第26話 煙に巻く
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「聞いてんのか魔女っ子―!!」
けたたましい叫び声に周囲の
客は一斉に視線をエリカと隣の在野魔法使いへと向けた。
だが、酒場でのいさかいに慣れきっているといった感じでまた自分たちの騒ぎの空気へと戻っていった。
「なんでしょうか?」
「さっきから私のことを無視しやがって!喧嘩売ってんのかよ小娘!」
「小娘って、あなたこそ何者ですか?」
「フフン!私の名は。元ルスベルグ共和国第一級魔導士さ!」
「元?」
「まっ、色々あって退役して、今はフリーランスの魔導士をしてるってわけ!」
「そうですか」
私は食事を終えて炭酸水にレモンを入れた飲み物を一気飲みし、バーテンに勘定を渡して宿へと向かう。
ああいうのとは関わりたくないのでギルドの付属宿には泊まらない。
「ちょっとおお♬白けた態度するなってば」
私は外へ出るなり、マリエッタがくれた小型魔法箱に手を突っ込んであるものを取り出し、追いかけてくる在野に投げつけた。
バンッッ!!
「うげっ!!」
それは煙幕だった。
「~けっ!!金ズルになると思ったのによ!また別のひもをみつけなきゃ~」
その隙に私は姿を消す。
遠くからあの女の声が聞こえるが無視する。
マリエッタがよく昔いたずら目的で作ってくれたこれは結構こういう時に役に立つ。
ルスベルグ共和国は共和国群でも中級国だけど魔法では後進国。
そこの元第一級魔導士といったところでたかが知れてる。
おまけにルスベルグは予算不足のせいで魔導士育成に掛ける金も少なくて、人材も枯渇している傾向が強い上に質も悪いと聞く。
帝国にいた時もルスベルグの魔導士と対峙した時にロクなのがいたためしがない。
奴ら逃げ回ってばっかりだったし。
そうこうしているうちに小さな宿へと着いた。
こじんまりとして雰囲気がいいその宿で受付の女主人に宿代を払い、部屋へと案内してもらう。
部屋の中で私はベッドに座るとマリエッタがくれたものを改めて確認した。
へんげの石と言い、魔法力の増加石といい、そうそう簡単に手に入るものではない貴重なアイテムばかり。
ベッドの横には革ケースに入れた異世界からの武器・銃が置かれた。
今日は幸い使うことはなかったが、腰に差したケースから“CZ75”と呼ばれる黒くてやや重い手のひらを少し大きくしたような銃も取り出す。
長い“モーゼルKar98k”とは違う小さくて先端が丸い金属の矢を発射するらしい。
まだ本で調べたことしか知らないが、一度山の中で試し撃ちしたいと思う。
そのあとは明日の買い出しの事だけを考えてすぐに寝た。
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