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ダンジョンを出禁にされたJK二人組は、母校の旧校舎型ダンジョンを守護するバイトを始めました。  作者: 椎名 富比路
第六章 激突、鬼怨組との決闘!

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第55話 刑務所 【ドラゴンの胃袋】

 あたしたちは朝メシがてら、ニュースを大画面テレビで見ていた。

 勇者連合の睡蓮(すいれん) ティナが話す内容のほうが、よっぽど詳しかったが。

 

 全員がニュースに釘付けになっていて、メシもロクに味わってない感じである。うまいんだけどなあ。


 おいしくいただいているのは、あたしたち金盞花の生徒と、ピオニくらいである。 

 

「結局、罪を犯したヤツらってどうなるの?」

 

 

「懲役、三十分です」



「そんな軽い刑罰でいいのかよ?」


 いくら軽犯罪っつっても、安すぎるんじゃね?


「モモ、これが冒険者にとって、一番重い罪だよ」


 はるたんは、そういう。


 他の冒険者たちも、「えげつな」とか沈んだ顔になっている。


 そんなにヤバイ刑罰なんだ? 聞いた感じだと、あまりに軽すぎると思うけど。


「彼らが行く刑務所はね、【ドラゴンの胃袋】なのよ」


 マジか。それはきっついわ。


「一般的な刑務所より、そいつの胃袋のほうが大きいわ」

 

「食われちまうってこと?」

 

「じゃなくて、体内がダンジョンになっているドラゴンがいるの」


 三〇分も、生きられなさそうだが。


「そいつが食うのはね……レベルやスキルなどの、能力よ」


 三〇分の間に出られたら勝ちで、無罪放免となる。

 しかし、まともに抜け出そうとしたら一年かかるらしい。

 時間の感じ方も変わり、三〇分が三〇年ほどの時間感覚になるという。


「一度ソイツの体内に入ったら、二度とかつてのような力を引き出せないっていうわ。実質、引退なのよ」


 ダンジョンから出られたとしても、地獄が待っていると。


「たしかに、えげつないな」


「この刑が下ると、冒険者を引退するしかないでしょうね」


 この時代って、刑務所までダンジョンなんだな。

 

「実行犯たちは実際、泣きわめきながら、めちゃくちゃ暴れたそうです」


「仕方ないわよ。それくらいのことを、してきたんだから」


 ティナに対して、蓮川(はすかわ)先輩は冷淡な言い方をする。


「先輩たちは、気づかんかったのか?」


「一部の先輩たちが、素行不良なのはわかっていたわ。ダンジョンでの活動も、あまりよくなかったから。ウチって強豪の割には、合宿に参加している人数が少ないでしょ?」


「まあ、たしかに」


「勇者といっても、色々いるの。自分たちの強さにかこつけて、ムチャな攻略をする人も多いわね。停学、自宅謹慎ってのが、案外あって」

 

 どれだけ強くても、心が備わっていないとまともな勇者にはなれないってわけか。


「今回ばかりは、モヤシなアスカを見習ってほしいものだわ」


 蓮川先輩が、野呂(のろ)先輩に視線を向けた。


「あの後、ご進展は?」


「な、ないわよっ。それどころじゃなかったし!」


 たしかに。


 今は自分たちの事情より、鬼怨(おにおん)組の打倒が先決だ。


「向こうはこちら側の不義理を主張していたけど、悪行に関わらせたのは向こうよ」


「どうかしら? 悪の感情は、根っこからあったように思うけど」


 はるたんの言葉に、蓮川先輩が唇を噛み締めた。


「ちょ……はるたんっ」


「事実を言ったまでよ。別に、こうなった責任を勇者連合にぶつけたいわけじゃない」


 特にはるたんは、怒っているわけでもないみたいだが。


「そうね。金盞花(きんせんか)さんの、いうとおりだわ。彼らは望んで、道を踏み外した」


「ええ。だからヤツらが勇者の力を奪われるのは、当然よ。あなたたちまで、責任を感じる必要はないわ」


「ありがとう」


 ふむふむ。勇者連合に悪感情を持ち始めそうだった周りの怒りを、うまく散らしたか。


「ごちそうさま。さて、準備を始めましょう」

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