12.ヴェルゼ視点*ルピナスの心
帰る途中、エアリーに花を見つけたと念で伝えた。花の小屋に戻るとエアリーが妖精の花に混ぜる粉を準備して、小屋の入口で待っていた。
「ヴェルゼ様、ルピナス様、おかえりなさいませ」
花の小屋に入るとくしゃみが出てきた。
「ヴェルゼ様、完成しましたらすぐにお渡ししますので、ここから離れていた方がよいと思われます」
「いや、大丈夫だ」
「……離れていてください」
エアリーの後に続き、ルピナスが強めにそう言ってきた。
「わ、分かった」
ルピナスには逆らえない。
逆らいたくない。
嫌われたくない。
我は離れて待つことにした。
悪魔は耳がいい。もちろん我もだ。ふたりの会話も聞こえてくる。薬の話をしているルピナスとエアリー。その後、気になる話をしだした。
「森の中でのヴェルゼ様、如何でしたか?」
「……優しくて、獣からも守ってくださいました」
「そうでしたか……実はヴェルゼ様は三界の全ての者たちに冷たいと言われておりますが、本来はそうではない気がするのです」
「私も、実は思いました」
「ヴェルゼ様は魔界では一番力があり、魔界の頂点にいらっしゃる方でしたが、それ故に裏切りにも何回もあい、そういうのも含め、あんな風になってしまったのかと」
「……」
「けれどもルピナス様のお陰で、ヴェルゼ様の優しさも見られるようになりました」
「私のお陰ですか?」
「はい。以前ヴェルゼ様も説明されていましたが、ヴェルゼ様はルピナス様のために禁を犯しました。天界、魔界、そして人界の三界では、時間を操作することは固く禁じられていました。ヴェルゼ様は魔界でお亡くなりになったルピナス様に、もう一度会いたいがために時間を操作し、三界を統べる神の罰を受け、権力も魔力も全て失い人間界に堕ちたのです。そして堕ちた時にルピナス様に偶然助けられ……」
「私のために全てを捨てて……さっきあの方の過去を観た時は勢いであんな酷いことを言ってしまいましたが、実は優しいヴェルゼ様と過ごしていると、幸せになれるのかなとも思っております」
なんと、ルピナスがそう思っていてくれているとは――。
「そうなのです。実はわたくしは、元々この白い見た目をしていますから、悪魔の中では劣性だと馬鹿にされていたのです。しかしヴェルゼ様が私を拾ってくださり、そのお陰で優秀な執事として周りから認められるようになりました。なのでわたくしも幸せを感じ、ヴェルゼ様に一生お仕えしたく、一生一緒に……」
ルピナスの話をもっと聞きたかったのだが。エアリーはいつも口数が多い。
「おい、出来たのか?」
ふたりの場所へ行き、強めな声で言う。
「はい、出来ました」
ルピナスから紙に包まれた薬を受け取った
「ありがとう」
「効き目があるといいのですが……」
そうして我は、ルピナスが作ってくれた薬を口に入れた。




