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帝国に裏切られた最強魔導士は、異界の銃で反逆する  作者: Wahrheit2026


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第67話 ランスブルク中佐の危険な説得 

お読みいただきありがとうございます。


よろしければブックマーク、評価、ポイントをよろしくお願いいたします。

エレーナはウィラードの横の席に着いた。


魔女帽子は脱いでいるが、そのローブ、服装は完全にカーツ共和国魔導士の物だ。

カーツの第一級魔導士の記章がランプの明かりに照らされて胸に光り輝いている。

「目をつむって」

エレーナは着席するや否やいきなりエリカにそう言った。


「えっ!?」


「おかしなことはしないわ。お願い」


ウィラードにあのエルフの魔導士もいる。

それにエレーナ中佐は私が全力でもまず勝てる相手じゃない。

従うしかないか……。

私は黙って目をつむった。


するとエレーナはエリカの額に向かって手のひらを向けて小型の魔法陣を展開し、何かを

調べる。

魔法陣は展開時の音がしない特殊な探知魔法のようだ。




コーヒーを一口飲んで机の上のカップに置くウィラード。


物音一つしない静寂が部屋を一瞬支配した。




「やはり……、素晴らしい、素晴らしいわエリカ!伝説は嘘ではなかったのね!」


「どういうことですか?」


「あなたには失われたラグナロク鋼を完全に精製できる力がある。あなたの曽祖父のように。」


「でも、私は一時的にわずかなコーティングくらいはできますが、曽祖父のようなことはできません。まして曽祖父の精製したラグナロク鋼についてはわが家にもほぼ情報がなくて……」


「ウィラード大尉、いいかしら?」


エレーナはウィラードに目配せした。


ウィラードは黙ってうなずいた。


「エリカ、あなたの祖先様が発見し創造したラグナロク鋼とは真実を明らかにする力を持つ鋼材。伝説の武具などに使われているラグナロク鋼ともさらに一線を画する性質のもの」


「真実を明らかにする!?それはどういうことなのですか?」


「残念だけど、今ははっきりと答えられないわ」

エレーナはしかしエリカの質問に正面からは回答しない。


「今回の戦争は帝国は国内の腐敗のはけ口に限界が見えてきたことと、強欲なレンゲンカンプと大神官一味がさらに黒い利権を求めて始めたのよ。帝国ではカーツの侵略って煽ってるけどね。あの忌々しいレンゲンカンプと大神官どもめ!!!!」


“エレーナ中佐ってこんな感情的な人だったかな……。もっと論理的で冷静な人だったと思ったけど……。カーツの連中に洗脳か何かされたのか……?”


「しかし、大魔……、いえ、ランスブルク魔導中佐。私は帝国の魔導士として誇りを感じて今日まで生きてきました。けれど理不尽に裏切られて、けれど私は共和国に寝返れと言われても……」


きつく言ってしまった。

けれど私も不当に陥れられただけでまだ心は帝国の魔導士だ。


エレーナ中佐は目の前に置かれたカップを手に取って口に運んだ。


私やウィラードとは違い、紅茶のようだ……。


カップを口から離し、飲んだ後、しばらく中佐は手にカップを持ったまま私の明後日の咆哮を見ていた。


「……」


ウィラードが懐からメモ帳を取り出した。

万年筆のキャップを開ける音が私の耳に聞こえた。


カップをお皿に置いた音が私の耳にいつもより響いた。

「エリカ、よく聞いて。これは帝国を“正しい”方向へ導く戦いなのよ。それを導ける力が必要なの。あなたのラグナロク鋼の力は帝国を変えるために“使える“。協力してエリカ!」


“変えるために”使える“!?何を言っているの……!?中佐は誰のことを指して言っているの……!?”


「……そのためには手段は選ばない……」


「えっ!?」

“何、今の体が震える感じは……!?”

“中佐は戦争でもあくまでルールにのっとることを絶対にしていた方……”

“私を導いてくれた方……。けど……?”


「ああっ、なんでもないわ。とにかく、この戦争は帝国を正常化するための“正しい”戦争なのよ。“正しい”見識を持つ“者”がいればあの国は変えることができるのよ、エリカ!」


「ですが、レンゲンカンプが悪いのは分かります。けれど私の親友のマリエッタ・ブルーメントリット魔導中尉などの良識を持って人もいます!帝国を裏切ってまで改革を、というあなたの意図が分かりません!」


「……まだあなたは真実を知らないのね……。どこかできれいごとを信じて……。私の見えている未来も……」

エレーナ中佐は低く、しかしはっきりした口調で私に迫る。


「どういうことですか……!?」

“中佐の魔法周波数が昔と違う……。中佐の魔力周波数ってこんな”ゆらぎ“のある人だったっけ……?”


膝が妙な震え方をし始める。

なぜか両手を胸の前に回して自分を抱きしめるような恰好を私はしていた。

背筋が凍るような感じがして本当に震えてくる気がした……。


それをウィラードは黙って見ている。


“この人は昔のように私を導いてくれる人なのか……、それとも……”

わずかに残された魔力周波数探知能力は何かの警告を私に伝えているように感じた。



その時。




パンパンパンッッッ!




ウィラードが突然拍手をした。

「見事なランスブルク中佐殿の演説だった。だが、これはプロパガンダではないぞエリカ君。君が帝国で教えられてきたことはフェイクの塊だったということなのさ」


「お前たち、エレーナ中佐に何をした!」


「まだ信用できないか……。さすが君も第一級魔導士。では我々は最後の譲歩をしようじゃないか」


「譲歩……!?なんのこと?」


「エルミア、きたまえ」



「は~い♬私の出番です~♬」


奥の部屋のドアが開き、再びエルミアが入ってきた。


エリカの横にいつの間にか用意されていた背もたれのない補助席に座った。

丁度エリカを真横から見る。


相変わらずニコーっとした屈託のない笑顔。


私は彼女の方を横を向いて見た。


目線があった。


すぐに前のウィラードの方へ向きなおす。


エルミアの目は笑っているようで何かを意図しているような気がしたが……。


エリカが目線を外した直後、エルミアは一瞬エリカを入れ違いに凝視した。


「これはエレーヌ魔導中佐殿のお話に合ったエリカさんのラグナロク鋼の素質のことなんですけど~、開花させる可能性が一つだけあるんです」


「えっ、どうやって!?」

私は思わず大声を上げてしまった。

「開花って言っても……、私は大神官どもに魔法を封じられて……、今はごくわずかな基礎未満とラグナロク鋼のわずかなコーティングができるだけ……」



今度はエルミアがウィラードに目配せをした。

ウィラードは黙ってうなずく。



「実はラグナロク鋼精製の素質を開花させられれば、あなたに掛けられた大神官どもの汚い呪詛を解呪できるかもしれないんです♬」




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