第3話 狩猟で試す
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私は隠れ家の近くで“銃”の一つを試しに使うことにした。
使い方は物語の内容と、おそらくマニュアルと考えられるものを参照にする。
“銃”と一緒に出現した金属の箱の中にはおそらくそこから発射される矢のような小さな金属がたくさん入っていた。
大きく分けて2つある。
全体が細長くて先がとがっているものと、それより小さくて先が丸いもの。
私はそれを手に取り、教本のような本に書いてある通りにじゅうと呼ばれるものを一つ手に取った。
翻訳魔法は何とか使えるが、しかし以前よりはるかに魔法力の消耗が激しく、こんな簡単な魔法でも疲れがとても速い。
私は何とかまずは使い方が比較的簡単そうな奴の箇所だけを集中的に翻訳して読んだ。
脳内で文章が自動的に理解できる形になっていく。
その内容から推測するに、私が今手に取っているのは“ぼるとあくしょんらいふる”という名であることが分かった。
“こうかん”と呼ばれる手前のレバーを上に挙げて、それを手前に引いた。
“やくしつ”または“ちゅんばー”と呼ばれる空洞の中にさきほどの金属製のものを詰め込むらしい。
私はやってみた。
けれど入らない。
押し込んでも入らない!
しばらく考えて金属のものを観察する。
見ていくうちに金属のものにも多数の種類があることが分かった。
“らいふる”とよばれる金属と木でできたそれ自体にも何かの文字が刻み込まれている。
もう一度翻訳魔法を行使するが、魔法力切れでばててしまった。
1時間休憩した。
何種類か押し込んでみて、それに入るものがあった。
その金属の入っていた箱には7.92mm×57と書かれてあった。
それを持って隠れ家を出る。
周囲に人の気配はなく、モンスターの気配もない。
マリエッタが強力な結界を張ってくれていることが魔力が大幅に弱体化した私でも分かる。
これが異世界の武器ならば動物を仕留めることができるはずだ。
“銃”と同時に召喚された書物の主人公も“これら”を使って動物を仕留める描写が多く書かれてあった。
マリエッタの実家である帝国貴族ブルーメントリット家の私領にして狩場であるこのあたりには鹿、猪、野生の馬、ウサギ、ライチョウなどが多く生息している。
私も幼少の時にマリエッタに弓で狩猟を体験させてもらったため、やり方はなんとなくわかる。
隠れ家を出て目立たぬように森の中を歩く。
近くには険しい岩山がそびえたち、こちらを圧倒する。
そうこうしているうちに藪の中から何かの音が聞こえた。
しばらく身を隠していると、大きな猪が現れた。
仕留めれば食卓にも花が咲くだろう。
しかし、万全の攻撃魔法が使えた時や、強力な弓がある時とは違い、凶暴な猪に果たしてこの異世界の武器は通用するのか?
私はしかし、その“らいふる”と呼ばれるものをなぜか理由もなく信じていた。
間違いなくこれは敵を倒せるものだと。
私は鼻を地面につけて餌を探している巨大猪の頭に“それ”を使ってみることにした。
猪との距離は約20メートル。
教本と思しき書物の記述と絵の通り、“すとっく”と呼ばれる肩に当てる部位を肩に当てる。
“りあさいと”とよばれる部品と“ふろんとさいと”と呼ばれる部品を重ねて、その延長線上に標的を収める。
“こうかん”もしくは“ぼると”という部品を操作して手前に引く。
開いた穴の部分に金属製の細長い矢のようなものを5つ押し込んで詰める。
“ぼると“を元に戻す。
こうすることで“ちゅんばー”と呼ばれる箱の部分に金属製の尖った矢のようなものが送り込まれてどうも矢のように発射が可能らしい。
半信半疑だが本の通りにする。
そして、異形の物語に書かれてあったこの武器の使い方の通りに目標を狙う。
目標との風はない。
攻撃魔法と弓を使っていた時の直感を頼りに私は握りしめたグリップの前についている“とりがー”と呼ばれるレバーを“絞った“。
ターンーッッッ!!!!!
「ぐっっ!!」
肩に来る味わったことのない衝撃。
周囲に響き渡る乾いた鋭い轟音。
“異世界“からの武器の反動は、衝撃で鎖骨が折れたのではないかとさえ思うほどだった。
猪は頭を撃ち抜かれて派手に土煙をたてて倒れた。
後ろ足が死にいたるまでの痙攣をしている。
破壊力は想像以上だった。
立ち上がって猪に駆け寄る。
猪の目から生命の光は消えていくところだった。
だがそれを見て私は衝撃を受けるとともに残念な感じがした。
たしかに威力はずば抜けている。
剣や槍、弓や弩より異次元の力を持つ強力な武器だ。
戦場に登場すれば革命的な衝撃をもたらすのは容易に想像がつく。
だが、通常の兵士やモンスター、共和国の魔導士のそれなら容易に貫通して殺傷できるだろうが、私が属していた帝国軍第一級魔導士レベル練度を持つ魔法使いの防御魔法の前にはおそらく無力だろう。
我が帝国軍の魔導士の防御魔法の前にはまず太刀打ちできない。
現在はく奪されているとはいえ元第一級魔導士であった私はすぐに分かった。
これだけの破壊力をもってしても帝国軍第一級魔導士の防御を貫通できないと。
そんな彼女を遠目に見ている異形の影があった。
「うっしっしっ♬こりゃあ遠征してきたかいがあったぞ~♬」
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