分はどうやら姉っぽい。)
まずは、この部屋から調べよう。今何が起こっているのか。自分が何者なのか。それを知らなければ、何も始まらない。」
早速周辺を調べ始めた。




